♰教皇、核兵器禁止条約の発効を前に、改めて「核のない世界」へ努力訴え

広島平和記念公園で祈る人々 2020年8月6日広島平和記念公園で祈る人々(2020年8月6日 )

 教皇フランシスコは、20日の一般謁見で、22日に発効する核兵器禁止条約に言及し、「核兵器のない世界」を築くため、すべての国と人々に協力と努力を呼びかけられた。

 教皇は、核兵器禁止条約が「一瞬にして大量の人を攻撃し、非常に長期間、環境に破壊的影響を与える核兵器を、明瞭に、法的拘束力をもって禁止する最初の国際条約」であることを強調。

 「人類が心から願う核兵器のない世界に必要な環境を積極的に作り上げるために、平和を推進し、多面的に協力しながら、決意をもってこの問題に取り組む」ように、すべての国々、すべての人々に強く求められた。

 教皇は、これまで様々な機会に核兵器の廃絶を訴えてこられた。

 一昨年11月の日本訪問では、長崎の爆心地公園を訪れ、平和のメッセージの中で、「核兵器のない世界は可能であり、必要だ」と言う確信をもって、実現のために「真の平和の道具」となるよう、すべての人に訴えられた。広島の平和記念公園でも、「原子力の戦争目的の使用は倫理に反する… 核兵器を持つこと自体、倫理に反する」とされ、「真の平和とは、非武装の平和以外にありえないことを、歴史から学ぼう」と呼びかけられている。

(カトリック・あい)

 同条約は、これを批准する国が「いかなる状況においても、核兵器またはその他の核爆発装置を開発、実験、生産、製造、その他の方法で取得、保有、または保管してはならない」と宣言している。2017年7月7日、ニューヨークでの国連会議で採択され、核軍縮に関するものとしては20年ぶりに法的拘束力を持つ多国間協定となった。

 だが、これまでのところ、米国、英国、フランス、ロシア、中国など、肝心の核兵器保有国はこの条約に署名しておらず、中国や北朝鮮はむしろ増強を図っており、これらの国々が批准する見通しもない。つまり、現状を見る限り、実効性に乏しい条約と言わざるを得ない状況だ。

 

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2021年1月20日