・「コロナ後の世界をより良くできる否か、ヒントは新回勅に-チェルニー国務省次官講演

Cardinal Michael CzernyCardinal Michael Czerny 

 そして、前向きの対応を考える際、教皇が新回勅「Fratelli Tutti(兄弟の皆さん)」で述べておられるように、全ての人と国が「兄弟愛と社会的友愛」に立脚する必要を説いた。

 半ば逆説的に、人々には「移住しない権利」がある、と強調。それは、自分の国、故郷にいて自己実現ができること、新たな機会やよい未来を夢見るために、飢餓や戦乱、住環境の悪化などの苦しみから逃れるために国や故郷を出ることを強制されない権利だ、と語った。また、そうした人々が直面している多くの障害ー彼ら移民・難民を排除し、壁を作って追い込み、キリスト教の精神に反する外国人排除の姿勢をとる国粋主義や大衆迎合主義の政権から始まる障害ーを非難した。

 最後に枢機卿は若者たちの果たすべき役割に触れ、「友愛、連帯、そして無償の文化を創造する上での決定的な役割は、若者によって担われるもの」とし、「歴史、高齢者、そして創造に敬意を払い、世代間の社会的対話と連帯に取り組むことは、よりよい社会のための基盤となる価値を生む。常に移民・難民の人々に開かれた心をもって前に進むことにもなります」と強調した。

 そして「新型コロナ大感染は、私たち皆を危機に陥れましたが、教皇がおっしゃっているように、現在の危機が終わった後の人間は、それ以前と同じではありません。危機の経験をもとにして、私たちが以前より良くなるのか、悪くなるのか、それは私たちの選択にかかっているのです」と締めくくった。

 

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2020年11月28日