♰「人身売買と戦うためにさらに多くの教会の運動体が必要だ」

Pope Francis with participants in the general assembly of Talitha Kum in the Vatican on 26 September, 2019. Pope Francis with participants in the general assembly of Talitha Kum in the Vatican on 26 September, 2019.   (Vatican Media)

(2019.9.26 VaticanNews   Robin Gomes)

 教皇フランシスコは26日、バチカンで開かれた Talitha Kum(タリタクム(=人身売買と戦っている宗教関係の団体の世界的ネットワーク)の総会参加者と会見し、この戦いを「スピードをもって、広範かつ効果的に進めるために、さらに多くの修道会と教会の関係機関が参加する必要がある」と強く訴えられた。

 タリタクムは、男女修道会の総長による国際連盟(UISG)のプロジェクトとして、2009年に始められ、その運動は現在、世界92か国で52の女子修道会のネットワークに広がり、2000人のボランティアが1万5000人以上の被害者を支援、20万人以上に対して警告、啓蒙活動をしている。

 会見で教皇は、この様な活動を高く評価し、「人身売買の非道な行為に対して、教会の宣教活動の”最前線”で働き、今も働いている数多くの修道会に、深く感謝します」と述べられたうえで、この総会が二つの問題ー「主として社会的、文化的な違いゆえに、世界の女性たちの置かれた状況が大きく異なっている問題」と「個人主義的な理想を伴うネオリベラルの発展モデルが敷いた境界が、国の責任を取り上げる危険を冒している問題」ーを主要議題としていることを指摘。

 そして、今回の総会は「解決策を明らかにし、それを実施するために必要な資源に関心を集中させている」と教皇は述べ、現地教会に対する質の高い、充実した支援を強化する司牧的な計画を高く評価された。さらに、今後の対応を進めるうえで、バチカンの人間開発のための部署の移民・難民部門が出している「人身売買に関する司牧ガイドライン」が有益、と活用を勧められた。

 教皇はまた、人身売買の防止と犠牲者の支援にあたっている女子修道会を励ます一方で、他の男女修道会に対して、こうした活動が各地に広がるように支援、連携するように求め、とくに「自分たちの内部の問題だけに気を取られている修道会」には、「そうした内部の問題は、表に出て、新鮮な空気を吸えば、解決されるでしょう」とし、人身売買への戦いに加わることを強く促した。

 「人身売買が提起している課題の大きさを考えると、様々な教会の現実の上に相乗的な関わりを進めねば対応できません」と述べ、各地の司教たちに対して、「教会の活動がタイムリーで効果のあるものとするために、自己の教区の男女修道会と教会組織の計画と活動に関与すること」を希望された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年9月27日