Pope Francis meets with journalists Pedro Salinas (left), Paola Ugaz (center right), and Elise Ann Allen (right) inside the library of the Apostolic Palace on Dec. 9, 2024. (Credit: Vatican Media.)
(2024.12.9 Crux Elise Ann Allen)
ローマ発 – 教皇フランシスコは9日、ペルーを拠点とするSodalitium Christianae Vitae(SCV)の不祥事を報道し、その報道に関連して多数の法的苦情やソーシャルメディアによる嫌がらせを受けてきた3人のジャーナリストと非公開で会見された。
Cruxのジャーナリスト、ペドロ・サリナス、パオラ・ウガズ、エリス・アン・アレンの3名は、バチカン宮殿の図書館で9日朝、SCVとそのさまざまな支部の被害者を代表し、また、報道の過程で同団体から圧力を受けた他のジャーナリストたちを代表して、会見したもの。
1971年にペルーの信徒ルイス・フェルナンド・フィガリによって設立されたSCVは、性的虐待や金銭的腐敗など、さまざまな不正行為の疑惑が浮上した。サリナスとウガスは、 2015年に出版した『Half Monks, Half Soldiers』で、このグループに関するスキャンダルを最初に公表していた。
教皇は昨年、この問題を担当するマルタの大司教チャールズ・シクルナとスペインのモンシニョール・ジョルディ・ベルトメウによる特別調査団をリマに派遣し、SCVに対する虐待と財務上の不正行為に関する継続中の疑惑を捜査させた。捜査の結果、これまでにフィガリをはじめとする14人の高位聖職者が除名処分を受けている。
面会した3人は、教皇がこの事件に関心を示し、特別調査団を現地に派遣してくれたことに感謝を述べた。3人の一人、ウガス氏は、2022年11月10日に教皇と会い、SCVに関する10年近い調査で得た知見について、また、2015年に彼女とサリナスが著書を出版して以来、SCVと関連のある個人や組織から受けた司法による迫害について説明していた。そして今回の会見で、ウガズ氏は、SCVの疑惑の金融犯罪に関する最新の調査結果の詳細を報告。
3人はまた、被害者が特別調査団に報告した身体的、性的、心理的、精神的な虐待、および権力と良心の乱用についても話し、これらの苦情は氷山の一角に過ぎず、SCVのさまざまな改革努力は失敗したという多くの人々の信念を伝え、教皇は「私たちはそれを決着させるつもりです」と約束され、「これから、そのために必要な人々と話し合います」と語られた。。
さらに3人は、教皇に、最近除名された者を含むSCVの複数のメンバーが、「教皇の死を待って、次の教皇に除名処分の撤回を訴えるつもりだと公言している」ことを伝えた。アレン氏によると、ペルー人ジャーナリストでSCVから除名された一人、アレハンドロ・ベルムデスがソーシャルメディアへの投稿で「次の教皇が現れるまで、じっと時が過ぎるのを待っている。そうすれば、自分の主張を述べ、本来の居場所であるコミュニティに戻ることができる」と述べている。
これに対し教皇は、「(そのようなことを言っているのは)彼らだけではありません」とされ、「ベッド脇のテーブルに額をぶつけて出来た痣は、『枢機卿になりたかったが7日の枢機卿会議で赤い服を着る権利を得られなかった司教』によるものです」と冗談を言われた。
アレン氏はまた、報復を恐れて、米国の多くの被害者や元SCVメンバーがまだ特別調査団と話をしていないことを指摘。彼らの訴えを聴くために、特別調査団を米国のSCVの主要な活動拠点があるデンバーに送ってくれるよう求めた。
さらに3人は、「被害者たちは、SCVおよびフィガリが設立した他の4つの共同体やグループ(マリア和解共同体=MCR、神の計画のしもべ=SPD、キリスト教生活運動=CLM)に対する処分だけでは不十分で、補償を求めている」と教皇に伝えた。ウガズ氏は、「SCVが被害者に話を聴き、補償を検討するために設置した2つの調査委員会は機能していない」と批判。SCVが不正な手段で得たとされる資金で、被害者に正当な補償を行う独立委員会の設置を教皇に求めた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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