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・米ワシントン大司教区で、前年の3倍近い16人が司祭叙階へ
(2024.6.8 カトリック・あい)
米カトリックメディアCNAが7日報じたところによると、米国のカトリック・ワシントン首都圏教区で、6月15日に、16人が司祭叙階されることになった。
同教区での司祭叙階は昨年は6人、一昨年は10人、2021年はわずか1人だったのに比べて、驚異的とも言える増加だ。
今回の司祭叙階者には、軍務経験者が数人、元救急救命医と元.警察官が1人づついる、という点でも画期的と言えるようだ。
ワシントン大司教区は、同地域の総人口約300万人の2割強、65万人がカトリック教徒。小教区は139、学校は93。教区長はウィルトンD.グレゴリー枢機卿。
・性的虐待訴訟で破産の米ボルチモア大司教区がボルチモア都市圏の小教区61を23に削減する再編計画-「人口動態に対応」と(Crux)
(2024.5.23 Crux National Correspondent John Lavenburg)
ニューヨーク発 – 人口減少と人口動態の変化の中で、米ボルチモアのウィリアム・ローリ大司教は23日、市内と周辺の61の小教区を23に削減する再編計画を発表した。 教会の合併と閉鎖の両方を含むこの計画は、大司教区が2022年に開始した「来るべき都市を求めて」構想の最終的な結論、としている。
米国で最も古い歴史を持つボルチモア大司教区の広報担当者は、教会の閉鎖数は29に達する可能性があると語る一方、一部は特別な礼拝堂などに再利用されたり、奉仕の場所として指定されたりする可能性がある、としている。
ローリ大司教は、決定は「希望に満ちた未来を見据えて行われた」と述べ、 「このプロセスは、私たちの教区が使命と奉仕に集中できるようにすることを目的としている… 多くの小教区に分散している資源を集め、福音を告げ知らせ、隣人が救いに出会うのを助ける、という、私たちの目の前にある使命を遂行するための十分な備えを整えた新しいコミュニティを形成するために行われるもの」と説明。「小教区の合併再編がこの目標の達成に役立ち、新しい小教区共同体と司祭が物的、人的、精神的資源をその使命に向けることができるようになる、と確信している」と語った。
ボルチモア大司教区には153の小教区と伝道所があるが、再編計画の対象となる61の小教区は、ボルチモア市とその周辺郊外にあり、現在の人口減少と人口動態に適合するよう小教区の配置を見直すものだ。
大司教区の広報担当者によると、大司教区のカトリック教徒は約50万人で、うち約1万4000人(2.8%)がボルチモア市内の教会でミサに出ているが、市内居住者はその約半分という。 にもかかわらず、小教区の数は、大司教区の全体の小教区の約 3 分の 1 を占めている。ボルチモア市では、1810 年から 1950 年代にかけて人口が約 5 万人から約 90 万人に増え、これに対応する形で市内の教会の建設が進んだが、その後、市の人口は減少に転じ、現在では約 55 万人まで減っている。
またローリ大司教は、「今回の再編計画で影響を受ける人々に配慮して、一部の合併統合は、今後1年ほどかけて行う」とし、 基本的に、各小教区共同体はそれぞれの状況に応じた独自の計画をもとに、合併への作業を進め、合併手続きが完了した後、大司教区として新たな施設、建物への資金提供を検討する、と述べた。
さらに大司教は、今回の小教区合併再編は、「大司教区の(聖職者による性的虐待への賠償金が多額に上ることによる)破産申請とは無関係であり、(小教区の合併再編で生じる余剰土地、建物など)不動産の売却は(性的虐待被害者との)和解に使うことを意味しない」とも説明した。
多くの米国の他の司教区と同様に、 聖職者の性的虐待訴訟が相次ぐボルチモア大司教区は、2023年に破産を申請した。 その数カ月前の2023年4月、メリーランド州のアンソニー・ブラウン司法長官は、大司教区の聖職者など156人による児童性的虐待が 1940 年代から 2002 年にかけて600件以上もなされた、とする454ページの報告書を発表している。
ローリ大司教は「多くの人は、今回の小教区合併再編が、大司教区が行った破産申請と関連しているのではないか、と疑うかもしれない。だが、そうではない。将来の不動産売却を破産和解の支援に結びつける憶測は、 本当ではない」と否定。「小教区の合併で生じた一部の物件は再利用され、一部は売却される。売却による収益は教区に残し、合併で新しく設立される小教区のために使われることになる。このことは、教会法、そして民法によって裏付けられている」と述べた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・「人身売買の根本原因の一つは”買い手”にある」人身売買被害者が訴えー「Talitha Kum」創立15周年総会で
Group photo of participants gathered together at Talitha Kum 2nd General Assembly (Marco Mastrandrea/Talitha Kum)

