♰「危機の世界経済に新たな潮流を作り出す力となれ」ー世界青年経済人バーチャル会議「Economy of Francesco」に

 

(2020.11.21 バチカン放送)

  新しい経済の形を話し合う世界の青年たちのバーチャル会議「Economy of Francesco(フランシスコの経済)」が19日から21日にかけて、イタリア・アッシジを主会場に115か国の代表が参加して開かれたが、教皇フランシスコは最終日の21日、ビデオを通しメッセージを送られた。

 この会議は、より正しく包括的な経済のあり方を考えることを目的に、教皇フランシスコが昨年、若い経済学者や起業家らに参加を呼びかけたのを受けて開かれた。新型コロナ大感染で当初予定より半年以上遅れての開催となったことから、結果として、教皇の新回勅を受けた形となった。

 教皇はメッセージで、「聖フランシスコの生き方と精神からインスピレーションを得たこのイベントが、終点ではなく、私たちが引き受けるように求められている召命、文化、神との契約の一つのプロセスの始まりとなる」よう願われた。

 そして、「『フランシスコよ、行って、崩れかけた私の家を直しなさい』。若きフランシスコを動かしたこの神の言葉は、私たち一人ひとりへの特別な呼びかけでもあります… 貧しく、社会の片隅に追いやられた人々と共に、『地球の資源を搾取する現在の世界構造が、もはや様々な点から、持続不可能になっている』という事実を受け止め、責任をもって対応する新しい経済の潮流が緊急に必要とされています」と訴えられた。

 また教皇は「現在の世界の深刻な状況は、新型コロナの感染が引き起こした危機によって、いっそう際立つものとなっています… 社会のすべての人に、責任ある自覚が求められる中、若い人々が担う役割がこの上なく重要。それは、今日の私たち大人の言動の影響を将来に直接受けるのは、まさにあなた方、未来の世代だからです」と指摘。

 今は、「人間や社会、環境の犠牲を無視し、目先の利益だけに集中した経済モデル」に押しつぶされ、「貧富の差を前に沈黙し、その場しのぎの解決や慈善事業的モデル」に頼っている時ではない、「貧しい人たちの声を聴き、その尊厳を保証する、単なる救済主義以上の回心と変化が、私たちの政治と社会に必要なのです」と強調された。

 さらに、「今日、私たちは互いを兄弟と認め、他者のために『善きサマリア人』となるための大きなチャンスを前にしています」とされ、「現在の新型コロナ感染危機の後に懸念される最悪の反作用は、『消費熱』のいっそうの高まりや、『新しい形の利己的保身主義』… 今こそ、良いものを育て、機会を活かし、皆の力を合わせ、共通善のために取り組んでいかねばなりません」と若い人々を励まされた。

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 この会議は当初、教皇の現地訪問も含め、アッシジでの様々な交流行事と共に、今年3月に開催を予定していたが、新型コロナウイルスの世界的な大感染の影響で延期。その後、プログラムの変更を経て、インターネットを通じたビデオ・ミーティングの形で行われた。

 参加者らはビデオを通し、今日の世界の問題を見つめつつ、貧しい人々をはじめ、社会のすべての人々に配慮した経済のあり方、その実現のプロセスを求め、発表、討論、黙想などを行った。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2020年11月22日