姚舜司教(左)と楊永強司教(右)( 微博より)
(2023.9.25 BitterWinter
10月4日に始まる世界代表司教会議(シノドス)第16回総会第一期に中国本土から政府・共産党公認の二人の司教-楊永強司教と姚順司教-が参加することになった。
2018年の前回シノドス総会には2人の中国代表が出席したが、7月初旬にバチカンのシノドス事務局から今総会の参加者リストが発表された時には中国本土の司教は含まれていなかった。総会開始の直前になって最終リストに、山東省・周春の楊司教と内モンゴル・済寧の姚司教が載った。
二人は忠実な「愛国的」司教だ。楊司教は1990年代、政府・共産党管理の中国天主愛国協会がバチカンから明確に分離されていた時代に、同協会の国立神学校の長を務めており、同協会の典礼委員会の主要メンバーだった。
そして、2019年に、2018年のバチカン・中国暫定合意後に叙階された最初の司教となった。その時点で、楊司教は同協会の地方管区で指導的地位を占めていたが、2016年から副会長になっていた。
両司教が選ばれたのは、おそらく中国共産党の許可によるものであり、バチカンに対していくぶん融和的な姿勢を示したものと見るべきだ。
二人の司教任命は、2010年に教皇ベネディクト16世のもとでローマが極秘に承認されていた。楊司教は反体制派ではなかったが、先の教皇モンゴル訪問の際、訪問許可が出されなかった。 中国本土の司教が、7月発表のシノドス総会参加者リストに載せられず、直前の最終リストに載せられたのはなぜか。
その答えは、中国共産党が、司教任命に関するバチカンとの暫定合意に違反して、バチカンの同意なしに、海門教区の司教だった沈斌司教を上海教区司教に任命したということにある。これに バチカンが抗議したため、7月の時点で、中国共産党はシノドス総会出席のために中国の司教がローマを訪問する許可を出さなかったのだろう。そして、教皇が沈司教の上海教区司教任命を”追認”した後に、中国共産党は考えを変え、バチカンが眉をひそめそうにない、あるいは、他の司教よりはそうでないと思われる2人の司教を選び、総会参加を認めた、ということだ。
これは、お決まりの「アメとムチ」のゲームの一環である。 「アメ」を大切にする者は、「ムチ」が決して遠くないことを考慮すべきだ。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)