・「戦争は狂気だ」-ロシアのウクライナ軍事侵攻6か月、教皇、犠牲者たちのために祈る

ウクライナからの難民、戦争から半年が経ちましたRefugees from Ukraine, now six months into war 

(2022.8.24  Vatican News staff reporter)

 ロシアによる軍事侵攻が始まって6か月となった24日、教皇フランシスコは水曜恒例の一般謁見の席で、「この半年の間、戦乱の恐怖に苦しみ続けているウクライナ国民に、主の平和がもたらされるように祈ってください」と世界の人々に呼びかけられた。

 教皇はこの戦争を「狂気だ」とし、ウクライナ、ロシア双方の多くの孤児のことを思い起こすとともに、同じような苦しみを味わっているシリア、イエメン、ミャンマーなどの紛争犠牲者についても忘れることにないように、と世界の人々に求められた。

*「原発の大惨事を回避する具体的措置」をロシアなどに要請

 また教皇はウクライナでいま最も差し迫った危険があるザポリージャ原子力発電所をめぐる状況を念頭に、「大惨事のリスクを回避するため」に具体的な措置をとるようロシアなど関係国の指導者たちに要請した。‎

 さらに、世界のすべての戦争捕虜を思い起こされ、当事国指導者にすみやかな解放実現を求めた。

*増え続ける子供たちの犠牲、孤児の増加に憂慮‎

 ‎教皇は、ロシアの軍事侵攻で犠牲となった多くの子供たち、多くの心身に傷を負った人たち、難民となった人たちに思いをはせるとともに、親を失い孤児となった子供たちについて「国籍など関係ない。ロシア人であろうとウクライナ人であろうと、彼らは自分の親を失ったのです」とその数が増え続けていることに憂慮された。‎

 続けて、「いかに多くの罪のない人々が、これほどの残酷な目に遭い、苦しんでいることでしょうか… これは狂気です。戦争は狂気です」と述べ、モスクワの近くで自動車爆破で殺された少女も思い起こされ、「戦争の狂気です。車の爆破で殺された哀れな少女… 罪のない人が戦争の代償を払わされている。罪のない人がです!このような現実について考え、互いに言い合いましょう―『戦争は狂気だ』と」と訴えられた。

 さらに教皇は、武器取引から利益を得る人々を「人類を殺す犯罪者」と非難された。‎

*世界の数々の紛争に苦しむ人も忘れないように‎

‎ 最後に、教皇は、ウクライナの人々にとどまらず、10年以上にわたって内戦が続くシリア、極めて多くの子どもたちが餓死しかけているイエメン、不正義のために故郷を捨てるのを余儀なくされているミャンマーのロヒンギャの人々など、紛争で破滅状態に陥っている国々の人々の苦しみについても、忘れないように、世界の人々に呼びかけられた。‎

 そして、教皇がマリアの汚れなき御心に奉献されたウクライナとロシアの二つの国に一日も早く平和がもたらされるように改めて願われた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年8月24日