・「牧者の声を聞き逃すことのないように、互いに助け合って”シノドスの道”を歩もう」菊地大司教、四旬節第二主日メッセージ

(2023年3月 4日 (土)週刊大司教第116回

 四旬節第二主日となりました。毎年、四旬節には教皇様のメッセージが発表され、カリタスジャパンからの献金の呼びかけと一緒に、カレンダーなどとして送付されてきました。今年は、担当する総合人間開発省からのメッセージ発表がずれ込み、翻訳が間に合わずに、四旬節が始まってからの邦訳発表となりました。

 四旬節第二週の金曜日は、教皇様の指示に従って、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定められています。これについては、後日、別途触れたいと思います。なお司教協議会会長として発表したメッセージがあります。東京教区では、この金曜日、またはその直後の日曜日に、教皇様の意向に合わせてミサを捧げます。私も関口教会の主日ミサを司式します。

 以下、本日午後6時配信の週刊大司教第116回、四旬節第二主日のメッセージ原稿です。

 【四旬節第二主日A 2023年3月5日】

 創世記は、アブラムに対して、新しい土地へ出向いていくように、と呼びかける主の言葉、すなわち、「生まれ故郷、父の家を離れて、私が示す地に行きなさい」を記しています。 「生まれ故郷、父の家」とは、住み慣れた安心のできる場、いわば安住の地です。だが、「私が示す地」とは、いったいどこなのか、詳しいことは全くアブラムには知らされていません。一体この先どうなるのだろうかと、大きな不安があったことだと思います。

 しかしアブラムは、「主の言葉に従って旅だった」と記されています。主の呼びかけに信頼して、未知の旅路へと歩みだし決断は、神への信仰に基づいていました。 パウロはテモテへの手紙で、神が私たちを呼ばれているのは、「私たちの行いによるのではなく、ご自身の計画と恵みによる」のだと記しています。歩み始める旅路の主役は私たちではなく、主ご自身であるのだから、主の計画と恵みに身を委ねよ、という呼び掛けです。

 教皇フランシスコは、使徒的勧告「福音の喜び」において、「出向いていきましょう。すべての人にイエスの命を差し出すために出向いていきましょう」と呼びかけます。私たちもアブラムのように、またパウロが述べるように、主の計画と恵みに身を委ねて旅立たなくてはなりません。

 それでは私たちが身を委ねるべき神の計画はどこにあるのか。その神の計画は、福音書にあるように、御父が「私の愛する子、私の心に適うもの、これに聞け」と言われた御子イエスの言葉と行いによって、私たちに明示されています。弟子たちの前での御変容を通じて、神はイエスこそ神の子であり、その言葉と行いに神の栄光があることを、明示されました。

 教会は今、”シノドスの道”を歩んでいます。先週末には、アジアの大陸別シノドスも開催されたところです。連帯のうちに共に歩み続ける神の民は、主の計画と恵みに身を委ねるために、やみくもに歩き続けるのではなく、聖霊の導きを常に識別しなくてはなりません。そのためにも、共同体での祈りが必要です。互いの声に耳を傾け、共に祈り、ともに支え合う姿勢が大切です。 私たちは「神の民、その牧場の群れ」であります。牧者の声を聞き逃すことのないように、互いに助け合いましょう。

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2023年3月4日