*破産手続きで合意した米サンタフェ教区の大司教が、性的虐待被害者たちに陳謝の公開書簡(Crux)

(2023.3.22 Crux  National Correspondent  John Lavenburg)

   ニューヨーク発 – サンタフェ大司教区が 破産手続きで原告と合意に達してから 3 か月も経たない22日までに、教区長のジョン・ ウェスター大司教が、性的虐待を受けた信徒たちに謝罪する公開書簡を出した。

 公開書簡で、大司教は、「聖職者の性的虐待によってあなたがたにもたらされた悲劇的で赦しがたい損害について、深い遺憾と悲しみを表明したいと思います」としたうえで、 「サンタフェ大司教として、あなたがた一人ひとりひとり、この大司教区でカトリック聖職者が犯した性的虐待によって傷ついたすべての人々に謝罪します」と述べ、大司教区が「虐待の全責任を負います」と付け加えた.

 続けて、「私はあなたがたに起きたことを恥じており、カトリック教会が信徒を保護すべき場で起きたことをさらに恥じています」と大司教は述べ、 「私がどれほど申し訳なく思っているか、この大司教区が子供と若者の安全を守るためにどれほど熱心に取り組んでいるかを伝える言葉を持ちません」としている。

 また大司教は、虐待被害者に対して、「『受けた虐待の責任は自分にある』と感じるべきではありません」と強調。「悲しいことに、聖職者による性的虐待の被害者が受けた虐待に対して罪悪感を抱くことは、珍しくない。 この罪悪感は、しばしば加害者によって助長されていますが、このような罪悪感には、まったく根拠がありません」と指摘。 「あなたがたは完全に無実であり、『未成年者に対する性的虐待』という恐ろしい犯罪を受けるに値する行為も、助長することも、支持することも、いっさい、していないのですから」と述べている。

 そして、破産手続きでの原告との合意が、性的虐待被害者に、何らかの正義をもたらすことを望んでいる、とし、「この瞬間が、癒しのプロセスの新たな一歩となり、神から与えられたあなたがたの権利である『平安と幸福』をあなたが見つけられることを祈っています」と締めくくっている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 サンタフェ大司教区は、1940 年代にさかのぼる聖職者の性的虐待の約 400 件の申し立てに直面し、膨大な慰謝料支払いなどで、 2018 年 12 月 3 日に破産を申請。 大司教区と原告の4年間の協議の結果、2022年12月29日に合計1億2150万ドルの慰謝料支払いを行うことなど、破産手続きで合意に達した。合意に基づき、大司教区は和解基金に 7500 万ドルを入れ、残りの 4650 万ドルを保険会社が支払う。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年3月25日