・性暴力の被害者が神言会に損害賠償求める裁判で、被告側は性的虐待をしたとされる司祭を「補助参加人」に

(2024.7.17 カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が「外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかった」として司祭(加害当時)が所属していた修道会、神言会(日本管区の本部・名古屋市)に損害賠償を求めた裁判の第4回口頭弁論が17日、東京地方裁判所第615法廷で、原告・田中時枝さん(東京教区信徒)の支援者たち約50人が傍聴席を埋める中で行われた。

 神言会側代理人弁護士は(神言会司祭だったヴァルガス・F.O.サビエルによる被害者への性的虐待行為を)これまで「否認」していたが、さらに前回5月の口頭弁論で、「不知(知らない)ではない」と言明、さらに今回、準備書面に、「虐待行為があったとする原告の主張は虚偽」という内容のバルガス本人の言葉まで加えられた、という。

 被告側は、当事者である神言会の代表は裁判当初から今回に至るまで出廷せず、代理人弁護士のみの出廷が続いているが、今回は、新たにバルガスを「補助参加人」としたうえ、その代理人弁護士2名が加わった。

 このような被告神言会側の対応に、原告代理人の秋田一惠弁護士は裁判後の支援者の集会で、「私たちが訴えているのは、神言会が『適切な対応を取らなかった』ことであるにもかかわらず、それに反論せずに、『否認』し続け、さらに、ヴァルガスがまだ何の答弁もしていない前に、ヴァルガスに成り代わって『当人は性的虐待をしていない』と被告神言会が主張したり、ヴァルガスが原告を中傷していた内容まで法的主張として準備書面上で述べるのは、原告の心を二重、三重に傷つける行為以外の何ものでもない」と、修道会としての誠意を欠いた姿勢を強く批判。

 さらに、「信者から告解を聴き、キリストに代わって赦しを与える、という司祭としての重要な権能を悪用して、性的虐待行為を繰り返したことについて、ヴァルガスが所属していた神言会は、責任がない、というのはそもそも、理解できない」と言明。

 「『使用責任(民法715条)は争わない』としながら、『彼は性的虐待行為をしていない』と(使用責任を持つ当事者のような)主張を続けたうえに、ヴァルガスを『補助参加人』として代理人弁護士を二人加える一方で、本人の現在の居所などについては準備書面の閲覧制限を申し立ているのも、筋が通らない」と非難している。

 次回は、10月17日午後3時から東京地裁第615法廷で行われる予定。

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2024年7月17日