(2026.7.9 カトリック・あい)
聖職者による性的虐待で深い傷を負った女性信者が加害司祭(当時)が所属していた神言会に損害賠償を求める裁判の15回目が、9日午前11時から東京地裁第708号法廷で開かれ、原告支援者など30人以上の傍聴人を前に、原告側弁護人は民法だけでなく教会法の見地も合わせる形で、①加害司祭を叙階した司教と、司教に叙階を進言した神言会の責任②「告解(赦しの秘跡)」を悪用し、信徒を性的虐待するという危機に陥らせた司祭に対する注意務違反を、損害賠償の根拠に加える主張を、準備書面を通して行った。
9日の裁判で、これまで触れて来なかった教会法との関係を取り上げたことについて裁判長から問われた原告弁護人は、「これまで被告側は『教区と修道会は異なる』として、神言会の賠償責任を回避してきたが、神言会所属の加害司祭の叙階は、教会法に基づいて司教が行うなど、教会法上からも”分離論”は通らない」と説明。
そのうえで、①信徒は自らの信仰を守る権利(債権)があり、司祭はそうした信徒を正しく導く責任(債務)をもつことが教会法上の定めであり、これは民法上の『債権債務』の関係となる②告解で得た知識を告白した信徒に不利益を与えるやり方で使用することは絶対的に禁止するという教会法の定めに反した加害司祭の行為を放置した神言会の対応は、労働契約法や労働安全衛生法の「安全配慮義務違反」に相当する、と述べた。
裁判に続いて東京弁護士会館で開かれた説明会・原告被害者支援集会では、参加者たちから、特に「告解」を悪用して性的虐待に及んだ加害司祭のあるまじき行為に非難が集中。参加者の一人の司祭からは「告解の悪用は、司祭職に値しない恥ずべき行為。本来なら、即、司祭職はく奪すべきものだ。『告解』の信頼を揺るがす、あってはならない行為がなされたこと、それに適切な対応をしなかったことの責任を、徹底的に追求せねばならない」と自戒を込めた発言があった。
次回16回裁判は9月7日午前11時から東京地裁第606法廷、17回裁判は10月1日午後3時から同法廷で開くことになった。前回裁判で裁判長は、「判決を遅くとも来年3月に出すことを前提に、証人訊問は10月ないし11月に行い、できる限り今年12月に結審したい」と異例のスケジュール公開をしており、2023年1月に始まった長期にわたる神言会裁判はいよいよ大詰めを迎える。