(2024.5.20 Vatican News Deborah Castellano Lubov )
人身取引の撲滅に取り組む奉献生活者の国際ネットワーク「Talitha Kum(タリタクム)」の創立15周年を記念する総会が、加盟90か国の代表約200人が参加して18日から24日までローマで開かれている。女子修道会国際総長連盟(UISG)が2009年に設立したTalitha Kumの記念総会には、一般信徒の女性と男性、信徒、若者、そして人身売買との闘いに積極的に取り組んでいる被害者なども参加した。
出席者の一人、米ミズーリ州カンザスシティの非営利人権団体ジャスティス・プロジェクトKCの常務理事で、自身も人身売買の被害者であるクリスは 「人が”製品”を買わなければ、”売る”のはずっと難しいのです」とVatican News に語った。
裕福な家庭に育ったクリスは、世間知らずの十代のころ、羽目を外して、男に騙され、米国のあちこちで売春をさせられた。その経験から、今も増え続ける人身売買の撲滅に取り組んでいる。具体的には、貧しい女性や少女に対する権利擁護、システムナビゲーション、ピアサポートを提供しており、米司法省の人身売買反対連合、カンザス州司法長官の人身売買諮問委員会の委員を務める。
クリスは「性的搾取を生き延び、現在被害に遭った人たちと働いている者として、より広い世界がこれらの人々を無条件に受け入れ、愛する必要がある、と心から思っています」と述べ、「変化が必要です。人々は、犠牲者と呼ばれると、自分自身に対する見方が変わるのです」と強調した。
そのうえで、「多くの憎しみに直面しているトランスジェンダーの被害者を含む他の被害者や、「時には人目につかないことがある男性や少年たち」に対して、もっと包容力のある対応を求めたい、とし、人々に対して、「偏見を脇に置き、被害者たちが自分自身のために正義を達成できるよう支援する必要がある」と語った。
さらに、総会参加者たちの多くが、「今起きている人身売買の根本原因に対処したい」と考えているのであれば、「”需要”、つまり“買い手”に対処する必要があります。根本原因は数多くあるが、その中で主要な原因の1つは、依然として“買い手”がいることです。“買い手”がいなければ、”売る”ことが難しくなるからです。これは資本主義の理論です。”買い手”をなくすことで、”売る”ことをできなくする。それが、私の希望です」と強調した。
そして、そのためのカギは、「人身売買行為の不当性について、特に男性、若者たちを教育すること」と指摘した。「そうした教育を通じて、女性や少女を単なる遊び道具にしてはいけない、ということを分からせることです」。
より基本的には、「男女平等、あらゆるレベル、あらゆる段階、あらゆる国、あらゆる場所での男女の平等を促進する努力を続けることが必要」と強調。また、各国の司法当局に対して、「”需要”に厳しく対応すること」を求め、また、「人身売買で利益を得ている者たちは、法的、金銭的な罰則を受けると、多くの場合手を引き、それが(そうした対応を司法当局がしていない国や地域との)違いを生みます」と訴えた。
*日本では、Talitha Kum設立から8年遅れて2017年に日本女子修道会総長管区長会、日本カトリック管区長協議会が連携し、日本カトリック難民移住移動者委員会の「人身取引問題に取り組む部会」として、「タリタ・クム日本」が作られている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・バチカンの前典礼秘跡省長官、「西欧の高位聖職者たちは世俗的価値観への批判精神を失っている」と批判‐同性カップル祝福に反対
(2024.4.15 Crux Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)
ヤウンデ(カメルーン)発 – 教皇フランシスコの路線に批判的立場をとるロバート・サラ枢機卿(前典礼秘跡省長官)が15日の母国カメルーンの司教たちとの会議で、同性のカップルへの祝福を認める最近のバチカンの文書について、「この文書は、伝統的アフリカ文化だけでなく、カトリックの教えそのものにとって、受け入れることができない」と主張し、「西欧の高位聖職者たちは、世俗的な価値観に反対することに消極的。神経が衰弱している」と批判した。
サラ枢機卿は「多くの西欧の高位聖職者は、世界に愛されることを夢見ている。 彼らは”抵抗の象徴”になりたいという欲求を失ったのだ」と述べ、「現代の教会は無神論の誘惑にさらされている。しかも『 知的無神論』ではなく、『流動的で実利的な無神論』の微妙で危険な精神状態に置かれている。このような無神論は、初期症状が良性のように見えても危険な病気。教会の言説を含む現代文化のあらゆる側面に浸透しているため、知的無神論よりも陰湿だ」と指摘。
