・「聖職者などによる性的虐待の規制厳格化の自発教令形式による教皇使徒的書簡」の全訳改

(2023.4.10 カトリック・あい=4.13付けで一部修正)

 

 教皇フランシスコが3月25日付けで、聖職者などによる性的虐待に対する規制厳格化のための自発教令形式による使徒的書簡『あなたがたは世の光である』Vos estis lux mundi改訂版を出された。対応の遅い日本の司教団はこの重要な使徒的書簡の日本語訳についても、いつ出すのかさえ判然としない。そこで有志の手により、日本語による全訳をいただいたので、以下に掲載する。

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 教皇フランシスコの自発教令形式による使徒的書簡『あなたがたは世の光である』Vos estis lux mundi 改訂版 2023年3月25日

「あなたがたは世の光である。山の上にある町は隠れることができない」(マタイ福音書5章14節)

 私たちの主イエス・キリストは、すべての信者が、徳や高潔さ、聖性の光り輝く模範となるよう呼びかけています。実際、私たちは皆、その生活において、特に隣人との関わりにおいて、キリストへの信仰を具体的に証明するよう求められているのです。

 性的虐待の犯罪は、私たちの主に背く行為であり、その犠牲者に身体的、心理的、霊的損害を与えるとともに、信者の共同体を傷つけるものです。いかなる形態であれ、このような出来事が二度と起こらないようにするためには、継続的、かつ心からの深い改心が必要とされ、それは全ての人を教会へ参与させる具体的かつ効果的な実践によって証明されるものなのです。そうすることで、一人一人の聖性と道徳的な努力とが一つとなって、福音のメッセージの信頼性と教会の使命の有効性をより高めることとなるのです。

 これは心に注がれる聖霊の恵みによってのみ実現されます。なぜなら、「私から離れては、あなたがたは何もできない」(ヨハネ福音書15章5節)と言うイエスの言葉を私たちは、常に胸に刻んでおかなければならないからです。

 これまですでに数多くのことがなされてきましたが、希望ある未来へ向かって行くために、私たちは過去の苦い経験から学び続けなければなりません。こうした責任を負うのは、特に神の民を司牧的に導く者として神により使命を与えられた使徒たちの後継者たちであり、彼らには常に神聖なる師の足跡の間近にあってこれを辿る努力を怠らないことが求められています。

 事実、彼らはその職務ゆえに、「キリストの代理者および使者として自分に託された部分教会を 助言、勧告、模範によって、また権限と聖なる権能をもって運営する。但し 年長者は最年少者のようにまた統治する者は仕える者のように行うことを念頭に置き、真理と聖性の中に自分の群れを育てる目的においてのみ、彼らはこの権能を行使する」(第二バチカン公会議『教会憲章』27項)のです。

 使徒たちの後継者たちに関わる喫緊の課題は、教会において様々な仕方で職務を引き受けている人、福音的勧告を宣誓した人、あるいはキリストを信じる民に仕えるよう招かれた人、これらすべての人々に関わる問題です。そのため、信者の信頼を裏切るこうした犯罪を予防および阻止するために、世界規模の体制が採用されることが望ましいのです。

 この目的において、2019年5月7日に私は3年間の暫定的(ad experimentum)規則を記した自発教令形式の使徒的書簡を発布しました。そして今、事前に定めたその期間が終了しました。

 司教会議およびローマ教皇庁の各省庁の見解を考慮し、この数年間の経験を評価したうえで、規定のより良い施行を実現するため、以下の通り定めます。

 

第1章 総則

 第1条  適用範囲

1  本規定は、聖職者、奉献生活の会または使徒的生活の会の会員 および使徒座により承認、もしくは創設された国際信者団体の総長に関して、次の事柄につき報告があった際に適用するものとする。

a

*神の十戒の第六戒に反する犯罪のうち、暴力または脅迫、権威の濫用により性的行為を行うように、もしくは受けるように他者に強要した場合。

**神の十戒の第六戒に反する犯罪を、未成年者、日常的に十分な判断を行うことが出来ない者、あるいは成年の弱者に対して行った場合。

***児童および日常的に十分な判断を行うことが出来ない者のわいせつ画像の購入、所持、公開、頒布につき、形式および手段の如何に関わらずこれを行った場合

****未成年者、日常的に十分な判断を行うことが出来ない者、成年の弱者に対して、わいせつな形で自らをさらすこと あるいは現実的もしくは仮想的なわいせつ物公然陳列に参加するよう誘ったり導いたりした場合。

b  本項 が規定する犯罪について上記第1項に定める人々に対し民事的、教会法的、行政的、もしくは刑事的に行う調査に関し、第6条に定める人々が、作為的、もしくは不作為的に干渉したり、これを回避したりした場合。

