♰「今こそ、”社会的友愛”実践の時」- 教皇、南米の新型コロナ・セミナーへメッセージ

 

ボランティアから食事を受け取る人々 パラグアイ・ルケで 2020年5月ボランティアから食事を受け取る人々 パラグアイ・ルケで 2020年5月  (AFP or licensors)

(2020.11.19 バチカン放送)

 教皇フランシスコは19日、「ラテンアメリカの新型コロナウイルス感染の現状と未来に向けた行動を考えるセミナー」にメッセージをおくられた。セミナーは、教皇庁ラテンアメリカ委員会、教皇庁立社会科学アカデミー、ラテンアメリカ司教協議会が共同企画した。

 ビデオ・メッセージで、教皇は、ラテンアメリカの新型コロナの感染状況とその影響を分析し、可能な連帯行動を考える同セミナーが、「兄弟愛の体験と社会的友愛の構築とともに、すべての人に尊厳ある生活を保証するための社会構造に刺激をもたらすことができるように」と希望された。

 教皇は「新型コロナウイルスの感染拡大は、以前からラテンアメリカ全土を苦しませていた社会・経済上の不平等をより浮き彫りにしています」とされ、感染の影響は、特に貧しい人たちに最大の打撃を与えることになった、と指摘された。

 そして、社会的距離を置くことや、手洗い、消毒の励行など、感染防止対策を皆がとるためには、それにふさわしい住環境や、水、衛生用品等、最低限のものが保証されることが不可欠であり、適切な医療サービスを受けるためには安定した仕事に就いていることも必要、とし、新型コロナの感染による危機は、「単なる感染対策上の問題だけでなく、人々が必ずしも、日常生活をおくる上での基本的な条件を満たすことができていない、という、社会的な問題をあぶり出しています」と語られた。

 「今こそ、私たちの共通の帰属を自覚する時… 自分たちを癒す最良の方法は、隣人を世話し、守ることだ、ということを、新型コロナ感染が教えています」とされ、コロナ感染と同時並行的に蔓延しているたくさんの社会的な病いについて指摘したうえで、特に、その指標となる「家(屋根・techo)、土地(tierra)、仕事(trabajo)の3つのTの欠如に対し、強力かつ迅速な対応が要求されています」と強調された。

 また、ラテンアメリカの人々に対して、「希望を失ってはなりません… 正義としての連帯の歩みは、愛と寄り添いの最良の表現です。多くの人たちが犠牲を払い、努力することで証ししているように、この危機からより良い形で脱することは可能です」と励まされた。

 教皇は、先に出された新回勅『Fratelli tutti(All Brothers)』から引用する形で、「すべての人を兄弟姉妹と認めること、また、すべての人を受容する社会的友愛を追求することは、単なる理想ではありません。その実践を保証するために、効果的なプロセスを見出す決断と能力が必要です」と訴え、「福音の光に励まされ、すべての善意の人々と共に外に出て、善きサマリア人のように、助けを求める人々に寄り添い、最も弱い人々を抱擁して欲しい」と希望された。

 最後に、教皇は「一致は、対立に勝ることを、改めて思い起こしましょう」と呼びかけ、ラテンアメリカの人々を、聖母の保護のマントの下に託された。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2020年11月20日