・ノーベル平和賞受賞の東チモールの司教による性的虐待明らかに-バチカンは「処分済み」と

(2022.10.1 カトリック・あい)

 ノーベル平和賞受賞者の東チモールの司教が少年たちに性的虐待を繰り返してきたことが明らかになり、バチカン広報はこれを認めるとともに、同司教を懲戒処分とし、聖職者としての活動を制限していることを明らかにした。

バチカン、ティモールの告発後にノーベル賞受賞者を制裁

 性的虐待の事実を明らかにしたのは9月28日発行のオランダの週刊誌「De Groene Amsterdammer」。同誌によると、この司教は東チモールのカルロス・シメネス・ベロ司教(74)。サレジオ会士で、東チモールの独立に貢献し、独立以前の1996年にノーベル平和賞を受賞していたが、1980年代初めから90年代にかけて、首都ディリにある司教館などで、少年たちに性的虐待を行い、口封じのために現金を渡していた。

 当時14歳と16歳だった被害男性が証言し、「司教は極貧にあえぐ少年たちにひどいことをした」が、その権力と名声によって、「すぐに公けに訴え出ることはできなかった」とし、司教と教会に謝罪を求めている、という。また同誌によるとベロ司教は、司教になる以前も、1980年代にサレジオ会が運営する教育センターに勤務していた際、少年を虐待した、としている。

 この報道に対して、バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は9月29日、声明を出し、バチカンで性的虐待問題を扱う教理省がすでに2019年に被害の申し立てを受け、東チモールなどでの未成年者との自発的接触を禁じるなどの制裁処分を行い、さらに昨年11月に制裁措置を強化している、と説明した。

 AP通信などによると、ベロ司教は54歳だった2002年にディリ教区の教区長を「精神的ストレスと健康不良」を理由に教皇に辞表を出して受理され、モザンビークに移り、司祭として働いた後、現在はポルトガルにいるといわれるが、サレジオ会のポルトガル管区事務所は彼の消息を把握していないというが、バチカンの報道官は、これにについてはコメントしていない。 (Credit: Neil Jacobs/AP.)

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2022年10月1日