・「み言葉の生み出す希望を告げる巡礼者に」菊地大司教の神の言葉の主日メッセージ

2025年1月25日 (土)週刊大司教第194回:年間第三主日

 年間第三主日の26日は「神のことば」の主日です。教皇フランシスコによって制定され、制定を告知する文書「アペルイット・イリス」は、PDF版をこちらのリンクから読むことも、印刷することもできます。

 また東京教区にとって、26日は「ケルンデー」でもあります。ケルン教区との協力関係・パートナーシップは、昨年70年を迎えました。その歴史などについては、東京教区ホームページにまとめられていますので、こちらのリンクからご覧ください

 第二バチカン公会議の啓示憲章は、「教会は、主の御体そのものと同じように聖書を常にあがめ敬ってき〔まし〕た。なぜなら、教会は何よりもまず聖なる典礼において、たえずキリストのからだと同時に神の言葉の食卓から命のパンを受け取り、信者たちに差し出してきたからで〔す〕」(『啓示憲章』 21)と記して、神の言葉に親しむことは、聖体の秘跡に与ることに匹敵するのだ、と指摘しています。

 個人的に聖書を読み、親しむことはもちろん重要ですが、同時に共同体で共に学ぶことも、主の現存を霊的に知るために必要ですし、それ以上に、典礼において聖書を朗読することもm「とても大切な務めです。典礼における聖書朗読は、「神の言葉の食卓から命のパンを」信徒に与えることになるからです。

 東京カテドラルでは、今年の「ケルンデー」に、私がミサを司式すると同時に、昨年教区を代表してケルンを訪問した冨田神父様、イエズス会の柴田神父様、信徒の赤井さんの三名に参加いただき、冨田神父様には説教を、その他のメンバーにはそれぞれの体験を分かち合っていただく予定でおります。またミサは配信される予定です。ケルン教区の皆さんのため、特に召命のためにお祈りください。また私たちもケルンの皆さんの心に倣い、余裕があるからではなく、少ない中からも進んでさらに困難のうちにある兄弟姉妹のために手を差し出す者であり続けたいと思います。その意味で、ケルン教区とともに進めているミャンマーの教会支援を、これからもさらに深めていきたいと思います。

 以下、本日午後6時配信、週刊大司教第194回目、年間第三主日のメッセージ原稿です。

【年間第3主日C 2025年1月26日】

ルカ福音は、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」というイエスの言葉を記しています。聖書に記されている言葉が、単なる文字の羅列ではなく、まさしく生きている神の言葉であることを、人となられた神の言葉であるイエスご自身が、宣言される言葉です。

 公生活の初めに、ナザレの会堂で、イエスに渡されたイザヤ書の言葉こそ、イエスご自身の語り行うすべての根幹をなす生きる姿勢を明示したものでした。イエスこそは、囚われた人に解放を告げ、主の恵みの年を告げる存在であり、それこそが神の良い知らせ、福音であることが明らかにされます。イエスこそは希望の源です。自由を奪われ不安の暗闇に閉じ込められているわたしたちに、神がいのちを創造されたときに願われた思いを生きることができるようにと、囚われからの解放をもたらす希望の源は、神の言葉であります。

 「希望の巡礼者」をテーマとして始まった聖年は、まさしくイエスの言われた「主の恵みの年」であり、この一年、私たちは、自分自身の回心、霊的な成長、そして救いだけを心に留めるのではなく、主と共に歩む巡礼者として、与えられた自由と解放がもたらす希望を、さらに多くの人に伝えていく使命があります。

 年間第三主日は、神のことばの主日です。教皇フランシスコによって2020年に制定されたこの主日は、使徒的書簡「アペルイット・イリス」によれば、「神のことばを祝い、学び、広めることにささげる」主日とされました。

 その上で教皇様は、「聖書のただ一部だけではなく、その全体がキリストについて語っているのです。聖書から離れてしまうと、キリストの死と復活を正しく理解することができません」と指摘されています。ミサの中で聖書が朗読されるとき、神の言葉は生きており、そこに主がおられます。ですから、典礼における聖書朗読の奉仕者の役割には、聖体の秘跡に関わる司祭と同様に重要な意味があります。

 教皇様は、「聖霊は、神の言葉を聞く人々のうちにおいても働いています」と使徒的書簡に記し、だからこそ「原理主義的な読み方は避ける必要が」あると強調されます。その意味で、シノドスの道を歩む際に重要とされている霊における会話のように、共同体でともに神の言葉に耳を傾け、分かち合いながら、聖霊の導きを識別することには意味があります。

 神の言葉は、その昔に実現したのではなく、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現」します。

 東京教区にとって26日は「ケルンデー」であります。ケルンと東京のパートナーシップは昨年2024年に70年を迎えました。第二バチカン公会議直前に始まった東京カテドラル聖マリア大聖堂の建設をはじめ、東京教区はケルン教区から多額の援助を受けて育てられてきました。そして、白柳枢機卿の時代に、ミャンマーの教会支援という新しいパートナーシップへと発展しました。

 与えられ育まれてきた財産を、これからどのように維持、発展させていくのかは、愛を受けた私たちの責任です。私たちは、教区を育ててくださった兄弟姉妹の愛の心に感謝しながら、それに倣い、神の愛の生きた証し人として、神の言葉の生み出す希望を告げる巡礼者でありたいと思います。

(編集「カトリック・あい」)

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2025年1月25日