・性的虐待の被害者が前教皇ベネディクト16世に損害賠償請求訴訟

(2022.6.22 Crux / Catholic News Service Contributor)

 ミュンヘン発—ドイツのカトリック系通信社KNAが22日までに伝えたところによると、ミュンヘン・フライジンク教区での聖職者による性的虐待に関連して、被害者が前教皇ベネディクト16世を訴えた。

 原告の訴訟理由は、約40年前に当時司祭だったペーター・Hから性的虐待を受けたが、当時ミュンヘン・フライジンク教区の大司教だった前教皇は、Hが性的虐待者として知られていたにもかかわらず、バイエルンのある小教区の主任司祭に任命した、それが虐待をうける原因となったので、損害賠償する必要がある、というもの。現地の公共放送Bayerischer Rundfunkは22日、「この訴訟は、前教皇が、この性的虐待事案について部分的な責任を負っていることを立証するのが狙い」と伝えた。

 元教皇は、これまで、Hに関する情報を受けていたことを否定し、その人事にも関与していなかった、と主張しているが、原告弁護士によると、Hが1970年代にエッセン教区で犯した未成年者虐待に関する教会法に基づく判決、および独自調査に基づいて訴訟に踏み切った、とし、この時の判決では当時の教会の担当幹部が義務違反をした、と主張。独自調査では、当時大司教だった前教皇が虐待事件に関して部分的に責任があることの証拠をつかんだ、としている。

 Hは1980年に治療のためにミュンヘンに送られ、これについては、ラッツィンガー大司教も同意していたが、その後まもなく、H.は教区の主任司祭として”復活”。Hは、1986年に数人の少年を性的に虐待したとして現地の刑事裁判所から執行猶予付きの判決を受けたにもかかわらず、再び小教区の主任司祭に任命され、仕事を続けたあと、 2010年に解任、今月に入って、本人の申し出により司祭を解雇されている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)南條)

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2022年6月23日