・イタリアでカトリック学校の指導者の司祭が、未成年者への性的虐待で逮捕(Crux)

|Senior Correspondent  Elise Ann Allen

   ローマ – 元学校長で、北イタリアのカトリック学校連盟の元会長でもある著名な司祭が先週、思春期の少年を性的虐待した容疑で逮捕され、他の数人の少年に対する性的虐待疑惑の捜査が続いている間、拘留されている。

 この司祭はアンドレア・メリス神父(60)。少年が12歳の時から3年以上にわたって性的虐待をしたとして告発され、8月2日逮捕された。

 イタリアの複数のメディアの報道によると、逮捕容疑は、電子タバコ、プリペイドカード、有名ブランドの服、外食、ビデオゲームなどを与えるのと引き換えに、キス、抱擁、その他の性的行為を働いた、というもの。現在、自宅軟禁されており、ジェノヴァの検察当局から児童買春と加重暴力の容疑で捜査されている。

 ジェノヴァ大司教区は声明を発表、この事件について遺憾の意を表明するとともに、被害者とその家族に寄り添うことを約束した。また、被害の訴えを受けた後、すぐに教会法上の手続きを開始し、バチカンに報告した、と言い、「教会法で予見された措置は、当分の間、(メリスに対して)取られており、捜査当局にしている」と説明した。

 ジェノヴァの教区に属するメリスは、ジェノヴァを州都とするリグリア州のカトリック学校の連合体、Fidae Liguriaの元会長で、ジェノヴァのPadre Assarotti小学校と幼稚園の園長でもあった。また、パドヴァの聖アントニオの小教区の主任司祭もしていた。

 イタリアのメディアの報道によると、メリスは、13歳から15歳までの少なくとも7人の少年に対して性的虐待をしていた疑いがある。検察当局の逮捕は、そのうち3人の証言を基にしたものだが、他の4人についてはまだ捜査中だ。

 3年にわたって性的虐待を受けた少年を含む数人の少年たちは、アッサロッティ学校の元生徒であり、伝えられるところによると、メリスから「愛撫」、マッサージ、キスと引き換えに、ビール、栄養ドリンク、現金、デザイナー服などの贈り物を受け、「このことを両親には言わない」という約束をさせられていた、という。

 また、メリスは司祭としての立場を利用して少年たちの尊敬を得ていたとみられ、自分が彼らの友人であり、「大人」が禁じていたことを彼らに許す、と約束していた。

 伝えられるところによると、性的虐待を受けた少年の両親、そして以前はメリスの祭壇の奉仕者であった少年の両親が、不審に思ったのをきっかけに告発に至った、という。

 イタリアのニュースサイトCorriere della Seraによると、少年の両親は、息子がデザイナーズ服を持ち帰ったことに疑念を抱き、どこで手に入れたのか質したところ、彼は説明できなかった。両親は、メリスが息子に「執拗な」興味を抱いていたのは、彼が13歳の時だった、と言い、ある時、メリスから「サルデーニャ島での休暇に行こう」と誘われ、高価な贈り物をもらった、と息子から聞いて、疑念を抱くようになった。

 性的虐待を続けたメリスは少年を夕食に連れて行き、デザイナーの服を彼に与え、少年の名前で登録されたプリペイドカードに合計約5500ドルを支払った。少年が高校に入学したとき、両親は彼がメリスに会うことを禁じようとした。

 だが、両親が息子の携帯電話を調べたところ、メリスとのチャットを発見し、二人の関係が続いていることが分かった。彼らは少なくとも10回は会っていたようで、そのほとんどがメリスが校長兼音楽教師を務めていた Assatorri高校でのことだった。両親が見つけたとされるメリスからの携帯電話のメッセージの一つには、「木曜日の夜に会って、お前をキス攻めにする…もう我慢できない」とあった。

 Corriere della Seraによると、捜査の一環として当局から聴取された別の母親は、「息子の携帯電話にメリスからの”心配なメッセージ”を見つけた」と述べ、その中には息子の体についての「不適切なコメントが含まれていた」という。また、メリスが贈ったとみられるデザイナーズ・スウェットシャツを着た少年の写真を見て送られた別のメッセージには、「なんてクールな男なんだ… 心が張り裂けそうだ」とあり、音声メッセージで「キスをした」とメリスは語っていた。

 メリスは、彼が”育てた”少年たちに、「高価なものを求めること、お金を持つことは、正しい」と教え込んでいたようで、ある携帯電話のメッセージでは「あなたの実際の生活費と活動費用は、あなたの両親が責任を持つべきです」としていた、という。

 何人かの男の子がメリスに「もう会えなくなった」と言ったとき、メリスから「会えなくて残念だ。(これまでの行為は)誠実な友情だと思っていた。スウェットシャツやタバコだけではない… 愛してる」と返事を受けた。

 また、ある少年が「神父さんの家に友達を連れて行きたい」と言ったところ、メリスは「私はいいともいけないとも言わないが、君と([二人きりに)なりたいし… おしゃべり、抱きしめる… 言ってくれれば、私がそれを整理する」と答えた、また少年は「彼らはあなたが小児性愛者であることを知っている、彼らはあなたを求めに来るだろう」とメールを返した、とも言われている。

 逮捕後にメリスのアパートを捜索した警察は、さまざまな性的な用具、性的刺激のための薬物、少年用の衣服、電子タバコ、そして彼が虐待したとされる少年との長年の関係を確認するメモも押収した、とされている。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年8月6日