2  本規定を適用するにあたって下記の用語を以下の通り定義する。

a 「未成年者」:18歳未満の全ての者。 日常的に十分な判断を行うことが出来ない者も未成年者と同等とみなす。

b 「成年の弱者」:疾患を有する者、身体的もしくは精神的に不利な条件にある者、あるいは事実上、一時的であっても、理解力、意志能力、侵害に対する抵抗力が制限されていることから個人として自由を欠く状態にある全ての者。

c 「児童ポルノ素材」:使用される手段を問わず、実際のまたは仮想上の明白な性的行為に関係している未成年者の様子を表現する全てのもの、 および性的欲求を満たす目的、もしくは営利目的を有する未成年者の性器を表現する全てのもの。

第2条  報告の受理およびデータの保護

1  それぞれの司教協議会、総大司教教会(chiese Patriarcali)や主幹大司教教会(Chiese Archivescovili Maggiori)の司教会議(Sinodi dei Vescovi)、自治権を有する主都大司教教会(Chiese Metropolitane sui iuris)の裁治権者評議会(Consigli dei Gerarchi )により必要に応じて採用されてきた指針を考慮したうえで、ラテン教会の教区(Diocesi)およびカトリック東方諸教会の教区(Eparchie)は、それぞれ個別に、あるいは共同で、報告を受理するための一般利用しやすい組織や事務所を設けねばならない。その教会組織や事務所へこれらの報告が提出されるようにせねばならない。

2  本条に情報は、教会法第471条第2項およびカトリック東方教会法第244条第2項第2号の規定に従って、安全性、完全性、秘密性が保証されるよう取り扱われ、保護される。

3  第3条第3項に規定の場合を除いて、報告を受けた裁治権者は、直ちにこれを事件が起きたとされる場所の地区裁治権者 ならびに報告の対象者の裁治権者に伝達する。その2名の裁治権者間に別段の合意がある場合を除き、事件が起きたとされる場所の地区裁治権者が、具体的な事案について定められた法律規定に従い手続きを開始する義務を負う。

4  本章の効力に関して、Diocesi(ラテン教会の教区)はEparchie(カトリック東方諸教会の教区)に等しいものとし、 Ordinario(ラテン教会の裁治権者)は、Gerarca(カトリック東方諸教会の裁治権者)に等しいものとする。

第3条  報告

1  聖職者が内的法廷の職務を遂行する中で情報を知るに至った場合を除いて、聖職者、あるいは奉献生活の会または使徒的生活の会の会員が、第1条が規定する事案のうちのいずれかが犯されたと判断される情報を得るか、その根拠ある理由を見出した場合は、事案が起こった場所の地区裁治権者または、教会法第134条およびカトリック東方教会法第984条が規定する他の裁治権者に速やかに報告する義務を負うものとする。ただし本条第3項に規定する場合に関してはこの限りではない。

2  いかなる人も、特に教会における任務を負い職務を担う世俗の信者は、第1条に規定する行為につき報告することができる。その際は、前条に記載の方法、もしくは他の適切な方法において行うものとする。

3  報告の内容が第6条に示す人物に関わる場合、その報告は第8条および第9条に基づき特定の権限者宛てに行われるものとする。報告は、直接または教皇使節を介して 常時、管轄の省庁宛てに行うことができる。直接報告のあった場合、これを受けた省庁はその旨を教皇使節に連絡する。

4  報告は、できる限り詳細な内容を含むものとし、事案が起きた時刻や場所、関係する人物、事案について報告を受けた人物、さらに事案を慎重に評価するために有用とみなされるその他の全ての状況についても報告せねばならない。

