(2023.10.4 Vatican News By Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは4日始まった「シノドダリティ(共働性)に関する第16回世界代表司教会議(シノドス)通常総会の第一回全体会合であいさつされ、「聖霊がシノドスの主人公であり、他の誰でもないこと」を強調、「すべての人の意見に敬意を持って耳を傾けながら、自由に自己を表現するように」と参加者たちに求められた。
第16回司教シノドス通常総会は1年間隔で2回の会期に分けて開かれ、第1回目は2023年10月4日から29日までの今回、第2回目は2024年10月に開催される。
教皇はあいさつの初めに、第二バチカン公会議の精神を受けて世界の司教たちの共働性を促進するためにシノドスを始められた聖パウロ6世教皇の取り組みを思い起しつつ、総会参加者たちを歓迎し、彼らの働きに感謝の意を表された。
そして、「教会には、常にこの対話を行う用意ができていたわけではないが、現在では世界の司教たちと神の民にとって、シノダリティ(共働性)について話すことがますます重要になっている」とされ、 「それは容易なことではありませんが、素晴らしい、とても素晴らしいことです」と強調。参加者たちに、シノドスの旅に出発する際に、a collection of Patristic textsを読むよう特別に勧められた。
また教皇は、聖霊が「教会を前に導く」「教会生活の主人公」であり、「母性的」であることを参加者たちに思い起させ、「シノドスの主人公は私たちではなく、聖霊です… 聖霊が主導すれば良いシノドスであり、そうでないなら、良いシノドスではありません」とされ、「聖霊は私たちを手で導き、慰めてくださるのです」と説かれた。
そのうえで、 教皇は参加者たちに、「調和」に向けて努力するよう呼びかけ、調和には必然的に「ニュアンス」の余地が残ることを指摘。「微妙なニュアンスがなければシノドスではありません」と注意された。
続けて、「特殊性を教会に組み込む必要があります… そして、これは私たちではなく、聖霊によって行われねばなりません」と強調され、「シノドスは”議会”ではないし、教会の司牧のための会議でもない」と、シノドスに誤った性格付けがされないよう警告された。
また、シノドスに関する報道について、メディアの貢献を評価しながらも、「時として注目を集めている問題に焦点を当てすぎる」ことを嘆かれ、「他者に耳を傾ける優先事項」に対する教会の関心を、メディアに伝える努力を求められた。そして、「誰もが自由に自分自身を表現する必要があります」とされ、その過程で、聖霊が彼らの信仰を確認してくれることを指摘された。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教皇の総会全体会合でのあいさつに先立つ、バチカンのパウロ6世ホールで行われた式典では、エジプト・アレクサンドリアのコプト教イブラヒム・アイザック・セドラク総主教が冒頭あいさつで、「主がいかに教会への愛を示し続け、これまで教会に愛を示し続けてこられたか」を強調し、シノドス総会にインスピレーションを与えた。
セドラク総主教は、このシノドダリティに関するシノドス総会は「神の民、洗礼を受けた各人、それぞれが独自のカリスマ性を持ち、より生き生きとして、現実的で、具体的な会合」であり、 世界は「復活したキリストの証し、命と希望を私たちが待っています。ですから、キリストを中心とすることをこの会議の導きの糸としましょう。 キリストを、私たちの議論のアルファでありオメガに、私たちの議論を照らす光にし、私たちのすべての努力の”案内糸”にするように。 シノドス総会が主自身の目標を達成できるよう祈っています」と期待を述べられた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教皇は4日朝、シノドス総会の開会にあたり、聖ペトロ広場でミサを主宰され、参加した枢機卿、司教はじめ信者たちに「信頼と喜びのうちに」聖霊とともに歩むよう呼びかけられた。
また、教皇の名のもとになったアッシジの聖フランシスコの祝日であるこの日に、教皇は、2015年の画期的な環境回勅「Laoudato si:私たちの共通の家のケアについて」を受ける形でその第二部となる使徒的勧告「 Laudate Deum」を発出され、現在の環境状況と私たちが何をなすべきかについて詳細に語られている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)