(2024.7.13 Crux Contributor Nirmala Carvalho)
ムンバイ発 – アジアのカトリック教会で最高位の指導者の一人であり、教皇フランシスコの顧問団の一員でもあるインド・ムンバイの大司教、オスワルド・グラシアス枢機卿が13日、Cruxとの会見に応じ、10月に開かれる世界代表司教会議(シノドス)通常総会・第2会期では、先にシノドス事務局が発表した討議要綱で「女性助祭」がテーマから外されたにもかかわらず、「女性の役割」に討議の重点が置かれる、との見通しを示した。
会見でグラシアス枢機卿は、10月の会議について、「女性について多くの議論が行われるでしょう」としたうえで、「教会において、女性に正当な地位を与えなければならないのは、非常に明白です… そのことに疑問の余地はありません」と言明した。
枢機卿は、2006年以来、ムンバイの教会を率い、2013年から2019年までアジア司教協議会連盟の会長を務めた。また、米国のショーン・オマリー枢機卿とともに、2013年に教皇の枢機卿顧問会議が設立されて以来、メンバーであり続けている。
シノドス事務局が9日に発表した、10月の第2会期に向けた討議要綱では、かねてから教会関係者の間で議論されている女性を助祭叙階の可能性について一切触れられていない、との指摘が一部に出ている。
教皇は5月に放映された米CBSとのインタビューで、女性助祭の叙階について否定する発言をしたが、シノドス事務局は7月9日の記者会見で、この問題はバチカンの教理省がさまざまなテーマを扱う幅広い研究グループの検討対象の一つとして取り上げる予定だと述べていたが、グラシアス枢機卿は、「第2会期の会議の議題に助祭叙階問題が含まれないということは、女性問題が無視されることを意味するものではない」と語り、「私たちは、女性が、教会、特に教会の意思決定においてより大きな役割を果たすあり方について議論します」と明言した。
そして、2021年に始まった現在の”シノドスの道”の歩みの課題の一つは、「カトリック教会の世界的な複雑さに対して解決策を見つけることです」とし、「こうした文脈の中で、教会が普遍的であること、そして一方でインドの状況、アフリカの状況、欧州の状況など多様であること」を念頭に置く必要があり、「そして、すべての人の感受性と、すべての人の司牧上の要請を心に留めておかなければなりません」と指摘した。
また、今回の討議要綱には、「同性愛者」「性的指向」「ゲイ」への言及が一切なく、この問題を軽視しているように見える、との指摘も一部にあるが、「LGBTQ+コミュニティへの司牧上の働きかけを、会議が無視することはありません」と述べ、「私たちはこれまで、包括的な教会について話してきた。それは『すべての人』を意味します。教皇は特に、障がい者や疎外された人々、さらには性的指向の異なる人々にも気を配ってきました」と説明した。
枢機卿は、このような問題で「教義の変更を期待すること」に対して否定的な見方をしつつも、「私たちは彼ら(LGBTQ+コミュニティの人々)を人として拒絶しているわけではありませんが、気をつけねばならないのは、私たちが何らかの声明を出した場合、『教会が道徳的な立場を変えた』と解釈される可能性があることです。そういうことではありません。教会の立場はとても一貫しています。福音書は、主が私たちに望んでおられることを非常に明確に示しています。教皇は深い祈りと信仰の人であり、主と聖霊が望んでいる方向に教会を導いておられます」と強調。