5  情報は職権によって(ex officio)得ることも可能とする。

第4条  報告者の保護

1  第3条の規定に従って報告を行うことは、職務上の秘密を犯したことにはならない。

2  教会法第1390条およびカトリック東方教会法第1452条、第1454条に規定する事項を除いて、報告を行ったことを理由にその者に対する偏見を抱いたり、報復や差別を行ったりすることは禁じられる。これらは第1条第1項b)が規定する事柄を補完する行為となり得る。

3  報告者、被害を受けたことを認めている者、および証人に対しては、報告の内容について一切の黙秘の義務を課すことはできない。但し、第5条第2項に規定の内容は遵守されねばならない。

第5条 人々に対する配慮

1  教会当局は、被害を受けたことを認める人々が、その家族とともに、尊厳と敬意をもって扱われるように努め、これらの人々に対してとりわけ次の事柄を提供するものとする。

a  彼らを受け入れ、話を聞き、寄り添うこと。これらは特定の奉仕職を介しても行うことができる。

b  霊的な支援。

c  具体的事例に応じた医学的、治療的、および心理学的支援。

2  事件に関与させられた人々の名声やプライバシー、さらにその個人情報の秘密が正当に保護されるよう監察が行われねばならない。報告の対象者に対しては、第13条第7項の推定が適用される。但し、第20条に規定の内容が遵守されねばならない。

 

第2章 司教およびこれと同等の人々に関する規定

 第6条  適用される主体の範囲

 本章に記載の手続き規定は、第1条に定める事案のうち、以下の者によって犯された犯罪および行為に適用される。

a  枢機卿、総大司教、司教、教皇使節

b  ラテン教会またはカトリック東方諸教会の部分教会、あるいは属人教区を含む類似の団体の司牧的務めを委ねられた聖職者、または過去にこうした役割を担っていた聖職者が、在職期間中に起こした事件。

c  属人区の司牧的務めを委ねられた聖職者、または過去にこうした役割を担っていた聖職者が在職期間中に起こした事件。

d  聖職者の公的会 associazione pubblica clericale)の指導者である聖職者、または過去にこうした役割を担っていた聖職者で、司祭を入籍させる権限facoltà di incardinare のある者が、在職期間中に起こした事件。

e  教皇権の奉献生活の会または使徒的生活の会の総長、および自治修道院の院長、または過去にこうした役割を担っていた者が、在職期間中に起こした事件。

f  使徒座により承認もしくは創設された国際信者団体の総長である世俗の信者、または過去にこうした役割を担っていた者が、在職期間中に起こした事件。

第7条  教皇庁の管轄省庁

1  本章の規定に基づき、「管轄省庁 Dicastero competente)と言う場合、現行法規によって教理省に委ねられている犯罪に関しては、教理省がこれを管轄する。ただし、その他の全ての事案ならびにローマ教皇庁の固有法に基づく各管轄権に関しては以下の通りとする。

・東方教会省
・司教省
・福音宣教省
・聖職者省
・奉献・使徒的生活会省
・いのち・信徒・家庭省

2  より良い連携を確実に行うため、管轄省庁は、報告および調査の結果につき、教皇庁国務省ならびに直接関係する他の省庁に連絡するものとする。

3  本章に示す連絡のうち、管区大司教と聖座間の連絡は、教皇使節を通して行われるものとする。

第8条  ラテン教会の司教 および第6条に定める人物に関する報告の場合に適用可能な手続き

1  報告を受けた権限者は、管轄省庁ならびに報告の対象者が住所を有する地域の管区大司教にこれを回付する。

2  報告が管区大司教に関わるものである場合、または管区大司教座が空位である場合、報告は聖座ならびに管区所属の司教職位にある最年長者に対して行い、この場合、その促進のために管区大司教に関連する以下の規定が適用されます。同様に、聖座の直接管轄下にある教区の司牧的指導を行う者に関する報告も聖座に提出することとする。

3  報告が教皇使節に関わるものである場合、その報告は国務省に対して直接行うものとする。

 

第9条  カトリック東方諸教会の司教、およびに第6条に定める人物に関する報告の場合に適用可能な手続き

1  総大司教教会、主幹大司教教会、あるいは自治権を有する主都大司教会の司教またはこれに同等の人物に関わる報告の場合、その報告はそれぞれ総大司教、主幹大司教、あるいは自治権を有する教会の主都大司教に対して行うものとする。

