報告書は、「”不浄な沈黙の壁”を守り続けている(カトリック教会などの)団体は、虐待被害者に対応する際、公正なケアを提供するのではなく、自分たちの賠償責任を小さくするための戦略としての措置をとっている可能性がある」と批判した。
そして、特にカトリック修道会の報告書を取り上げ、「彼らの”経済的生存能力”を守るために、自分たちの保護下にある子供たちの虐待に関する情報を隠そうとしている」と非難、委員の一人は州議会への報告で「虐待をめぐる秘密主義と制度的な”否定の陰謀”は、虐待を受けた人々が受けたトラウマを増すだけでなく、正義への道をも妨げている」と糾弾した。
さらに別の委員は、「被害者への聞き取り調査で明らかになったのは、Christian Brothersが被害者に対し、被害を訴えることを可能な限り妨げているということだ」と述べた。
報告書は、「カトリック教会など宗教団体の施設における児童性的虐待の被害者たちに正義がなされるためには、さらに多くのことを行う必要がある」と強調している。
西オーストラリア州のカトリック4教区(パース、バンバリー、ジェラルトン、ブルーム)は15日、報告書の指摘を認める共同声明を発表、「西オーストラリア州のカトリック教区は、聖職者と一般信徒による性的虐待の恐怖に苦しんでいるすべての人々に、心から謝罪します。4つの教区は、教会内で信頼を受けていた人々によって行われた児童性的虐待が被害者や生存者に与える生涯にわたる危害と影響を認識しています」と述べた。
そのうえで、「児童保護は、西オーストラリア州の各カトリック教区にとって依然として最優先事項です。西オーストラリア州の各カトリック教区は、州議会の調査委員会の調査に対して、これまで情報とデータに対するすべての要求を完全に受け入れ、対応してきました。委員会の検討のために詳細な書面による資料も提出しました」と弁明。
今後の対応については、「報告書とその後の勧告の内容を慎重に検討するために、適切な時間を取る必要がある」とし、検討が終わるまでは、「調査やその報告についてこれ以上コメントしない」とする一方で、「新たに児童性的虐待を訴えようとする人は、虐待を受けた時期に関係なく、直ちに警察当局に報告してもらいたい」と述べている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.