・「聖職者性虐待、日本でも」—TBSテレビ「News23」で放映、”修道会”は「係争中」を理由に取材に応じず

(2025.7.4 カトリック・あい)

    東京教区の女性信徒が、長崎の教会にいたカトリック修道会、神言会の司祭に繰り返し性的暴行を受けたとして、同会に損害賠償を求めている裁判の9回目が今月23日に東京地裁で開かれる。それを前にして、4日午後11時からのTBSテレビ「News23」の特集で「聖職者性虐待、日本でも」のタイトルで取り上げられた。

TBSテレビ【news23】「聖職者から受けた性虐待を告白 日本でも“聖なる場”で続く訴え 新教皇・レオ14世の対応は?」

 「カトリック教会の新たなトップに選ばれたレオ14世。いま、注目されているのが、世界中で問題となってきた聖職者による性虐待への対応です。日本での被害を教皇にも知ってほしいと訴える女性がいます」で始まるこの特集では、東京地裁での原告被害者の女性や、仙台教区で性的虐待被害に遭った女性は実名で登場し、司祭から性的虐待を受けてからの長い年月の苦しみ、まともに対応しない修道会や教区司祭や責任者のへの怒りなどを切々と訴えた。

 だが、東京と仙台の原告被害者に対し、被告側は性的虐待をしたとされる司祭二人(一人は現在司祭をやめ、一人は死亡)やそれぞれが所属していた修道会、教区関係者は登場せず、実名も出さず、修道会(神言会)はTBSの取材に対し、「係争中なのでお答えできない」と事実上の取材拒否にあったことのみが伝えらえれた。

 特集は、東京地裁での原告になっている東京教区信徒、田中時枝さんの「バチカンにも実状について訴えの手紙を送っています。新しい教皇が訴えを受け止めてくれることを願っている」との言葉で締めくくられたが、周到な取材、とくに加害者側への取材が十分ではなかったようだ。

 聖職者による女性や弱者に対する性的虐待は世界中で問題になり続け、ドイツの教会などでは、それが聖職者、教会に対する信用失墜につながり、多くの信徒が教会を離れるなど深刻な事態が続いている。このような問題をあからさまにするのを避ける日本の風土では、司祭や信徒の数が少ないこともあり、表に出るケースは限られている。

 そうした中で、長崎教区、仙台教区で教区司祭が性的暴行を行ったことで被害女性から訴えられ裁判となった。しかし、これを認めようとしない教区の対応から裁判は数年に渡ったあげく、裁判所から和解勧告を受けて、教区側が”和解金”を払ったものの、被害者に対する謝罪も、精神的ケアも、教会に復帰させる努力もしていない。

 聖職者による性的虐待は、札幌教区でパリ外国宣教会の司祭による男性への性的虐待などの訴えが出ているが、教区側は「修道会のことなので」とし、同修道会の本部の対応も進んでない。ほかにも、東京教区などで、虐待被害の情報があるが、”かん口令”が敷かれていて、訴えが無視されるか、「被害者を精神的に傷つけることになる」などの理由で、現在に至る対応を明らかにしない、と言うのが実態だ。

 そうした中で、これまで一年前に始まった東京地裁での神言会裁判を中心に、週刊誌や一般紙には報じられることがあったが、テレビで、今回の神言会裁判に関係する形で性的虐待問題が取り上げられたのは初めて。TBSは2019年にも特集でカトリック聖職者の性的虐待問題を報じていた⇒https://youtu.be/rzp9hxUEzxM。だが、6年経っても、教会側、修道会側の対応は、実質的に何ら変わっていないことが明確だ。

 神言会裁判については、TBSの他にNHKも、実際に、これまでの裁判の法廷や支援者集会にテレビ取材が入っていることから、放映がさらに広がることも考えられる。これに、関係の修道会や教区が、どのような対応を示すか注目される.

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2025年7月2日