【シノドス総会】「移民・難民、女性、貧困などが作業部会のテーマになっている」—広報長官、5日夕の会見で

Briefing on SynodBriefing on Synod  (Vatican Media)

(2023.10.6 Vatican News  By Salvatore Cernuzio)

 シノドス総会情報委員長のパオロ・ルッフィーニ・バチカン広報省長官は5夕、二度目の記者会見を行い、5日の段階で351人による35の作業部会で取り上げられ、自由な意見交換もされている「家庭としての教会」「虐待」などのテーマの概要を説明。私たちはできる限りのことを皆さんに提供できるよう、毎日最善を尽くします」と約束した。

 長官によると、5日の作業部会は、司祭、神学生、信徒、カテキスタなど「全員」の参加の確認に始まり、「誰もが居場所を持つ家庭としての教会」「祈り」「女性や一般信徒、叙階された聖職者、そうでない人の役割」「 聖体と神の言葉の中心性」、 そして「教会の選択肢としての貧しい人々の重要性」「移民難民、虐待、迫害と苦難の中で暮らすキリスト教徒の問題」などが主なテーマとなった。参加者は、戦争中の苦しみについての感動的な物語を聞いたウクライナ人に拍手を送った。

 また会見に同席した情報委員会事務局長のシーラ・ピレス氏は、「非常に会議的」な雰囲気で会合する予定のさまざまな作業部会について、「人々はお互いのことを知り始めている… 私たちは本当に一緒に歩んでいます」。もちろん「緊張感もないわけではない」が、なによりも「楽しい」雰囲気が進めらている。

 そして、アフリカ南部でカトリックとのコミュニケーションに長い経験を持つモザンビーク人にとって、最も興味深い点は、各グループに異なる大陸からの人々が集まっている、という事実であり、「例えば、私のグループには、アジア、アフリカ、北米、そして欧州の人々がいます。多様性があり、友愛の精神があり、共に歩みたいという願望を持っています」と参加しての印象を語った。

 またルッフィーニ長官は、作業部会で扱われているテーマの中で、特に「すべての人を歓迎する家庭としての教会」に注目し、「これは総会の会議で繰り返し取り上げられるテーマの一つです」と述べ、「エキュメニズムと宗教間の対話」「若者の認識と女性の参加の重要性」なども主要テーマとして挙げた。

 そして、教皇が総会の冒頭で述べたように、優先事項は「耳を傾けること」であり、「聴くことだけでなく、聴くことを学ぶことは、シノダリティ(共働性)に関するこのシノドス総会の初めの数日間の課題であり、いくつかの祈りの瞬間が散りばめられています。それは熟考と洞察力を助ける休みの時」とピレス氏は述べた。

 「友情の絆」を強めることも重要な課題、と長官は指摘し、「作業部会の小さな集まりから友情が生まれ、皆で教会が何を必要としているかを理解しようと努めました。…確かに困難はあったし、常にある、と言われていますが、苦しむキリストの肉体を思えば、多くの障壁はなくなるでしょう」と付け加えた。

 長官は、現在行われている作業部会では、「教会法典などの教会の仕組みの改定、教皇庁の規模、そしてやはり組み立て」や「東西関係」にも焦点が当てられており、「移民・難民問題」では、彼らに寄り添い、司牧者としての司教たちの奉仕がその基本になること、「女性の役割」については、教会における促進、教会活動の様々なプロセスに女性を積極的に参加させることの重要性が繰り返し述べられているという。「若者」や「貧困者」への懸念にも強い関心が集まり、「対応の遅さ」を克服する必要も指摘されている、という。

 移民という現象に関しては、移民の同行と牧師としての司教の奉仕の必要性が「この同行の基本である」と繰り返した。 女性の役割については、教会における女性の役割を促進し、さまざまなプロセスに女性が積極的に参加することの重要性が繰り返し語られた。 若者や貧しい人々についても同様の懸念が示され、ある種の「遅さ」を克服することが求められていました。

  アッシジ聖フランシスコ回心きっかけとなったサンダミアーノの十字架が会場のパウロ6世ホールに置かれているが、作業部会での議論で、 「(この聖人に倣って、『教会を修復する』というテーマも浮上しました。(…)奉仕に身を置く人々は、教会を修復し、診断と予後を提供し、純粋な心で時代のしるしを読み取るのです」と説明。

 作業部会では、「教会として、また信者として、キリストに似ていないものすべて」と「福音に適合しないものすべて」を取り除くことの重要性も強調され、「重要な点の一つ」として、「モノを懸命にため込むよりも、奉仕に徹すること」も強調されたという。さらに、参加者たちは「シノダリティ(共働性)は教会のDNAの一部である」という点で同意した。

 さらに、「迫害を受け、あるいは国家危機の重大な状況の中にいて、総会に出席できなかった世界の人々に思いを向け」、とくにロシアの軍事侵略の長期化で苦しみ続けるウクライナの教会に注目が集まり、「ある発言には、賛意を示す拍手も起きましたが、これは、戦乱の中にある人たちとの交わりを感じる手段の一つとなりました」と長官は説明した。

 とりわけ、ウクライナの「苦しむ教会」に注目が集まった。「拍手を誘発する言及があった」とルフィニ博士は述べ、これは「戦争中の人々との交わりを感じる」方法だと説明した。 苦しみ続けているウクライナのキリスト教徒とともに。 別の拍手が、理由は異なりますが、今日誕生日を祝うレティシア・サラザール姉妹と、司教叙階記念日にちなんでチャールズ・シクルーナ大司教に捧げられました。

 会見では、複数の記者から、シノドス総会に関する米国のテレビ番組で5日に放映された、教理省の前長官、ゲルハルト・ミュラー枢機卿のインタビューに関する質問が出された。

 質問によると、このインタビューで、枢機卿は、教皇フランシスコが「公の発言を”断食する”ように」とシノドス総会の参加者たちに求めたことに、不快感を覚えた、と述べたといい、記者の中には、 「懲罰」が考えられているのか、との問いかけもあったが、長官は、「(懲罰は)誰によってされるのですか?私によってですか?」と冗談交じりに答えたうえで、「沈黙の中に識別力がある。あなたを罰する憲兵はいない… 総会は、自らに”活動の一時停止期間”を課した兄弟姉妹の集まりです。教皇が参加者に求めたのは個人的な識別力です。 私たちが話していることをあなたに説明する際にもそうです。識別力は人それぞれに委ねられているのです」と説明した。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年10月7日