さらに、「教会とその指導者たちは、『流動的で実利的な無神論』という大きな嘘に順応し、それと共謀するという罪を犯している。キリスト教の信者であり、信仰を持っている人であるふりをしているが、実際には異教徒、不信者として生きているのだ」とし、「『流動的で実利的な無神論』は危険でとらえどころのない勢力であり、蜘蛛の巣に捕まった虫のように、逃げようとすると、もっと強く締めつけられる。サタン自身が仕掛けた巧妙な罠だ」と述べた。
そして、「(西欧の)教会指導者たちは、この形態の無神論は人間の弱さとその欺瞞に屈する人間の傾向を食い物にしているが、教会に派閥や自称”救世主”が存在すべきではない。教会に”政党”を作ることも必要ない」とし、「信仰の精神を維持するということは、それを損なうものをすべて拒否し、神の御手をしっかり握りながら信仰のレンズを通してのみ世界を見ることであり、それが真の平和と優しさへの唯一の道。信仰の精神だけが真の兄弟愛を育み、欺瞞と紛争で荒廃した世界に平和をもたらすことができる」と強調。”西欧教会の歪曲”に直面する中で「信仰の統一」を守るよう、アフリカの司教たちに強く勧めた。
またサラ枢機卿は、現在進んでいる”シノドスの道”の歩み、特にシノダリティ(共働性)に関する今年10月の世界代表司教会議総会の第二会期に言及し、昨年10月の総会第一会期を含めて、アフリカ教会の指導者たちが伝統的な教義と価値観を強く擁護してきたことを賞賛、「昨年10月の総会第一会期で、アフリカの教会は、神によって創造された男性と女性の尊厳を力強く擁護した。 その声は、西欧の圧力団体を喜ばせることだけを考える人たちから無視され、軽蔑されたが、アフリカの教会は、神権の真理と信仰の一致を守らなければならない。 アフリカの教会の声は、貧しい人々、素朴な人々、小規模な人々の声だ」と訴えた。
さらに、「アフリカの教会は今日、神の言葉を守る上で重要な役割を果たしているが、西欧のキリスト教徒は富に惑わされ、啓蒙と現代性について誤った認識を持っているようだ」としたうえで、「真実を断片化し、相対主義の文化を推進する(西欧の)司教たちに対抗し、信仰の普遍性を守る者としてのアフリカの司教たちの立場」を強調、「神の真理の使者としての、アフリカの司教たちの役割」を賞賛し、「神はしばしば、強くて評判の高い人々を混乱させるために、一見弱くて人気のない人々を選ぶ」と述べた。
同性カップルや”非伝統的関係”にある人々の祝福を認めるバチカンが最近出した文書「Fiducia Supplicans」に反対しているカメルーンの司教たちを称え、この文書に従わない、とする司教団の決定を「教会の統一とその教えの真実を守る大胆かつ預言的な行動」と評価した。そして、アフリカ・マダガスカル司教協議会連盟(SECAM)の声明を取り上げ、今回のバチカンの文書以前の同性愛に関する宣言、カトリック教会のカテキズム、聖書などを引用して、アフリカで同性愛カップルなどに祝福を与えない神学的および教義的な理由を説明した。
カメルーン司教協議会会長のアンドリュー・ンケア・フアンヤ大司教はCruxの取材に対し、サラ枢機卿は「神が与えてくださった偉大な人物であり、アフリカのカトリック教会の象徴であり、彼が私たちの中にいることは素晴らしいこと」と述べ、「この世界にはあまりにも騒音が多いので、彼は私たちに沈黙の中で神と親密になるよう教えてくれた」と語っていた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・教皇の”白旗”発言に、ウクライナの政府、教会が激しく反発、ロシア政府は”歓迎”(Crux)

People wave Ukrainian flags before Pope Francis’s noontime Angelus prayer from the window of his studio over looking St. Peter’s Square at the Vatican on Sunday, March 10, 2024. (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)
(2024.3.8 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)
ローマ発 – 教皇フランシスコがスイスの公共放送とのインタビューで、「ウクライナはロシアとの戦争で『白旗』を掲げて交渉を開始すべき」と語ったことに、ウクライナの教会やウクライナ政府から激しい反発の声が出ている。
米国訪問中のウクライナ・ギリシャ・カトリック教会(UGCC)のスヴャトスラフ・シェフチュク大司教はニューヨークで講演し、教皇の発言に応えて「ウクライナでは誰も降伏する可能性はない」と言明。「ウクライナは負傷者はいるが負けない。 ウクライナは疲弊しているが、立ち続けている」とし、ロシアの理不尽極まる軍事攻撃に抵抗し続ける「ウクライナの能力を疑問視する人たちは、ウクライナに来て、現実を見てください!」と訴えた。
ウクライナのドミトロ・クレバ外務大臣は、ソーシャルメディアXに、ウクライナの国旗は「黄色と青だ」と投稿。「これは私たちが生き、死に、そして(戦争などの苦難に)打ち勝つための旗。 私たちが『他の旗』を掲げることは、決してない」と言明。ウクライナの平和を祈り続ける教皇フランシスコに感謝の意を表明しつつ、ロシアの軍事侵攻に苦しむウクライナの人々を支援するために「教皇がウクライナを訪問されることを、今も希望している」と述べた。
