♰「私たちは病んだ世界に住み、健康を装うことはできない」-世界環境の日に

A volunteer collects rubbish on the beach on World Environment Day, Sri LankaA volunteer collects rubbish on the beach on World Environment Day, Sri Lanka 

(2020.6.5 Vatican News)

 世界環境の日の5日、教皇フランシスコは、今年の会場に予定されていたコロンビアのイバン・ドゥケ・マルケス大統領に宛てた書簡で、私たちはこれまでの生活態度を改め、より良い、より健全な地球を後世の人々に残すようにしよう、と訴えられた。

 毎年6月5日に行われている世界環境の日の行事は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、コロンビアでの開催を中止、インターネットを通じで行事が行われた。

 教皇は、マルケス大統領宛ての書簡で、まず、「地球環境の保護と生物多様性の尊重は、私たち全員に影響を与える問題」としたうえで、「私たちは、病んでいる世界に住み、健康を装うことはできません」と強調。

 さらに、「私たちの母なる地球が受けている傷は、私たちも血を流す傷です」と指摘。生態系を大切に守ることは、「素早く容易に手に入る利益」よりも、本当に命を気遣う「先を見据えた見方」を必要としており、地球の現在の状態への私たちの対応は「現在の状況の深刻さを気遣い、証言するものでなければならない」と訴えられた。

 また、「私たちが、生態系の破壊と搾取がもたらす余りにも高い代償に気づいた時、(注:地球があげる)叫び声を前にして、黙っていることはできない… 他の方法を探し続けたり、進歩の美名のもとに、私たちの星が略奪され、利益を求める欲望によって侵害されることに無関心でいるような、時ではありません」とされたうえで、「すべては、私たちにかかっているのです… 私たちはより良い、より健全な世界を次の世代に引き継ぐことを約束するチャンスを手にしているのです」と、世界の人々に呼び掛けた。

 そして、ご自身が5年前に出された環境回勅「Laudato Si」を思い起こされ、「私たちを奮い立たせる母なる地球の叫びに注意を向ける」という回勅の狙いを改めて強調した。

 教皇は書簡の最後を、全ての熟慮と結論が「今よりもっと住みやすい世界、もっと人間的な-私たちすべてが生きる場を持ち、誰人に後に残されることのない-社会の構築を、常に進めるものとなること」を信じている、と締めくくられた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2020年6月5日