
(2021.10.10 Vatican News By Christopher Wells)
教皇フランシスコは10日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で”シノドスの道”の開始を告げるミサを捧げられた。”シノドスの道”は今後2年かけて、小教区・教区、国、地域の3段階を経て、2023年10月のシノドス(世界代表司教会議)総会に至る。
*シノドスを特徴づける動詞「出会う」「聴く」「識別する」
ミサ中の説教で教皇は、この日読まれたマルコ福音書の箇所(10章17~30節)を取り上げ、イエスが金持ちの青年とお会いになった場面は「”シノダリティ(共働性)についての考察の出発点」であり、「シノドスを祝うことは、同じ道を共に歩むことを意味します」と述べられた。
そして、イエスに倣って、シノドスを特徴づける3つの動詞として、「出会う」「聴く」「識別する」を挙げられた。
*「出会い」の専門家の条件
そのうえで、「福音書によく見られるのは、イエスが旅の途中で『出会う』人々を進んで受け入れ、時間を割き、彼らの質問を気にかけておられる場面です。イエスのように、私たちも出会いの業の専門家になるように求められているのです」と強調。
さらに「出会いの業の専門家になる条件には、神に心を開き、祈りと崇敬に時間をかけ、聖霊が私たちに話されることを『聴く』ことも含まれます。そしてまた、他の人々に心を開くこと、他の人々の存在と物語からの挑戦を進んで受けることも、要求されます」と指摘された。
*「聴く」ことで、真の「出会い」がもたらされる
また「他の人との真の出会いは、その話を『聴く』ことによってのみもたらされます」とされた教皇は、「イエスは耳だけでなく、心でも聴いておられる。私たちがイエスに倣って心で聴くとき、人々は『自分は裁かれているのでなく、話を聴いてもらっている』と感じ、自分の経験と霊的な旅を自由に語れる、と感じます」と語られた。
そして、自分が聴き上手か、他の人に語らせているか、自問するように促され、「聖霊は、私たちに『どの教会にもある疑問、心配、希望』に、自分の周りの世界からのもたらされる挑戦と変化に耳を傾けるように求めています」とされたうえで、「私たちの心の耳をふさがないように、確信をもってバリケードの中に籠らないように、しましょう。その代わりに、お互いの声を聴きましょう」と呼びかけられた。
*シノドスの道を歩むことは、霊的な「識別」の旅
さらに、教皇は、「『出会い』と『聴く』だけでは、完結しない。『識別する』必要があります。 私たちが対話するときはいつも、自分自身に挑戦を受け、旅を進める心の用意ができています」とされ、「イエスは、マルコ福音書の金持ちの青年にされたように、私たちも、『識別する』ように、内面を見、神が私たちに明らかにされたことを知るように、光の中で、私たちの心にある真の宝は何かを『識別する』ように、助けてくださるのです」と強調。
”シノドスの道”を歩もうとする私たちにとって「これは、価値のある教訓です。シノドスは崇敬、祈り、そして神のみ言葉との対話の中で行われる霊的な識別の旅だからです」と指摘された。
*神が私たちを導く先は
説教の最後に、教皇は「福音書に登場する金持ちの青年にされたように、イエスは私たちに、『自分自身を空にしなさい、内向きの姿勢、着古した司牧モデルも含めて、この世のすべてのものから自由になりなさい、と呼びかけられています。そして、今この時に神が私たちにおっしゃりたいことは何か、そして神が私たちを導こうとしておられる先はどこか、自分自身に問うように求めておられます」と語られた。
そして、「一緒に、よい旅をしましょう。私たちが福音を愛し、聖霊の驚きに心を開く巡礼者になれますように。『出会い』『聴く』『識別する』ことで生まれる恩恵に満ちた機会を逃さないように」と強く促された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)