(2024.11.14 Vatican News Kielce Gussie)
バチカン未成年者・弱者保護委員会主催で13日から15日までローマで開かれた「欧州における被害者保護」の会合は、欧州の約25カ国から集まった司教、司祭、一般信徒など約100人の代表が教会における性的虐待に関する被害者保護と予防の経験を話し合い、さまざまな立場の人々が性的虐待への対応でネットワークを築き、協力することが極めて重要であることを確認した。
性的虐待、その防止策、そして被害者の支援は、特定の国に限られた問題ではない。フランス、イギリス、スペイン、アイルランドなどヨーロッパのいくつかの国では、カトリック教会における性的虐待の事例に関する報告書が相次いで発表されており、この問題がどれほど欧州中の教会に蔓延しているかを示している。
会合参加者の一人、イングランドおよびウェールズのカトリック教会の保護責任者、ポール・メイソン司教は、「私たちは孤立した形で務めを果たすことはできない。同じ立場にある様々な人の成功例や失敗例から学び、優れた実践を共有することが、私たち全員にとってより良いことだと考えている」と語った。
会合での報告で、メイソン司教は、イングランドとウェールズでは、司教協議会が独立機関と協力し、教会組織における保護対策の監査、見直し、監視を実施しており、またカトリック教会の保護基準機関は、独立機関と教会関係者からなる委員会で構成され、全教区および宗教団体にわたって子供や弱者を守るための共通基準を定めている、と説明した。
またアイルランド司教協議会の会長であるイーモン・マーティン大司教は、アイルランドの教会では被害者の癒しのプロセスにおいて2種類の支援を提供している、と説明。1つは心理的支援、もう1つは精神的な支援で、「虐待の最も悲しいことの1つは加害者が、教会に非常に近い人々であったこと」と述べ、教会への信頼を失くした被害者と共に歩むために必要な具体的方策について語った。
マルタ大司教区のこの問題の責任者であるマーク・ペリカーノ氏は、同大司教区では保護委員会が防止と研修に重点的に取り組んでおり、「私たちは、防止活動と研修をより多く行うことで、虐待の被害者が減ることを強く期待しています」と説明。被害者支援にあたっては、加害者責任、説明責任、透明性、誠実性の4つの価値観を掲げている、と述べた。
会合で参加者が語ったさまざまな経験から得た教訓に共通しているのは、「被害者の声を大切にすることに焦点を当てること」だった。また、メイソン司教は、「被害者の視点から保護の問題を見なくなると、まるで全体から心が失われてしまう」と、保護を”企業化”することに警鐘を鳴らした。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)