♰「現代世界で『希望に奉仕する』ことは『文明間に橋を架けること」-モロッコ訪問を振り返って

(2019.4.3 バチカン放送)

 教皇フランシスコは3日、バチカンで水曜恒例の一般謁見を行われ、この中でモロッコ訪問について報告された。

 ムハンマド6世国王とモロッコ当局へ改めて感謝するとともに、イスラム教徒の兄弟姉妹との対話と出会いに新たな一歩を記すことを助けてくださった神に感謝を捧げられた後、今日の世界において「希望に奉仕する者」としてモロッコを訪れた、とされたうえで、800年前にスルタン、アル=マリク・アル=カーミルに平和と兄弟愛のメッセージを伝えたアッシジの聖フランシスコと、1985年に歴代教皇として初めてモロッコを訪問された聖ヨハネ・パウロ2世を想起された。

 そして、「現代にあって『希望に奉仕する』ことは、『文明間に橋を架ける』こと」とされ、「モロッコの人々との出会いで、人間の尊厳を守り、平和と正義、また環境保護を推進するための宗教の役割の重要性を確認し、特に聖なる都市エルサレムが人類の遺産、唯一神を奉じる3つの宗教と人々の平和的な出会いの場所であるように、国王と共にアピールできました」と語られた。

 また、国王と共にイスラム研究所を訪問したが、イスラム教指導者と説教師の育成を目的とするこの研究所では、他宗教の尊重と、暴力と原理主義の拒否を推進していた、と語られ、移民たちとの出会いに関連して、昨年12月に国連がモロッコのマラケシュでの会合で「安全で秩序ある正規移住のグローバル・コンパクト」(移民協定)を採択したことに言及。「この協定が国際社会にとって移民問題における責任ある態度の一歩となりました」するとともに、モロッコのカトリック教会の移民に寄り添う姿勢を評価された。

 教皇は、モロッコ訪問の2日目を、現地のカトリック共同体との交流にあてられたが、聖ビンセンシオ・ア・パウロの愛徳姉妹会が運営する農村社会福祉センターでは、多くのボランティアの協力を得て、地元の人々に様々な奉仕をしている様子をご覧になった。首都ラバトのカテドラルでは、モロッコのカトリック司祭、修道者およびキリスト教諸教会代表者とお会いになったことを振り返り、「その小さな群れは、『塩』『光』『パン種』といった、福音書のイメージを思い出させるものでした」と語られた。

 訪問の最後に、ラバトのスポーツ施設で行われたミサには、およそ60か国を出身とする多くの人々が参加したが、説教で観想された「放蕩息子を迎えるいつくしみ深い父のたとえ話」を改めて取り上げ、「神のご計画の素晴らしさを輝かせ、ご自身の子らすべてを、その喜びと、赦し、和解の祝祭に招きたい、との神の望みを教えるものでした」「この父の抱擁の中で再び生まれ変わり、互いを兄弟として認められる者だけが、この世において希望の奉仕者となれるのです」と説かれた。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年4月4日