バチカン駐在のウクライナ大使館も「一貫性を保つことが非常に重要。現在起こっている第三次世界大戦について語る時、第二次世界大戦から学ぶ必要がある」とし、「当時、ヒトラーとの和平交渉について、そしてヒトラーを満足させる『白旗交渉』について真剣に話していた人がいただろうか?」と問いかけた。そして、ヒットラーとの戦いから学ぶべき教訓は、「戦争を終わらせたいなら、ドラゴンを殺すためにあらゆる手段を講じなければならない、ということだ!」と強調した。
ロシア大統領府のマリア・ザハロワ報道官は、イタリアのメディアに対し、「教皇は、キエフに対してではなく、西側に対して話している。西側諸国はウクライナを『野心』の『道具』として利用しており、私の見方では、教皇は西側諸国に対し、自らの野望を脇に置き、それが間違っていたことを認めるよう求めているのだ」と教皇発言を”解釈”し、「今日、すべての専門家、すべての外交官は、ウクライナ情勢が『行き詰まっている』ことを理解している。多くの国や国際指導者が交渉を求めている」と述べた。
バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は反発を受けて事態収拾を試みる声明を発表し、「『白旗』という言葉はインタビュアーが使ったもの。教皇は『敵対行為の停止と停戦への交渉を勇気をもって進めること(への希望)を示すために、この言葉を繰り返しただけ。教皇が希望されているのは、公正かつ永続的な平和に向けた外交的解決策だ」と説明したが、批判の声は、教会関係者にも広がっている。
イタリアのウクライナ人キリスト教協会は、教皇の発言を「衝撃的で当惑し、非常に攻撃的」だと批判。現在米国で会合しているウクライナ・ギリシャ・カトリック教会の常設会議の司教たちも10日声明を発表して、遺憾の意を表明。「ウクライナ国民は、(身体的な)傷を負いながらも(精神的な)傷は負っておらず、疲れていても立ち直る力がある… 降伏は死を意味する。ウクライナ人が降伏することはない。 プーチンとロシアの意図は明確かつ明白だ。 その目的は一個人の目的ではない」と述べ、ロシア国民の70%が「対ウクライナ大量虐殺戦争」を「明確かつ明白に」支持している、と非難した。
そして、「ロシア正教総主教庁とキリル総主教は戦争を支持し、ロシアのプーチン大統領の野望を支持している… プーチン大統領にとって、ウクライナの国、ウクライナの歴史、言語、そして独立したウクライナの教会生活などというものは、存在しない。 ウクライナに関するあらゆる事柄はイデオロギーの構築物であり、根絶されるべきもの… 彼にとって、ウクライナ人のアイデンティティとなるイデオロギーは『ナチス』なのだ。(ロシア人であることを拒否し、ロシアの支配を受け入れない)すべてのウクライナ人を『ナチス』と呼ぶことで、プーチンは我々の人間性を奪っている。ウクライナ人を『殲滅され、殺されるべき民族』とみなし、 ブチャ、イルピン、イジウムなどの都市で(住民虐殺などの)戦争犯罪を繰り返している」と訴え、「ロシアによるウクライナ占領が『ウクライナ・カトリック教会の根絶』と『独立したウクライナ正教会の消滅』、さらには『ロシアの覇権』を支持しない他の宗教的伝統や制度の抑圧につながる」と警告した。
そのうえで、「ウクライナ人は今後も自らを守り続けるだろう。 自分たちにはそれ以外に選択の余地がないと感じている。 最近の歴史は、プーチン大統領との間では真の交渉が成り立たないことを証明している」とし、具体的な事例として、ウクライナが1994年にロシアと覚書を交わし、ウクライナが当時世界第3位の規模を持っていた核兵器の放棄を決め、ロシアは、その見返りに領土保全を保証したにもかかわらず、プーチンがその約束を踏みにじっていることを挙げた。
そして、ウクライナにロシアとの和平交渉に応じるように、との教皇や世界の指導者たちの呼びかけとは関係なく、「ウクライナ人は公正な平和を達成するために自由と尊厳を守り続ける… 自由と神から与えられた人間の尊厳、真実、神の真実を信じており、神の真理が勝つと確信している」と強調している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・今年1月までの13か月に8222人以上が殺害‐ナイジェリアでキリスト教徒の”静かなる大虐殺”が続く(CRUX)
(2024.2.16 Crux Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)

Nigeria’s new President Bola Ahmed Tinubu, center, inspects honor guards after taking an oath of office at a ceremony in Abuja, Nigeria, on May 29, 2023. (Credit: Olamikan Gbemiga/AP.)
