・ニュージーランドでも、カトリック教会における虐待が1680件、半数が未成年への性的虐待(Vatican News)

2021.11.18 abusi su minori, abuso, tutela del minore

(2022.2.3 Vatican News  Lisa Zengarin)

  ニュージーランドで首相が設立した王立委員会の要請で実施されたカトリック教会における虐待行為に関する実態調査結果が1日発表され、1950年から現在まで70年余りの間に教会の司祭、男女修道会の会員、一般信徒から虐待を受けたとの訴えが1680件に上っていることが明らかになった。

 調査はこれまで2年かけて行われてきたが、それによると、1950年からこれまでにカトリックの聖職者、男女修道会会員、一般信徒から虐待を受けたとの被害者などからの訴えが、1122人、1680件出され、うち592人の実名が明らかになっている。

 またこれらの虐待行為の約半数は性的虐待に関するもので、虐待は1960年代から1970年代にされたものが多く、75%が1990年以前で占められている。

 この調査は、ニュージーランドに6つあるカトリック教区と43のカトリック修道会から情報を収集して行われ、428のカトリック教区、370のカトリック学校、および67の他の機関が対象となった。

 被害を訴えられた1122人、1680件の内訳は、教区司祭182人(全教区司祭の14%)で378件、男子修道会の会員(司祭およびブラザー)187人(全体の8%)で599件、女子修道会の会員が120人(全体の3%)、258件。また教会職員やボランティアなど一般信徒が103人、138件となっている。

 

*未成年への性的虐待

 1680件の被害訴えのうち、1350件が未成年、164件が成人。残り167件は不明。835件は未成年に対する性的虐待の訴えだった。また、加害者が特定されたのはこのうち1296件で、加害者数は592人。このうち6人が一人で合計15件以上の訴えを受けており、10件から14件が10人、5件から9件が40人、2件から4件が143人だ。

 虐待が行われたのは、687件が教育施設、425件が介護施設、228件が小教区、122件はその他。不明が219件となっている。

 訴えを受けた加害者すべてが特定されたわけでなく、虐待の件数、内容も教会などに記録されているもののみであり、教会関連の虐待の実態の全てを解明できているわけではない。

*「驚愕している」と司教協議会会長のデュー枢機卿

 このような調査結果に対して、ニュージーランド・カトリック司教協議会(NZCBC)の会長、ジョン・デュー枢機卿は「驚愕している。恥ずかしい限りです」と謝罪した。そして、「すべての人にとって安全な教会を作る」という司教団の誓約を確認、今回の報告をまとめてくださった方々に感謝する共に、この報告書から教訓を学び、すべての人々の保護に努めることを改めて誓います」と述べた。

 また、ニュージーランド修道会指導者協議会会長のシスター・マーガレット・アン・ミルは、「この報告の内容は衝撃的。明らかにされた悲痛な現実は、無力で脆弱な未成年者と成人の痛み、苦しみがこの報告書の数字と内容の背後にある、ということです」と述べ、「教会は、虐待被害者たちとその家族に与えた強い衝撃を認め、そのことが被害と信仰共同体にとって何を意味するのかを理解せねばならない。すべての教会指導者たちは、(注:未成年者を含むすべての人に被らせた心身の)危害を受け止め、彼らの心身の癒しに努めねばなりません」と強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年2月4日