♰「弱者への医療支援こそ、優先すべき『共通善』」-2月11日の「世界病者の日」へのメッセージ

イタリア・ミラノ近郊の病院で 2020年3月イタリア・ミラノ近郊の病院で 2020年3月  (ANSA)

 来月2月11日の「ルルドの聖母」の日は、カトリック教会の「世界病者の日」でもあるが、教皇フランシスコは12日、この日に先立ち、「あなたがたの師は一人だけで、あとは皆、兄弟なのだ」(マタイ福音書23章8節)をテーマとするメッセージを発表された。

 このメッセージで、教皇は、特に、貧しい人々をはじめ、新型コロナウイルスの大感染で苦しむすべての人々に思いを向け、「兄弟愛に動かされ、弱い立場の人々を思いやることのできる社会こそが、人間的な社会」だとされ、健康を「優先すべき共通善」として、医療支援を大切にするよう呼びかけている。そして、「言葉だけで実行の伴わない偽善」に注意を促し、「誰一人、疎外され、見捨てられた、と感じることのないように、病者との絆を築くように」と希望されている。

 また、今回のコロナ大感染で表面化した医療システムの不備や病者への支援の不足に触れる中で、「特に高齢者や社会的に弱い立場の人々が手当てされる手立てが、必ずしも平等な形で保証されていません」とされ、他者に隣人として寄り添った「無数の人々の沈黙の群れ」を思い起しつつ、「手当てを必要とする人々と彼らを手当てする人々との間の、心の通う関係の重要さ」を強調。「いたわりの姿勢は、苦しむ病者へに慰めを与える貴重な『香油』です」と述べられた。

 さらに、「病者との絆」は、キリストの愛(カリタス)に限りない源泉を見出すことができ、「キリストの死と復活の神秘からほとばしる愛こそが、病者と彼らを世話する者の双方に深い意味を与えることができます」と語られた。

 そして、教皇はメッセージの最後に、「慈しみの母」「弱っている者の癒やし」である聖母マリアに、「私たちが、兄弟愛をもって互いをいたわることができるように」と助けを祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2021年1月13日