・3月10日の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を前に日本カトリック司教協議会会長が呼びかけ

(2023.2.19 カトリック・あい)

 日本のカトリック司教協議会は毎年3月10日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定めているが、その日を前に2月17日付けで菊地・司教協議会会長名で呼びかけを発表した。この問題については、「カトリック・あい」としての見解を後日掲載するが、ここでは発表全文のみをコメントなしで掲載する。

日本のカトリック信者の皆様

2023年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって

 命に対する暴力が荒れ狂う世界にあって、神が命を私たちに賜物として与えてくださったと信じるキリスト者には、命を守り、人間の尊厳を守る務めがあります。教会にとって「イエスを宣べ伝えるとは、命を宣べ伝えることにほか」ならないからです(ヨハネ・パウロ2世「命の福音」80)。

 その教会にあって、率先して命を守り、人間の尊厳を守るはずの聖職者や霊的な指導者が、命に対する暴力を働き、人間の尊厳をないがしろにする行為を働いた事例が、近年相次いで報告されています。「性虐待」という人間の尊厳を辱め、蹂躙する聖職者や霊的指導者の行為によって深く傷つけられた方々が、長い時間の苦しみと葛藤を経て、ようやくその心の思いを吐露された結果である、と思います。そのように長期にわたる深い苦しみを生み出した聖職者や霊的指導者の行為を、心から謝罪いたします。

 なかでも保護を必要とする未成年者に対する性虐待という、きわめて卑劣な行為を行った聖職者の存在や、司教をはじめとした教会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽した事例が、過去にさかのぼって世界各地で報告されています。

 教皇フランシスコは、この問題に教会全体が真摯に取り組み、その罪を認め、赦しを請い、また被害にあった方々の尊厳の回復のために尽くすよう求め、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けるようにと指示されました。日本の教会では、四旬節・第二金曜日を、この祈りと償いの日と定めました。2023年にあっては、来る3月10日(金)がこの日にあたります。

 日本の司教団は、2002年以来、ガイドラインの制定や、「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」の設置など、対応にあたってきました。2021年2月の司教総会で「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」を決議し、教会に求められている命を守るための行動に積極的に取り組む体制を整えてきました。

 昨年には、「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」が啓発活動にさらに取り組むよう、司教協議会会長直属の部門としてガイドライン運用促進部門を別途設置し、責任をもって対応する態勢を整えつつあります。

 もちろん、命を守り、人間の尊厳を守るための務めに終わりはありません。聖職者をはじめ教会全体の意識改革など、すべきことは多々あり、教会の取り組みもまだ十分ではありません。ふさわしい制度とするため、見直しと整備の努力を続けてまいります。

 改めて、無関心や隠蔽も含め、教会の罪を心から謝罪いたします。神の慈しみの手による癒やしによって被害を受けられた方々が包まれますように、心から祈ります。同時に、私たち聖職者がふさわしく務めを果たすことができるように、お祈りくださいますようお願いいたします。

 どうぞ、四旬節第二金曜日に、またはその近くの主日に、教皇様の意向に合わせ、司教団とともに、祈りをささげてくださいますように、お願いいたします。

2023年2月17日 日本カトリック司教協議会 会長 菊地 功

(編集「カトリック・あい」=内容は発表通り、表記を当用漢字表記に統一しました)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年2月19日