・教皇の”側近”マルクス枢機卿らミュンヘン、ベルリンの大司教がそろって「既婚司祭」を支持(LaCroix)

(2022.2.3 LaCroix   Germany)

Munich, Berlin bishops sing from the same hymn sheet on clerical celibacy

 教皇フランシスコの”側近”の一人で独ミュンヘン大司教のラインハルト・マルクス枢機卿が、3日付けのバイエルン州の日刊紙Suddeutscher Zeitungに掲載されたインタビューで、聖職者に課せられている独身義務を廃止し、結婚を選べるようにすることを支持することを明らかにした。ベルリンのハイナー・コッホ大司教が数日前に同様の発言をしたのに続くものだ。

 このインタビューで、マルクス枢機卿は聖職者の独身制について「独身司祭と既婚司祭の共存を可能にすることは、誰にとっても好ましいだろう」と述べ、「何人かの司祭たちにとって、結婚した方がよいことがある。性的な理由からだけでなく、彼らの人生のために、孤独にならないために好ましいからだ」と語った。

 さらに枢機卿は「彼らは、独身を義務つけられた現状のままでいることはできない、と思う」と付け加えた。

 ミュンヘン・フライジンクの大司教区における聖職者の性的虐待に関する報告書が大きな波紋を呼んでいるが、この調査を外部機関に委託したのはマルクス枢機卿。1945年から2019年の間にドイツで最大かつ最も権威のある教区の1つで行われた聖職者による性的虐待を厳しく糾弾。

 さらに報告書は、ジョセフ・ラッツィンガー枢機卿(現在は元教皇ベネディクト16世)がミュンヘンの大司教を務めたほぼ5年の間に明るみに出た虐待事件のうち5件の対応を誤ったことを暗に指摘した。

 報告書の結果を受けて、マルクス枢機卿自身も、「ここ数十年に教会の聖職者が犯した性的虐待の大惨事の責任の一部を引き受けたい」として、辞意を表明したが、教皇フランシスコは、却下している。

 マルクス枢機卿は、フランシスコが2013年3月に教皇になられて1か月後に枢機卿顧問会議を設けられて以来、同会議のメンバーを務め、さらに、バチカンの金融財政を管理・監督するために教皇が2014年に設置された経済評議会の取りまとめ役も務めている。(注:つまり、教皇の側近中の側近とも言える)。

 独身制は「司祭になるための絶対的な条件であるべきではない」。ドイツ最大のベルリン教区を率いるコッホ大司教も、1月30日付けのベルリンが本拠の日刊紙Der Tagesspiegelに掲載されたインタビューで、聖職者の独身制の問題について、マルクス枢機卿と同様の見解を明らかにしている。

  67歳の大司教は、女性の助祭についても従来から支持を表明しているが、このインタビューで、男性のみが認められている司祭の独身の義務は「強い信仰の証し」ではあるが、それが司祭になる「唯一の道」である必要はない、と述べ、「多くの既婚者の信仰と説教力がどれほど強いかを、私は知っている。司祭の奉仕職を豊かにもします」と言明した。

 大司教は、さらに「教会をもっと女性に開放したい。私は個人的には、女性の助祭を支持している」とする一方、女性の司祭叙階の可能性は「現在はありません」と語り、「女性の司祭叙階が世界中で可能だとは思わないが、教会の一致を確実にするために、女性助祭を認めることは実行可能なステップになる」と述べた。

 コッホ大司教は、ケルン大司教だったヨアヒム・マイスナー枢機卿(2017年没)のもとで、7年間補佐司教を務め、教義については前教皇ベネディクト16世に近い保守派とされているが、ドレスデン教区長を2年間務めた後、2015年に教皇フランシスコがベルリン大司教に任命した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年2月5日