殺害された15万人のうちキリスト教徒は約10万人、穏健派イスラム教徒は約4万6千人、残りの無防備な民間人死亡者4千人は他の宗教の信者。 ナイジェリアの死者数を上回るのはシリアのみだ(シリアでは、2011年以来の壊滅的な内戦で、国民約2150万人のうち民間人30万6000人が死亡している)。
人的被害だけでなく、民族的、宗教的要因に基づく、残虐な暴力・破壊行為により、住宅数万軒、キリスト教の教会1万8500か所以上、その他の宗教施設 2500 か所以上が破壊され、キリスト教徒や非イスラム教徒が所有していた5万9000平方キロメートル以上の土地が奪われ、住民は追放された。
さらに、報告書はナイジェリア内外のから得た情報をもとに、ボコ・ハラムとその関連組織が2009年から2014年にかけて、少なくとも2万2500人のキリスト教徒の誘拐と失踪に関与し、1万3000の教会を破壊または放火したとし、1500のキリスト教学校などで130万人以上が退学を余儀なくされた。
国際人権団体「International Alliance against Genocide」によると、ナイジェリア政府は世界で進行中の14件の虐殺の一つに関わっている。Cruxの取材に対して、同団体関係者は、「ナイジェリアでは、ムハンマドゥ・ブハリ政権(2015~2023年)だけでなく、2023年5月に発足したボラ・ティヌブ政権さえも、治安部隊によるキリスト教徒殺害に加担している。 新政権は前のブハリ政権と変わらない」と強く批判。
さらに、 「最も衝撃的なのは、ジハード主義者のフラニ族の牧畜民たちが、政府から何の処罰も受けず、残虐行為を止めることもなく、自由に、何の抵抗も受けずに活動していること。 国の治安部隊は、見て見ぬふりをするばかりか、フラニ族の牧畜民を保護するために、その土地の住民やリーダーを逮捕している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・世界で3億6500万人のキリスト教徒が迫害、差別の犠牲になっている
【 迫害が過酷さを増している】
3 億 6500 万人以上(キリスト教徒の7 人に 1 人)が、信仰のために過酷な迫害に直面しており、世界監視リストに登録されている国々では、迫害が危険なほど暴力的になっている。
2023 年には、これまでに記録された以上に多くのキリスト教徒が暴力的な攻撃に直面し、教会や関係施設に対する攻撃が急増した。
サハラ以南アフリカの国々では、 政情不安、戦争、過激派の台頭により、キリスト教徒にとって危険な状況が生じている。 無法地帯が生じ、アルカイダやボコ・ハラムなどのイスラム過激派武装勢力の動きが活発になっている。
弱体化した政府は彼らの活動を止めることができず、武装勢力は何の制約もなく、教会や関係施設への攻撃を繰り返している。
2023年に起きたキリスト教徒の殺害の大半はサハラ以南のアフリカの国々でなされており、 宗教を動機として殺人事件の10件中9件がナイジェリアで発生した。コンゴ民主共和国、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国でも、キリスト教徒が殺された。
故郷を追われるキリスト教徒も増えており、 サハラ以南アフリカの国々で発生した国内・国外避難民3450万人のうち、約1620万人がキリスト教徒だ。
【好ましい動き】
2023 年 6 月、マリで新しい憲法が採択され、キリスト教徒を含む少数派宗教の信徒を認知し、国政選挙による脱軍事政権 への道が開かれた。
インドでは、南部のカルナータカ州で、選挙で国民会議派が勝利し、反改宗法が撤回され、同法の下で嫌がらせや脅迫を受けてきたキリスト教徒に希望をもたらしている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・ナイジェリアでキリスト教徒の「大量虐殺」続くー昨年末だけで300人(Crux)
(2024.1.11 Crux Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)

*ルワンダのジュベナール・ハビャリマナ大統領と隣国ブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領の暗殺から、ルワンダ愛国戦線 (RPF) が同国を制圧するまでの約100日間に、フツ系の政府とそれに同調するフツ過激派によって、多数のツチとフツ穏健派が殺害された。正確な犠牲者数は明らかとなっていないが、100万人、ルワンダ全国民の20%と言われている。
ナイジェリアにおける大量虐殺を追跡する国際監視団体である「 International Society for Human Rights and the Rule of Law (“Intersociety”)」によると、2009年以来、ナイジェリアでは少なくとも5万2000人のキリスト教徒が殺害された。
同団体の事務局長はCruxの取材に、「フラニ族の牧畜民は昨年だけで、少なくとも3500人のキリスト教徒の死に責任を負っっています。ナイジェリアにおけるキリスト教徒の大量虐殺はナイジェリア政府の共謀によって行われている。ボラ・ティヌブ大統領の政権は”虐殺機構”の一部になっています」と述べ、さらに、「フラニの”聖戦士”はブハリ前大統領の下で権力を掌握し、ティヌブはその”伝統を永続”させるつもりです」と非難した。
