2025年1月18日 (土)週刊大司教第193回:年間第二主日C
降誕祭も終わり、典礼の暦は年間に入りました。次は灰の水曜日から四旬節が始まるまでの期間です。
メッセージでも触れていますが、毎年1月18日から25日までは、キリスト教一致祈祷週間です。今回のテーマは、「あなたは このことを信じますか」(ヨハネ11・26)です。詳しくは中央協議会のホームページのこのリンクをご覧ください。今回の一致祈祷週間のために用意された小冊子は、このリンク先の中央協議会のホームページにある小冊子の写真をクリックすると、PDFでご覧いただけ、ダウンロードもできます。
以下、本日午後6時配信、週刊大司教第193回、年間第二主日メッセージ原稿です。
(菊地・東京大司教)
【年間第2主日C 2025年1月19日】
ヨハネ福音に記されたカナの婚姻の奇跡物語は、イエスの最初の奇跡とされています。母マリアとともに招かれたカナの婚姻の席で、用意されたぶどう酒が尽きた時に、母の願いに応えて、水をぶどう酒に変えたという奇跡物語です。
現代社会での披露宴などの婚姻の宴が、どのように捉えられているのかは、一概に言うことはできないのでしょうが、聖書では、しばしば神の救いや神の支配の実現するときの喜びを表現するために用いられています。すなわち、神の救いや神の支配が実現したときには、そこにはあふれんばかりの喜びがあり、その喜びが満ちあふれる希望を生み出す。それが婚姻の宴における喜びと希望に例えられています。
その喜びの源であるぶどう酒が無くなったとき、そこに神が奇跡を持ってあふれんばかりにぶどう酒を与えたのですから、福音は「イエスこそが救いの喜びの源であること」を、この奇跡から教えようとします。単に、イエスが水をぶどう酒に変える力を持っていることを称えたいのではなく、そこに示される意味を説き明かそうとしています。
さらにこのカナの婚姻では、イエスは行動を促す聖母に対して、「私の時はまだ来ていません」と答えています。すべての出来事には神ご自身が定めた「時」がありますが、それを変えさせ神の行動を引き出したのは、聖母マリアの信仰とそれに基づく確信です。
カナの婚姻の出来事に、私たちは、聖母マリアの取次の力と、神の救いの喜びと希望に寄与する聖母の存在の重要さを見出します。私たちが聖母に祈るのは、聖母自身を礼拝しているのではなく、聖母を通してこそ主イエスに導かれるからであり、聖母マリアはそれほどまでに神からの信頼を得ている存在として、私たちが崇敬し尊敬するべき模範であります。
教会は、1月18日から25日までを、キリスト教一致祈祷週間と定めています。今年のテーマは、ヨハネ福音からとられた「あなたは このことを信じますか」(ヨハネ11・26)です。
第二バチカン公会議のエキュメニズムに関する教令は、「あたかもキリスト自身が分裂しているかのような(現状は)… 明らかにキリストの意志に反し、また世にとってはつまずきで」あると指摘し、福音を告げ知らせるためにもキリスト教における一致の重要性が示されています。それは単純に組織を合同することではなく、それぞれのカリスマを生きながらともに歩む一致です。
今年2025年は、コンスタンチノープル近郊のニケアで最初の公会議が開かれてから1700年目に当たります。まさしく「キリスト者に共通の信仰を振り返る時」です。私たちがミサの時に共に唱えているニケアコンスタンチノープル信条は、325年のこの公会議と381年のコンスタンチノープル公会議を経て成立した信条で、キリスト教の多くの教派で信条とされています。
ニケア公会議を記念するこの年、キリスト教祈祷一致週間は、信じることの意味、さらに「私は信じます」と「私たちは信じます」という、個人または共同体としての信仰をあらためて確認する機会となります。
信仰における一致のうちに、歩みを共にして参りましょう。
(編集「カトリック・あい」)