・アルゼンチンの司祭たちに、未成年者の虐待で相次ぎ懲役刑の有罪判決(Crux)

(2021.9.10 Crux  Senior Correspondent Elise Ann Allen)

 ローマ発 – 所属する会の創設者の司祭が未成年性的虐待罪でアルゼンチンの裁判所から12年の懲役刑を言い渡された2か月後の8日、同じ罪で同会のニコラス・パルマ神父が懲役17年の判決を受けた。

  会の名前は「洗礼者ヨハネ、イエスの弟子」。この会は、1980年代に首都ヴェノスアイレス近郊のルハンで小さなグループとして始められた後、急速に成長し、1996年に修道会として正式に活動を始め、女子修道院も作られた。当初は、祈りと瞑想を主たる活動としていたが、修道院の外で、演劇やロザリオの会、宣教活動なども行うようになった。

 パルマは、2016年に、会の創設者オーガスティン・ローザと共に、複数の人々から性的虐待の罪で告発された。これを受けて、バチカンは,この会について調査を実施、2019年6月に正式に会の活動を停止させた。

 パルマは、共同住宅で生活していた未成年の少年数人に性的虐待をし、ベッドを共にするよう求め、それに応じるのと引き換えにiPadでゲームをすることを認めたとして、告発された。

 二人は、数人の被害者が正式に告訴した後、2016年に性的虐待の罪で起訴され、2018年、パルマは、会が所有する施設での性的虐待に著しく関与したとして、修道院を出された。

 彼の上長であるローザは、自宅軟禁で長期の取り調べを受けた後、3人の未成年者を性的虐待した罪で検察当局から起訴され、今年7月、懲役12年の判決を受けた。有罪判決を受けて、彼はバチカンから司祭職をはく奪された。

 パルマの有罪判決はその2か月後に出されたが、懲役17年と、ローザよりも重い刑になったことについて、裁判所は、「生活を共にする未成年者たちの教育、指導の立場を利用したもので、より悪質、と判断した」と説明している。

 今回の二人の有罪判決について、女性の元会員で、ローザから性的虐待を受けた一人、バレリア・ザルザ氏は、ローザが長い取り調べ中、拘置所ではなく自宅での軟禁状態に置かれていたため、「自分が安全だと感じたことはありませんでした」としたうえで、有罪判決が決まったことで「また襲われる、と心配しなくても良くなった。夜もブエノスアイレスを一人で歩けるような気がします」と語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年9月11日