2  報告が、総大司教会または主幹大司教教会の管区大司教に関わるものであり、当該管区大司教がこれらの教会の領域内で自らの職務を遂行している場合、報告はそれぞれの総大司教、または主幹大司教に対して行うものとする。

3  以上の事例において報告を受けた権限者は、東方教会省に対しても報告するものとする。

4  報告された人物が、総大司教教会、主幹大司教教会、あるいは自治権を有する主都大司教教会の領域外の司教、または管区大司教である場合、報告は東方教会省宛に行うものとし、必要と判断する場合、管轄の総大司教、主幹大司教、もしくは自治権を有する管区大司教にその旨を連絡することとする。

5  報告が総大司教、主幹大司教 自治権を有する教会の管区大司教、あるいは自治権を有するその他の東方教会の司教に関わるものである場合、これを東方教会省に対して行うものとする。

6  以下の管区大司教に関する規定は、本条に則り報告を受けた教会当局に適用される。

 

第10条  奉献生活の会または使徒的生活の会の総長に対し適用可能な手続き

 教皇権の奉献生活の会、または使徒的生活の会、ローマおよびローマ近郊の諸教区にある自治権を有する観想修道院につき、これらの総長あるいは元総長に関する報告の場合、これを管轄の省庁に対して行うものとする。

 

 

第11条  管区大司教がとるべき初期対応

1  報告を受けた管区大司教は、直ちに管轄省庁に対して調査開始のため職務委任を申請する。

2  管轄省庁は直ちに、すなわち教皇使節からの第一報を受けてから、または管区大司教から職務委任の申請を受けてから30日以内に、具体的な事案においてどのように手続きを進めるかにつき適切な指示を与え措置を講じる。

3  管区大司教は、報告が明らかに根拠を持たないと判断した場合は、教皇使節を通じてその旨を管轄省庁に報告する。 また、これにつき別段の定めがある場合を除き、事案の取下げを命じる。

 

第12条  管区大司教とは異なる人物への調査の委任

1  管轄省庁が、教皇使節の意見を聞いたうえで管区大司教とは異なる人物に調査を委任するのが適切と判断した場合、これらの人に対しその旨が連絡される。管区大司教は、全ての情報ならびに重要な資料を、管轄省庁から委任された人物に提供する。

2  前項の場合、以下の管区大司教に関わる規定は、調査の実施を委任された人物に対して適用される。

 

第13条  調査の実施

1  管区大司教は、管轄省庁から職務委任を受けた後、実施方法につき与えられた指示を順守し、本人自らまたは適切な一名あるいは複数の人物を介して以下のことを行う。

a  事件に関する重要な情報を収集すること。

b )教会事務局の記録庫に保管されている調査上必要な情報や文書資料を入手すること。

c  必要に応じて 他のラテン教会の裁治権者もしくはカトリック東方諸教会の裁治権者の協力を得ること。

d  必要に応じて、また以下第7項の規定を遵守したうえで、調査上有益な情報の提供が可能だと判断される人物や組織に情報提供を求めること。なお、これには民間の人物や組織も含む。

2  未成年者または成年の弱者から事情を聞く必要があると判断された場合、管区大司教は、こうした人々の状況および国の法律を考慮した上で適切な方法を採用するものとする。

3  調査に関する情報または文書資料の隠滅の可能性があると判断し得る根拠がある場合、管区大司教はこれらの保護のために必要な措置を講じることとする。

4  他の人物を介して調査が行われる場合であっても、管区大司教は引き続き調査の指揮および実施責任者であり、かつ第11条第2項が規定する指示を正確に遂行するうえでの責任者となる。

5  教会法第483条第2項およびカトリック東方教会法第253条第2項の規定に従って、任意に選任した公証官が管区大司教を補助する。

6  管区大司教には、公平性をもって行動しかつ利害対立関係が無いことが求められます。管区大司教は、自らが利害関係を有しているか必要な公平性を維持することができないため調査の完全性を保証することが困難であると判断した場合、自らこの役割を辞し管轄省庁に状況を報告する義務を有する。同様に、上に述べた利害の対立関係にあると考えられる人は全て、管轄省庁へ報告しなければならない。

