♰「人身売買と売春で搾取される女性たちを”奴隷解放”する努力を」

File photo of Pope Francis meeting participants in conference on human trafficking (11 April 2019)File photo of Pope Francis meeting participants in conference on human trafficking (11 April 2019)  (Vatican Media)

(2019.7.29  Vatican News)

 教皇フランシスコが、人身売買をテーマにしたアルド・ボネウト神父(教皇ヨハネ23世会会員)の著作「Women crucified. The shame of human trafficking as told from the street(イタリア語の原題 “Donne crocifisse. La vergogna della tratta raccontata dalla strada”」に序文を寄せられた。

 この中で教皇は、毎年の Mercy Fridayの施設訪問で教皇ヨハネ23世会が運営する人身売買被害者の家を訪問した時のことを思い起こされ、「(その家で)これほど屈辱を味わわされ、苦しめられ、痛めつけられた女性たちに会うとは考えていませんでした… まさに、十字架にはりつけにされた女性たちでした」とし、そこで出会った「不幸な女性たちー何人かは腕に子供を抱えていましたーから、心を打つ、まさに人間の物語」を聴き、その最後に、「多くが自分自身を”キリスト教徒”と呼ぶ”客”のために耐えねばならなかった拷問ゆえに彼女たちに赦しを願う」必要を感じた、と述べている。

 さらに、教皇は「人は、決して売りに出されてはなりません」と訴え、この本の著者、ボネウト神父が長年進めてきた「彼女たちの救出とリハビリの貴重な、勇気ある仕事」を讃えた。この仕事が危険を伴うものであり、具体的には、彼女たちを「法にもとる恥ずべき利潤の尽きることのない源」とする犯罪シンジケートに襲われる可能性もあるのを知っておられたうえでのことだ。

 そして、今回出版されたこの本が、広く読まれることを希望し、「私たちが人命の搾取、屈辱と、効果的に戦おうとするなら、(人身売買される人の)衝撃的な数字の裏にある物語」を(注:それを知らない人々に)伝える必要があります」と強調した。

 教皇は「社会の腐敗は何もせずに治る病ではありません。私たち一人一人が認識を高めていくことが必要です」とし、それは教会にも当てはまる、と述べ、さらに「どのような形の売春も、奴隷、犯罪行為につながるもの、性行為と無防備な女性を痛めつけることで本能を満たす行為を取り違えた嫌悪すべき堕落です」と批判。

 売春は「集団の良心に対する傷」。女性を「使い捨ての”商品”のように搾取しても構わない」という考えは「病的」であり、売春は「人間の病弊。社会についての誤った考え方」とされ、このような”奴隷”を”解放”することは、「慈しみの表現、善意の人々すべての義務」と言明された。

 さらに、「個々人と組織団体は彼女たちの苦痛の叫びに無関心のままでいるべきではありません… 世界各地の道に流された無実の血から目を背け、(注:自分とはかかわりないことだと)手を洗ってはなりません」と訴えられた。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

 

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2019年7月30日