(2025.1.21 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)
ローマ発 – スキャンダルにまみれたペルーの信徒団体Sodalitium Christianae Vitae(SCV)の解散が、このほど明らかになったが、そのSCVが、教皇フランシスコと解散を監督するバチカンの責任者に服従を誓った。
解散のニュースは、18日にスペイン語のインターネット・サイトInfoVaticanaが最初に伝えた。それによると、ブラジルのアパレシーダで1月6日から31日まで開かれていたSCVの総会で、教会改革を任務とする教皇特使でSCVと歴史的なつながりを持つギルランダ枢機卿が、教皇の解散布告を通達、解散の理由として「同団体の創設者の不道徳な行動とカリスマ性の欠如」を挙げ、また、同団体を調査しているバチカン高官のベルトメウ司教が、解散プロセスを監督する教皇特使に任命されたことも明らかにした。
これまでに、SCVやペルー司教会議(今週、新たな指導者の選出のために会合を開いている)から公式声明や布告は発表されていないが、総会に参加した複数の関係者がCruxに、これが事実であることを確認した。
SCVは20日付けで声明を出し、InfoVaticanaで伝えられた、解散を確認する一方、「この記事には、いくつかの不正確な点がある」と指摘したが、不正確な点が何が説明していない。だが、InfoVaticanaに情報が漏洩したことの影響の深刻さを踏まえてまず、SCV取った対応は、「極秘情報を漏洩するという不条理な行為の責任を負うよう、責任者に強く促すことだった」と述べた。そして、アパレシーダの総会に出席していた2人のSCVメンバーが情報漏洩の責任を認め、「出席者たちに赦しを請うた後、団体から確実に除名された」と説明。「私たちは、2人のメンバーの不祥事が報道機関に悪用され、ギルランダ枢機卿自身がリークの責任者であるかのような疑いをかけられているのではないか、という報道があることを遺憾に思います」と述べた。
一部の報道では、バチカン当局が調査官と会う前に、ギルランダ枢機卿自身が発表を行う権限があったのかどうかについても疑問を呈されている。現在、リマでペルーの司教たちと会合しているベルトメウ司教は、おそらくSCVの解散とその実施について話しているものと思われる。
SCVは声明で、公式発表で公表されたニュースについてのみ責任を負うとし、したがって、会議、SCV、教皇およびその代表者に関連する「報道された、または今後報道されるその他のニュースとは一切関係がない」と述べる一方、「我々が信頼し、従属する教皇、および教皇使節であるギルランダ枢機卿とベルトメウ司教に対して忠誠を誓った」としている。
SCVの声明では、直接言及されていないが、バチカンが現在進行中の調査の一環として、昨年、SCVから追放したペルー人ジャーナリストのアレハンドロ・ベルムデス氏が、SCVの解散に関する教皇の代理としてのベルトメウ司教に服従しないよう求める長文の公開書簡をSCVのメンバーに送っている。ベルムデス氏は、ソーシャルメディアのXに20日に投稿した原稿で、バチカンによる調査中に除名された他のSCVメンバーの案件に関する機密情報を明らかにした。
ベルムデス氏とSCVに近しい他の人物は、一昨年7月に教皇が派遣した特別調査団の一員としてマルタ教区長のシクルナ大司教とともにベルトメウ司教をリマに到着して以来、日常的に批判してきた。昨年、SCVと密接な関係にある2人の人物が、教皇特使として外交特権を持つベルトメウ司教に対して、調査に関連する行為を理由にペルーの裁判所に刑事告訴しており、InfoVaticanaの記事で、ベルムデスは、シクルナ大司教とともに教皇の最も信頼する虐待調査官の一人であるベルトメウ司教を「調査する」と誓った。ベルトメウ司教は、SCVの資産の清算や司祭の教区への編入などを監督する任務を負うことになる。
SCV解散のニュースを受け、SCVが所有するアレキパのカトリック大学セントポール校は20日、「解散が、学術活動にほとんど影響を与えないこと」を示す声明を発表した。同大学はSCVの単独プロジェクトではなく、「ペルーの法律によって認定された、大学教育を提供する機関」であると主張。
さらに、「独自の法的地位、大学の自治、組織の安定性、学術的な名声、そして社会の総合的な発展の主役となるような展望も有している」とし、「SCVとその将来に関するいかなる決定も、私たちの大学プロジェクトのコミュニティに影響を与えることはない」と言明。「私たちは、カトリックのアイデンティティを基盤として、人文科学、専門性、高度な学術的育成の提供という確固たるコミットメントを維持しながら、今後も活動を続けていく」と述べている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.