・「”疫病”のように蔓延している」英国の独立調査委員会が教会、学校、役所など公的機関での児童性的虐待で最終報告書(VN)

2021.11.18 abusi su minori, abuso, tutela del minore

(2022.10.20 Vatican News  Devin Watkins)

   英国のイングランドとウェールズにおける児童の性的虐待に関する独立調査委員会(IICSA) が20日、7 年にわたる調査をもとにした最終報告書を発表、役所や宗教施設における虐待が「全域で蔓延」していることが明確になった。

*少女の6人に1人、少年の20人に1人が性的虐待を受けている

 調査は2014 年 7 月に英政府が決定、翌年 2 月、IICSAが公式の調査機関として設立され、関係者の召喚や機密情報へのアクセスなど広範かつ強力な法的権限が与えられた。

 IICSAは、カトリック教会、英国国教会、学校、医療施設、役所など公的機関を対象に、児童を性的虐待から守るための注意義務の履行状況などを詳細に調査を実施。

 その結果、イングランドとウエールズの全域に児童虐待が広がっており、少女の 6 人に 1 人、少年の 20 人に 1 人が 16 歳以前に性的虐待を受けている、推定した。

*「過去の問題ではない、今も増え続け、対策も不十分」と委員長

 最終報告書は、教会を含む公的機関と政治家の両方が「子供たちの福祉よりも、自らの評判を優先」し、「何十年にもわたって虐待事件を隠蔽してきた」と指摘。さらに、「多くの機関が、いまだに適切な保護対策を実施していない」と強く批判した。

 IICSAのアレクシス・ジェイ委員長は、記者会見で「調査によって明らかになった虐待の規模と内容は、衝撃的で非常に不安をあたえるもの」と述べ、「これは数十年前に起こった単なる歴史的異常ではありません。今も増え続けている問題であり、全域的な”疫病”です」と警告した。

 

*カトリック教会も声明発表、報告書を真摯に受け止め、被害者に「無条件に謝罪」

   IICSA 最終報告書発表を受けて、イングランド・ウェールズ司教協議会のカトリック評議会が声明を発表、報告書の内容を真摯に受け止め、教会で虐待によって傷つけられた人たちへの「無条件の謝罪」を改めて行うとともに、提言についても保護対策の改善、実施を検討する考えを強調。

 カトリック教会として、弱者保護の努力を続けることを約束。「イングランドとウェールズのカトリック教会の信徒、そしてカトリック教会に関わりをもつすべての人を守る使命を果たすため、献身的な努力の旅を決して止めません」と約束している。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年10月21日