シノダリティに関する世界代表司教会議(シノドス)総会第2会期の”円卓会議”が始まった(クレジット:バチカンメディア)
(2024.10.5 Crux Staff )
世界代表司教会議(シノドス)総会の第2会期の冒頭で、バチカンの教理省長官が「女性助祭を認める余地は現時点ではない」と言明したことに、カトリックの女性信徒の改革グループ「Catholic Women’s Council(CWC)」が「壊滅的」と批判、抗議活動の計画を発表した。
CWCのレジーナ・フランケン欧州議長は5日、ドイツの司教協議会の公式サイトKNAに「バチカンには、教会のオフィスで働く女性の問題に真剣に取り組む意欲は見当たらない」と強く批判した。教理省のフェルナンデス長官は2日午後の第2会期の全体会合で、教理省は女性助祭の叙階について、「これまでの検討の結果、その余地はないと判断した」と述べたうえで、この問題のさらなる検討の継続とともに、女性の助祭叙階なしの教会のおける指導的な役割についてより深い検討を進める」と語っている。
フランケン議長は、これを「遅延戦術」と呼び、「女性たちは、もはやこのような戦術を受け入れない」としたうえで、「フラストレーションは今や生産的な怒りに変わりつつある」と述べ、今後数日以内にローマで抗議行動を行う、と明言。「私たちは、教会で女性を”癒す”ために使われた戦略や操作的な戦術を、ローマと世界のソーシャルネットワークの両方で可視化したいのです」と語った。
また、「さまざまな教会の役職に対する女性の適格性に関する神学的研究は60年以上にわたってなされてきましたが、結果に失望しています。これまで、私たちの組織は、常に教会の責任者たちと協力する意欲をもっていたが、今や問題は、そうした協力が可能かどうか、という段階です」と述べている。
彼女だけが不満を口にしているわけではない。ドイツのカトリック慈善団体「 Renovabis 」のリーダーで、シノドスのオブザーバーでもあるトーマス・シュワルツ神父は、自身の経験についてブログに投稿し、「あれは何だったのか? シノドス会場での熱狂ではなく、幻滅」というタイトルで、「バチカン教理省の長がついに、女性の助祭職の問題に関して、『教皇がすでに予見可能な将来にこれについての決定はないことを明確にしており、教理省から公式文書が間もなく発表される予定だ』と発表した時、 私は”少し濡れたプードル”のように感じた」と書いた。
そして、「シノダリティ(共働性)の原則を実践し、教会活動のあらゆる分野でシノダリティをより深く実践する任務を負っている会合の参加者として、私は、このようなやり方とは異なる手続きを期待していました」とし、「正直に申し上げて、私はかなりイライラしていました。内容的にも、シノドスの会合の扱い方にも、です」と告白。
さらに、「このように感じているのは私だけではないことを知って、慰めになりました… 3日の休憩中の会話で、初めて小グループに分かれた”円卓会議”に集まった時に、分かりました。シノドス・ホールに集まった総会参加者の多くが、現状を”体系化”することで、『男性中心で、還元主義的な人類学』の非難に身をさらすことに気づいている印象を受けた。そうだからこそ、叙階された聖職への女性の参加に強い懸念を抱いている人々や、完全に反対している人々でさえ、真剣で神学的に健全な議論を求めているのです」と語った。
また、シュワルツ神父は、シノドスの参加者の間で「他人の立場に立とうとする」雰囲気があることを称賛し、それが「私をより和解的で、若干の希望に満ちた者ものにしています」とも述べている。
現在、CWCのウェブサイトには、12日に予定されているローマでの2つの公開イベントに関する情報が含まれている。その一つは、同日夕にシノドス・ホールの外で「平等」と書かれたポストカードを参加者に配布するための集まり、もう一つは「バチカネッレ」と呼ばれる午後の演劇のパロディで、「女性司教」と「シスター教皇」と表現されたキャラクターが。男性が司祭職の資格があるかどうかについて話し合うものだ。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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