7  調査の対象者には、推定無罪および正当な名誉の保護が認められる。

8  管区大司教は、管轄省庁からの要請に応じて、取り調べを受ける人物に対して、原告側として調査を実施する旨を通知し、事実関係を聴取し、抗弁書を提出するように求める。その際、取り調べを受ける人物は代理人を立てることができる。

9  管区大司教は、指示に従い、定期的に管轄省庁へ調査の状況を報告するものとする。

 

第14条  専門家の参加

1  調査における管区大司教への協力方法に関して、司教協議会、世界代表司教会議、またはカトリック東方教会の裁治権者協議会の特別の行動指針がある場合はそれに従って、各管区の司教たちが個別にまたは共同で専門家のリストを作成することが大変有用である。 その中から 管区大司教は事案の必要性に応じて、調査協力に適切な人物を選択することができる。その際、とりわけ教会法第228条およびカトリック東方教会法第408条に規定する 一般信徒により可能な協力を考慮して行う。

2  いずれにしても管区大司教は、同様に専門性を有するその他の人々を自由に選択することが可能である。

3  調査にあたり管区大司教を補佐する人は誰しも、公平性をもって行動し かつ利害の対立が無いことが求められます。もし自らが利害関係を有しているか必要な公平性を維持することができないため調査の完全性を保証することが困難であると判断した場合は、自らこの役割を辞し管区大司教に状況を報告する義務を有する。

4  管区大司教を補佐する者は、第13条第7項の規定を遵守し、適切かつ忠実に任務を遂行する旨の宣誓を行わねばならない。

 

第15条  調査期間

1  調査は短期間、すなわち、いかなる場合も第11条第2項に示す期日内に完了せねばならない。

2  正当な理由がある場合、調査状況につき報告書を送達した後に、管区大司教は管轄省庁に対して期間の延長を求めることができる。

 

第16条  保護対策

 事実関係または状況から必要とされる場合、管区大司教は管轄省庁に対して、調査対象者に対する適切な保護措置や対策を採用するよう提案する。省庁は教皇使節に聞き取りをしたうえで措置を講じる。

 

第17条  基金の設立

1  教会管区、司教協議会、世界代表司教会議、およびカトリック東方諸教会の裁治権者評議会は、これらの調査に関する費用をまかなうための基金を設立することができる。これは、教会法第116条、第1303条第1項第1号、およびカトリック東方教会法第1047条の規定に従って設立され、教会法の規定に従って管理運営されるものとする。

2  調査の任務を委託された管区大司教の要請に基づき、基金の管理者は管区大司教が調査に必要な基金を使用できるようする。ただし管区大司教は、基金の管理者に対して調査終了時に決算報告書を提出する義務を有する。

 

第18条  調査記録および意見書(votum)の送付

1  調査が完了したら、管区大司教は管轄省庁に調査記録原本を送付する。その際、調査結果に関する自らの意見書(votum)、および第11条第2項が規定する指示書の中に質問事項がある場合はそれに対する回答も、併せて送付する。調査記録の写しは、管轄の教皇使節の記録庫に保管する。

2  管轄省庁から引き続き指示がある場合を除いて、管区大司教の権限は調査完了の時点で消滅する。

3  管轄省庁の指示に従い 管区大司教は要請に応じて、被害を受けたことを認めている者、またその場合、本件の報告を行った者、 もしくはこれらの者の法的代理人に対して調査結果を報告する。

 

第19条  その後の措置

 管轄省庁は、追加調査を命じる決定を行った場合を除いて、具体的な事案ごとに定められた法律規定に従って手続きを進めるものとする。

 

第20条  国の法律の順守

 本規定は、各地で国の法律により定められた権利および義務を損なうことなく適用されるものとする。特に、市民法上の管轄当局に報告する義務がある場合、これを遵守せねばならない。

 この自発教令形式の使徒的書簡は、『オッセルヴァトーレ・ロマーノ』紙上での発表をもって公布され、2023年4月30日より効力を生じること、さらに『使徒座官報』(AAS)においても公表されることとする。本書簡の発効に伴い、2019年5月7日公布の自発教令形式の前使徒的書簡は失効する。

 ローマ、聖ペトロの傍らにて 2023年3月25日 主の受胎告知の祝日 教皇在位第11年 フランシスコ

(仮訳はG.T師による)

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2023年4月10日