・「率直な意見表明を妨げ、直面する課題を覆い隠す」-”保守派”の米有力枢機卿が、”シノドス方式”の小グループによる臨時枢機卿会議の進め方に異論

〈2026.7.9 The College of Cardinals Report )

 米国のレイモンド・バーク枢機卿がこのほど、The College of Cardinals Reportの取材に応じ、最近の臨時枢機卿会議での小グループ単位で議論*を進める”シノドスの道”方式に疑問を呈し、「神学的な根拠に乏しい。枢機卿団内での率直な意見表明を損なう恐れがあり、教会が直面する重要な問題を覆い隠してしまう危険性がある」と警告した。

 *小グループで参加者の声を聴き合う方法。あくまでも司祭、修道者、信徒すべてが共に歩む”シノドスの道”の手段の一つであり、教会によっては、この方向を「主日の福音を味わう」ために、何年も前から使うなど、様々な教会活動で活用されいるが、日本の教会のシノドス・グループなるものは、これを「霊における対話」と呼び、手段の一つであるものを、あたかも”シノドスの道”の目的であるかのように喧伝している。

 6月26日から27日にかけて教皇レオが招集した枢機卿会議に続き、6月28日に『The College of Cardinals Report』の取材に応じたバーク枢機卿は、フランシスコ教皇の下では長年にわたり行われていなかった枢機卿たちの再集結を歓迎し、より深い兄弟的な交流の機会を「極めて大きな成果」と評価する一方、「会議の進め方が、有意義な議論を抑える結果になっている。会議は”シノドスの道”における議論の進め方をモデルにし、枢機卿たちは小グループに分けられ、あらかじめ設定された質問に沿って議論を進めたからだ」と問題点を指摘。

 そして、「このような会議の進め方が、深い議論を妨げ、”合意に基づく要約”に限定し、異論が出されても、重要な見解が教皇に届かなくなる恐れがある」とし、「報告書は、すべての枢機卿が合意した内容に過ぎない。”多数派が共有しない見解”は、それが重要であっても、小グループの報告に書かれない可能性がある」と述べた。

 その点、この臨時枢機卿会議で、伝統的な参加者全員での公開討論形式で行われた最終セッションを「時間的な制約はあったものの、今回の会合で最も生産的な部分」と評価し、「教皇臨席の下で行われたこの自由な討論は、過去の枢機卿会議が実施されてきた方法そのものだった」と振り返った。

 にもかかわらず、バーク枢機卿は、「討論の主導者が事前に選定されていたこと」、「自由な発言の機会が限られていたこと」などを挙げ、この枢機卿会議は「非常に統制された進め方で行われた。これでは、教皇の助言者としての枢機卿の役割が軽視されることにもなりかねない」と批判した。

 また、教皇フランシスコが2021年に”シノドスの道”の歩みを始めて以来、教会内で「シノダリティ(共働性)」という言葉が多用される傾向が強まっていることについて、バーク枢機卿はその神学的・歴史的根拠に強く疑問を呈し、「明確な定義も教会伝統における先例もない概念」と批判。シノド(教会会議)は長きにわたり、時折行われる諮問の場として存在してきたが、「それらが教会の本質を構成する要素ではない」と強調した。

 さらに、「シノダリティには決まった定義はなく、教会における歴史もない」とし、 枢機卿会議のような確立された構造が、”未定義の概念”と見なすものと融合することへの懸念を表明した。

 そして、 信仰の伝承に関する聖パウロの教え―「私が最初に受けたものを、あなたがたに伝える」―を引用し、連続性が不可欠であるにもかかわらず、現在のシノダリティの定義には連続性が欠けている…だからこそ、この『シノダリティ』という動きを止めさせ、この問題全体について極めて真剣な研究が行われるよう主張しなければならない。なぜなら、我々が論じているのは『教会の命』そのものであり、『魂の救い』についてだからだ」と述べた。

 また、枢機卿は、彼が「現代的であり、十分に検証されていない」と特徴づける考えに基づいて、確立された教会構造を再構築することに対して警告し、「教会にはパラダイムシフトなどない… それは、教会の教えや使命の方向性を根本的に変えることだからだ」と述べ、シノダリティやその他の議論で使われる「パラダイムシフト」を否定した。

 さらに、「現代の懸念に過度に焦点を当てることは、教会の教義的・歴史的連続性の内側から現代世界に向き合うのではなく、教会を世俗的な思考様式に同化させる危険性がある」と警告し、「主が教会を守ってくださると確信しているが、我々も『いいえ、この「シノダリティ」という概念は、『現代の信仰に取り組みたい』という点で善意があるかもしれないが、根本的に欠陥がある』と主張する役割を果たさなければならない」と続けた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2026年7月18日