♰聖香油のミサ-「私たちは瓶に入った油の”供給者”ではない、人々の傷に触れ、手を汚しながら、油を塗るのだ」

(2019.4.18 バチカン放送)

 教皇フランシスコは聖週間の「聖木曜日」を迎えた18日の午前、ローマ教区の司祭らと「聖香油のミサ」を捧げられた。「聖香油のミサ」は、各教区の司教座聖堂で、司教と司祭の共同司式でされるもので、ミサ中に「司祭叙階時の約束の更新」と司教による「聖油の祝別」が行われた。

 ミサの説教で教皇は、福音書の中で貧しい人々や、病者、疎外された人々が、イエスから癒しを施されることで、人間としてのアイデンティティー、尊厳を取り戻したことを思い起こされ、「主の癒しによって立ち上がり、元気を得た人々、群衆の中で具体的な顔を持ったこれら一人ひとりの存在を、私たちも忘れてはならない」と司祭たちに呼びかけ、「私たちは人に『塗油するために、塗油された者』であり、これらの貧しい人々こそが、聖霊の私たちの心への塗油を、完全で真なるものとしてくれるのです」と話された。

 そして、「人に塗油することで、自分も新たに塗油される」「私たちは瓶に入った油の供給者ではなく、自分という存在を、また自分の召命と心を分け与えながら、人に油塗る者」「私たちは、人々の傷や、罪、苦しみに触れ、自ら手を汚しながら、油を塗り、人々の信仰や、希望、忠実さ、寛大さに触れ、自分もその香りを受けながら油を塗る」と指摘された。

 この後、「聖なる教会は、主キリストが、使徒と私たちに、ご自身の司祭職を伝えられたこの日を、今年も記念します。叙階の日に、皆さんが司教と聖なる神の民の前で行った約束を、新たにすることを望みますか」という教皇の問いに、司祭たちは「はい」と答え、叙階の時の約束を更新した。

 聖油の祝別の儀式では、病者用聖油、洗礼志願者用聖油、そして堅信等に用いられる聖香油の、三種の聖油が、助祭たちによって祭壇前に運ばれた。教皇はアンフォラ(二つの持ち手がついた縦長の壺)に入ったそれぞれの香油を、祈りと共に祝別された。「聖木曜日」に各教区のカテドラルで祝別されたこれらの聖油は、教区内の教会に分配される。

 「聖木曜日」の午後から、教会の典礼は一年間の頂点である「聖なる過ぎ越しの三日間」に入る。教皇は、同日夕方、ローマ近郊、カステッリ・ロマーニ地方ヴェレットリの刑務所、「主の晩餐のミサ」を司式された。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年4月19日