また、「私たちは、ティヌブ政権が国際的な圧力を受けない限り、状況が変わることはない、と考えています」とも語った。
国際的な圧力という点では、米政府がナイジェリアを信教の自由に関する「特別懸念国」に指定していないことに、一部の関係者は不満を抱いている。 米国の人権団体「U.S. Commission on International Religious Freedom」は声明で、ナイジェリアにもインドにも米政府が信教の自由に関して警告を出していないことに異議を唱え、そのような判断は「説明がつかない」と述べている。
人権団体の関係者は「米国は、信教の自由に対する特に深刻な侵害をしているナイジェリアを容認した。 ナイジェリアのキリスト教徒の運命は、ナイジェリア政府に経済制裁など強い圧力をかけ、虐殺を含む暴力行為を止めさせる各国政府、国際機関、人権団体の判断にかかっています」とCruxに語っている。
こうした中で、同国のカトリック司教協議会を含むキリスト教各派の連合組織、ナイジェリア・キリスト教協会は、信徒たちに平静を求めている。協会会長でChrist Holy Church Internationalのメンバー、ダニエル・オコー大主教は、「逆境に直面しても、私たちは国民として落胆しないことが肝要です。 私たちは団結し、一致した、平和で繁栄した国家を築く、という決意を固持し続けなければなりません。新たな目的意識と、愛するナイジェリアのより良い未来を育むという揺るぎない決意を持って取り組んでいきましょう。 私たちの信仰、共通の価値観、そして直面する障害を乗り越えるための集団的な決意から力を引き出しましょう」と呼びかけている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
・米オハイオ州の二つの教区の合併交渉再開・信徒減少、司祭高齢化でー駐米バチカン大使の要請受け(Crux)
(2023.12.12 Crux National Correspondent John Lavenburg)

ニューヨーク発 – 米オハイオ州スーベンビル教区の司教(当時)が隣接するコロンバス教区との合併を検討中と発表して約1年後の11日、両教区の司教が共同声明を出し、合併交渉を再開すると言明した。両教区の多くの司祭、信徒の反発を呼んでいる。
コロンバス教区のアールフェルナンデス司教とスチューベンビル教区ブラッドリー司教の共同声明によると、合併交渉の再開は駐米バチカン大使、クリストフ・ピエール枢機卿の要請によるもの。
声明は「駐米バチカン大使から、両教区に対して、『二つの教区がもっている差異が、合併でどのような影響を受けるか』検討するよう要請があった。まだ、合併に関するいかなる判断もされていないが、適切な配慮が必要であり、啓発された、責任ある判断がタイムリーになされるだろう」とし、「最終的な判断は教皇による」と述べている。
スチューベンビル教区はオハイオ州南東部の13の郡を担当しているが、信徒数は3万人だが、年々減少を続けており、聖職者も高齢化が進み、人数の確保も困難になりつつある。
2012年からスチューベンビル教区長を務め、昨年9月にデトロイト大司教区の補佐司教に転出が決まったモンフォートン司教は、教区を離れる際、Cruxとのインタビューで、「私は、教区合併の取り組みから離れるが、スチューベンビル教区がうまくいかなくなりつつある、というのは明らかだ」と語り、「この地域は、炭坑や製鋼所でにぎわっていた時代とはすっかり変わっている。そのような中で、どのように巻き返し、発展させるか、と考えねばならない」としていた。
彼が昨年秋に両教区の合併が検討されていることを明らかにした時、司祭、信徒から多くの反発の声が上がり、教区のこの問題の調査では、回答者3200人にうち6割、教区の信徒総数の約1割)が合併に反対を表明した。オハイオ州の司教たちはすでに、全会一致で両教区の合併が最善の道だとの判断を下していたが、このような状況を背景に、昨年11月の全米司教協議会総会に判断が委ねられ、その結果が明らかにされないまま、今年2月モンフォートン司教が、合併の財政面からの実行可能性を判断するため、教区の財務監査を行うことになった旨、発表。だが、その結果は、11日の両教区の司教たちの共同声明でも明らかにされていない。
11日の声明で二人の司教は「ブラッドレー、フェルナンデス両司教は、両教区の司祭、信徒に、両教区の共同作業が成果を挙げるよう、祈ってくれるよう願っている」としている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・急速に縮む教会がオランダの司祭たちに”燃え尽き症候群”を起こしている(Crux)
Cathedral Basilica of Saint John the Evangelist in ‘s-Hertogenbosch, the Netherlands. (Credit: Wikipedia/CC BY-SA 3.0.)
