・「児童性的虐待の被害者への対応で、カトリック教会などは隠ぺいなど自己利益を優先している」西オーストラリア州議会の調査委員会報告が批判

  西オーストラリア州の州議会議事堂(クレジット:Steelkamp / Wikipedia)

(2024.8.16 Crux  staff)

New report in Western Australia says Catholic Church must do more to help abuse victims カトリック教会など宗教団体による児童性的虐待被害者への対応を調査していた西オーストラリア州議会の特別委員会が15日、「宗教団体が虐待被害者への適切な対応よりも、自分たちの制度的および財政的な利益を優先している」とする最終報告書を州議会に提出した。

 報告書は、「”不浄な沈黙の壁”を守り続けている(カトリック教会などの)団体は、虐待被害者に対応する際、公正なケアを提供するのではなく、自分たちの賠償責任を小さくするための戦略としての措置をとっている可能性がある」と批判した。

 そして、特にカトリック修道会の報告書を取り上げ、「彼らの”経済的生存能力”を守るために、自分たちの保護下にある子供たちの虐待に関する情報を隠そうとしている」と非難、委員の一人は州議会への報告で「虐待をめぐる秘密主義と制度的な”否定の陰謀”は、虐待を受けた人々が受けたトラウマを増すだけでなく、正義への道をも妨げている」と糾弾した。

 報告書は、「カトリック教会など宗教団体の施設における児童性的虐待の被害者たちに正義がなされるためには、さらに多くのことを行う必要がある」と強調している。

 西オーストラリア州のカトリック4教区(パース、バンバリー、ジェラルトン、ブルーム)は15日、報告書の指摘を認める共同声明を発表、「西オーストラリア州のカトリック教区は、聖職者と一般信徒による性的虐待の恐怖に苦しんでいるすべての人々に、心から謝罪します。4つの教区は、教会内で信頼を受けていた人々によって行われた児童性的虐待が被害者や生存者に与える生涯にわたる危害と影響を認識しています」と述べた。

 そのうえで、「児童保護は、西オーストラリア州の各カトリック教区にとって依然として最優先事項です。西オーストラリア州の各カトリック教区は、州議会の調査委員会の調査に対して、これまで情報とデータに対するすべての要求を完全に受け入れ、対応してきました。委員会の検討のために詳細な書面による資料も提出しました」と弁明。

 今後の対応については、「報告書とその後の勧告の内容を慎重に検討するために、適切な時間を取る必要がある」とし、検討が終わるまでは、「調査やその報告についてこれ以上コメントしない」とする一方で、「新たに児童性的虐待を訴えようとする人は、虐待を受けた時期に関係なく、直ちに警察当局に報告してもらいたい」と述べている。

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2024年8月17日