♰ 「”緋色”の意味をかみしめ、脇道へそれることのないように」-教皇、叙任式で13人の 新枢機卿に”訓示”

(2020.11.29 バチカン放送)

 教皇フランシスコは28日(日本時間29日)、バチカンで公開枢機卿会議(コンチストーロ)を開き、新しい枢機卿の叙任式を行われた。

 教皇フランシスコにとって7回目にあたる公開枢機卿会議は、新型コロナウイルスの世界的大感染の中で開かれたため、一般参加者の人数を限定し、枢機卿団の中にも、自国に留まりインターネット中継を介して参加した方が少なくなかった。新たに叙任された13人の枢機卿のうち、フィリピンのホセ・アドヴィンクラ枢機卿、ブルネイのコルネリウス・シム枢機卿は、儀式にへの出席断念を余儀なくされ、日を改めて、教皇の代理使節により、枢機卿の象徴である緋色のベレッタ(帽子)と、指輪が届けられることになった。

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 聖ペトロ大聖堂の「司教座の祭壇」で行われた儀式では、感染拡大防止に配慮しながらも、伝統にのっとり、教皇から新枢機卿へ、ベレッタと、指輪、任命状が手渡された。帽子と指輪の授与後、教皇と新枢機卿、また新枢機卿と枢機卿団メンバーとの抱擁は行われなかったものの、任命による責務の重さを感じさせると同時に、温かい祝福の雰囲気に包まれた儀式となり、新枢機卿を代表し、マリオ・グレック枢機卿が、教皇に挨拶を述べた。

 教皇は、新枢機卿に向けた言葉で、式中朗読されたマルコ福音書(10章32-45節)を取り上げ、エルサレムに向かう道を先頭に立って進み、ご自分の死と復活を三度予告するイエスに対し、驚き怖れる弟子たちや世俗的な出世を願うヤコブとヨハネとの、その深い対比を観想するよう促された。

 「神の僕としての道をまっすぐ進まれるイエス」と、「イエスの使命を理解できず、世俗的な思いから、いわば脇道にそれる弟子たち」。教皇は「イエスを愛し、イエスに従うことを望む者として、私たちも神の御子の受難と死と復活の道を、脇にそれないように、自戒しながら進まねばなりません」と新枢機卿たちに説かれた。

 そして「足と体はイエスに従っていても、心が離れていると、それが私たちを脇道へとそらすことになります」とされ、「たとえば枢機卿の衣の緋色は、『殉教の血の色』ですが、油断すると、その色は『世俗的な成功の象徴』になりかねない」と警告。

 「回心とは、まさに『脇道から神の道へと戻ること』なのです」と強調し、新枢機卿たちにその使命への自覚を促された。

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 今回の公開枢機卿会議で任命された13人を加え、現時点での枢機卿の総数は229名、そのうち、コンクラーベの選挙権を持つ80歳未満の枢機は128名、選挙権を持たない80歳以上の枢機卿は101名となった。

 枢機卿団メンバーの新しい出身国として、ブルネイとルワンダが加わり、昨年、前枢機卿を亡くしたマルタに再び枢機卿が生まれた。これによって、枢機卿団メンバーは、世界90ヵ国を代表することになる。

 この日、叙任された新枢機卿は、次のとおり(儀式における叙任順・敬称略・括弧内は出身国と年齢)。

[80歳未満の有権枢機卿]

マリオ・グレック / シノドス事務局・事務局長(マルタ、63)

マルチェッロ・セメラーロ /  列聖省長官(イタリア、72)

アントワーヌ・カンバンダ / ルワンダ・キガリ大司教(ルワンダ、62)

ウィルトン・グレゴリー / 米国・ワシントン大司教(米国、72)

ホセ・アドヴィンクラ / フィリピン・カピス大司教(フィリピン、68)

セレスティーノ・アオス・ブラコ / チリ・サンチアゴ大司教、カプチン・フランシスコ修道会(スペイン、75)

コルネリウス・シム / ブルネイおよびクアラルンプール代牧(ブルネイ、75)

アウグスト・パオロ・ロユーデチェ / 伊・シエナ‐コッレ・ヴァル・デルサ‐モンタルチーノ大司教(イタリア、56)

マウロ・ガンベッティ / コンヴェンツァル・聖フランシスコ修道会、アッシジ・聖フランシスコ修道院院長(イタリア、55)

[80歳以上の枢機卿]

フェリペ・アリスメンディ・エスキヴェル / メキシコ、サンクリストバル・デ・ラス・カサス名誉司教(メキシコ、80)

シルヴァーノ・マリア・トマーシ / 教皇大使(イタリア、80)

ラニエーロ・カンタラメッサ / 教皇付説教師、カプチン・フランシスコ修道会(イタリア、86)

エンリコ・フェローチ / ローマ教区サンタ・マリア・デヴィーノ・アモーレ主任司祭(イタリア、80)

(編集「カトリック・あい」=見出しも)

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2020年11月29日