(2023.12.8 Crux Francesco Paloni=Editor for Katholiek Nieuwsblad)
オランダ、セルトーヘンボス発 – 仕事のプレッシャーの増大、教区の合併、教会の閉鎖が、オランダの教区の司祭にストレスを与えており、時には聖職者が耐えられなくなることさえある。
オランダのカトリック週刊誌Katholiek Nieuwsbladによると、オランダのいくつかの教区の広報担当者はこの問題を認めているが、司祭たちの燃え尽き症候群が増加していることは否定している。 オランダはヨーロッパで最も”世俗化”が進んでいる国の一つであり、カトリック信者の数は長年にわたって急激に減少している。 人口1750万人のこの国には現在、名目上約350万人のカトリック
教徒がいるとされているが、ナイメーヘン大学KASKI研究所の統計によると、積極的に教会に通う人の数は過去20年間で40万人から10万人未満に激減している。
このため、オランダの7つの教区で、教区合併と教会閉鎖という思い切った対応を余儀なくされている。このことは教区民の間で不安を引き起こしているが、司祭たちにも大きな負担を与えている。
オランダのカトリック週刊誌Katholiek Nieuwsbladはこのほど、燃え尽き症候群を経験した数人の司祭とのインタビューを掲載した。彼らの話に共通するのは、教区合併で仕事量が増大する一方、教会閉鎖で「ボギーマン(姿の無いお化け)にされた気分」になっている、ということだ。
アムステルダム近郊の町、アムステルフェーンの教区司祭ウジェーヌ・ヨンゲルデン神父は「否定的な意見が多すぎる。人々は私にこう言います-『あなたは私たちの教会を閉鎖する気ですか!』。いいえ、それは私たちが皆でやっていることです。それでも、彼らは、私が司教の命令で閉鎖しなければならない、怒った支配人だと思われているのです」と嘆く。
また、オランダ南部の村ロイセルの司祭デイビッド・ファン・ダイク神父は 「教会を閉鎖しなければならないとき、人々は『この人たち全員を失望させてしまうのだ』と思うでしょう。私は、そのせいで何か月も眠れない夜を過ごしました」と語った。 さらに「この地域の平均的な司祭は、とてもたくさんの仕事を抱えています。 落ち着きません。 ある時、私は司祭としての仕事に忙殺されて、母から『あなたは司祭だから、私とは、ほとんど会えないのね』と言われました。母の言う通りです。 教区は私の人生のすべてを占めているのです」と述べ、「司祭は、否定的な考えに巻き込まれないように気を付けねばなりません」とつけ加えた。 「私は人間なので、”人間バッテリー”を充電できないと、他の人たちのために何もできません。 司祭は、普通であれば、他者の求めに常に対応せねばなりませんが、今では、『自分は”人間洗濯機”ではない』ということが分かりました」。
新型コロナウイルスの世界的大感染が、そうした聖職者たちにさらなるプレッシャーをかけた。 Katholiek Nieuwsbladの調査によると、これは、大感染が司牧への懸念を高め、その一方で、教会のミサ参加者の減少と経済的問題の深刻化が、さらに加速しているためだ。
同誌がインタビューした司祭少なくとも一人にとって、コロナ大感染は”最後の一撃”だった。「思い返してみると、私は疲れ切って走っていたのです」とアルクマールの教区司祭ヤン・ヤープ・ファン・ペペルストラテン神父は語る。
2021 年のクリスマス頃にオランダ全土が感染防止のための封鎖を実施した時、 「私は何かせねば、と思いました。しかし、私の中にとのための力が残っていなかった。私は限界に達しており、それが『燃え尽き症候群』の始まりでした」 という。
「私はすべてを新型コロナウイルスのせいにしました。それが人々への最も分かりやすい説明だったからです。 しかし、本当の問題はもっと深いところにありました。それを、コロナ大感染が表面化させたに過ぎません」と説明した。
オランダの7つの教区に対する調査では、司祭の精神的な問題が認識されているが、教区の広報担当者は「燃え尽き症候群」の司祭の数が増えていることを否定している。しかも、 ほとんどの教区は、関連のデータを”機密事項”とし、具体的な数字を明らかにすることができないか、あるいは、しようとしない。
オランダ社会全体でみても、「燃え尽き症候群」の人々の数は増えている。同国の調査研究機関TNOの最近の調査によると、2022年にはオランダで全労働人口の約20%にあたる160万人が「燃え尽き症候群」に苦しんでいるという。 2021 年の調査では 130 万人だったから、わずか一年で30万人も増えたことになる。
オランダのカトリック教会の各教区は、この増加が司祭だけでなく、教会職員の間でも見られるかどうかを確認できていない。 ブレダ教区の広報担当者マルク・デ・コーニング氏は、司祭や教会の他の職員の間でストレスが生じていることは「現実にある」と認めるものの、「それは30年前にも同様でした」と述べた。
だが、教会関係者は、教区の合併や教会の閉鎖の過程で司祭に新たな業務が課せられ、司祭がそれに応じる備えがあるとは限らないことを認識しているようだ。
