・米オルバニー教区、聖職者による性的虐待被害者補償の新制度(Crux)

(2022.6.30 Crux National Correspondent  John Lavenburg)  

ニューヨーク発=米ニューヨーク州・オルバニー教区のエドワード・シャーフェンバーガー司教が6月29日、聖職者の性的虐待の被害者に対する新補償制度“Victims/Survivors Path Forward Plan”を発表した。公正かつ公平な基準を設定し、金銭補償を最大限に引き上げるとともに、支払いを速やかにすることで、被害者からの訴訟の多発や教区の財政破綻を避けようとするものだ。

 オルバニー教区は、現在、400件以上の被害者からの訴訟を抱えているが、新制度は、訴訟を担当するニューヨーク州最高裁の監督のもとに策定された。発表に当たって、シャーフェンバーガー司教は「私は、虐待被害者、友人や家族、そして彼らの虐待の話から多くを学んだ。辛い経験を語り、ニューヨーク州児童被害者法が約束する正義が行われることを忍耐強く待っていてくださるすべての人々に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べている。

 また教区の新制度は、400件に上る訴訟案件を判決に至る前に裁判所での和解調停を推進することとし、和解調停には、教区代表、利害関係者、保険代理人、被害者が参加、教区、理解関係者、保険代理人の出資をもとに基金を設け、調停の乱用などを防ぐための和解調停の手続きを定める。調停参加者は、教会法で定めた手続きを通し、援助コーディネーターを伴い、教区の金銭負担により顧問弁護士と追加の支援を得ることができる。

 シャーフェンバーガー司教は、「新制度は、被害者、教区の双方にとって有益。被害者にとっては、基金をもとに公平な補償を受けることが可能となる。また、和解調停が成立することで、訴訟継続に伴う弁護士費用など裁判費用の負担増が避けられる一方、教区も、長引く訴訟に財政負担の増大、連邦破産法位の適用による教区財務の再建などの事態も回避可能になる」と説明している。

 ただし、29日にシャーフェンベーカー司教が発表したのは新制度の概要で、全容は近いうちに発表する、としている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年7月1日