ルールモント教区の広報担当マシュー・ベメルマンス氏は、「司祭は、司牧的な方法で人々に接することには慣れていますが、時には『マネージャー』として、難しい決断を下さなければならないこともあります」と語っている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・ガザ南部の中心都市ハンユニスで激戦、住民は脱出に必死、北部の避難民キャンプの10万人も危機的状態
(2023.12.7 Vatican Newes Nathan Morley)
戦闘が続くイスラエルのガザ地区では、イスラエル軍が南部の中心都市ハンユニスに地上部隊を進め、これに対してイスラム組織ハマスが抵抗し、戦闘が激しさを増し、住民たちが脱出に必死になっている。
一方、北部のジャブアリア避難民キャンプ周辺は、ハマスの軍事拠点を破壊するとして、イスラエル軍の戦車が地域一帯を包囲し、激しい戦闘が繰り広げられているが、キャンプには約10万人の避難民が残っており、医療や食料を欠いたまま、危機的状況になっている。供給はない。先の一時休戦が終わって以来、北部地域への医療、食料などの援助物資が届いていない。
世界保健機関(WHO)は、イスラエルの執拗な砲撃の中で避難民となったパレスチナ人の間に疫病の蔓延が懸念されている、とし、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6日、「ガザ地区の状況は急速に悪化しており、治安が完全に崩壊する可能性がある」と警告、 国連安全保障理事会に対し「人道的大惨事の回避を支援」するよう求め、 異例の措置として、事務総長就任以来初めて国連憲章第99条を発動を要請した。
事務総長は、国連安保理への書簡で、「私たちは人道的支援体制の崩壊の深刻な危険に直面しています… 状況は急速に大惨事へと悪化しており、パレスチナ人全体と地域の平和と安全に取り返しのつかない影響を与える可能性があります。 このような事態は何としても避けなければなりません」と訴えたが、これにイスラエルのコーエン外相が反発、グテーレス氏が事務総長のポストにいることは「世界平和への危険」をもたらす、と非難している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・COP28で諸宗教指導者たちが各国指導者に「協力と決断を伴う迅速な行動」を求める共同宣言
(2023.12.3 バチカン放送)
ドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に参加した諸宗教リーダーたちは、12月3日、共同宣言を行った。教皇フランシスコは、バチカンの書斎から共同宣言に署名された。
COP28に集った諸宗教指導者たちは共同宣言を通して、「1.5℃目標」(気温上昇を産業革命前比で1.5℃までに抑える目標)を中心に据えるとともに、気候変動の影響を受ける共同体を支えるために革新的行動を必要とするこの気候変動の危機の中で、団結と、責任の共有、人類の兄弟愛の精神を強調。
そして、「この歴史の瀬戸際において、皆で立ち向かうべき挑戦の重大さを思いつつ、私たちは次世代への遺産を自覚し続ける」と述べ、「共通の行動と深い責任のタペストリーを紡ぐ」ため、また「傷ついた世界を癒し、私たちの”共通の家”の輝きを守る」ために、協力と決断を伴う迅速な行動をとるよう、COP28に集まった各国の指導者たちに呼びかけた。
(編集「カトリック・あい」)
・COP28議長国のUAEが二国間会談を利用して石油・ガス商談を画策、と英BBCが報道
(2023.11.29 カトリック・あい)
国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が30日から、アラブ首長国連邦(UAE)で開かれるが、英国営放送BBCが27日、環境問題を中心に調査報道をしている「センター・フォー・クライメート・リポーティング(CCR)」と協力して入手した文書をもとに、議長国UAEが各国との二国間会談を利用して石油やガス取引の商談を画策していた、と報道した。石油や天然ガスなど化石燃料の使用を無くしていこうとする会議の主旨とは正反対の動きを議長国がしていることになり、国際的に批判が出ている。
BBCとCCRが入手した文書は、UAE側がCOP28の参加国政府代表団との個別会談のために準備した150ページ以上にのぼるもの。各国のCOP28での交渉ポイントのほかに、UAEの国営石油企業ADNOC、国営再生可能エネルギー企業MASDALとの取引や、将来的なビジネスの可能性も記されている、という。COP28で議長を務める予定のスルタン・ジャーベル氏はUAEの産業・先端技術大臣だが、ADNOCの最高経営責任者(CEO)も務めており、「利益相反」との指摘も出ている。
また米CNNが28日伝えたところによると、COP28の運営チームの広報担当者はCNNの取材に電子メールで答え、「BBCの記事で紹介された文書は不正確で、COP28(の準備)では、これらを会合で使用していない。BBCが信憑(しんぴょう)性を確認できない文書を報道に使用したとみられるのは極めて遺憾だ」と述べる一方、「COP 28の運営チームは、ADNOCから独立して活動しているのか」とのCNNの問いには回答せず、ビジネス上の利益が話し合われていることについて明確に否定しなかった、という。
・エルサレム総大司教が、世界の教会に17日の聖地の平和の祈りに参加を呼び掛け、世界の女子修道会連合も参加
