☩教皇、ロシア軍の住民生活インフラ破壊を断罪するEUとともに、ウクライナのために祈る

Firefighters work to put out a fire in a thermal power plant damaged by a Russian missile strike in ZhytomyrFirefighters work to put out a fire in a thermal power plant damaged by a Russian missile strike in Zhytomyr 

(2022.10.19 Vatican News  Benedict Mayaki, SJ)

   ロシアによるここ数日のウクライナの住民生活に直結するインフラへの集中攻撃を、欧州員会が「戦争犯罪」として断罪したが、 教皇フランシスコは19日の水曜恒例一般謁見で、このような「受難」のウクライナのための祈りを新たにされた。

 「私たちは、受難のウクライナに思いを向けます」と述べた教皇は全世界の人々に対し、「現地で起きている恐るべきこと、拷問、死、破壊」の速やかな停止を祈るよう呼びかけられた。

*ロシアの攻撃でウクライナ全土の発言所の三分の一が破壊

 ウクライナからの最新の報告によると、ここ数日のロシアのドローンなどによる攻撃によって、キーウの主力発電所を始め、ウクライナ全土の発電所の約30%が破壊され、1000 を超える市町村で停電が起きている。ドニプロ、ムイコラーイウ、ジトーミルなどの都市では、集合住宅などが標的にされ、多数の死者が出ている。

*欧州委員会はロシアの攻撃を「戦争犯罪」と断罪

 このようなロシアのウクライナの市民生活インフラを狙った攻撃に対して、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧州議会での演説で「今回のロシアによるウクライナ攻撃は、すでに残虐な攻撃を繰り返しているロシアの行為が新たな段階にきていることを示している。これは、明確に国際法上の戦争犯罪です」と断罪。「厳冬期を前にした一般の人々の生活を電気、暖房から遮断する、という明確な目的を持った攻撃は、まぎれもない『恐怖の行為』に他なりません」と激しく非難した。

*国連のウクライナ独立委員会がロシアに説明責任求める報告書

 一方、国連人権理事会が設置した「ウクライナに関する独立調査委員会」は11日に国連総会に提出した報告書で、「一連の戦争犯罪、人権侵害、国際人道法が、ウクライナにおいて行われた、と結論付ける根拠がある 」と述べ、同時に発表した声明で、「これらの違反がウクライナの民間人に与える影響は計り知れず、(ロシア側に)説明責任があることは否定できない」と強調した。

 同委員会は、今年 2 月下旬から 3 月にかけての期間にロシア軍の攻撃を受けたキーウ、チェルニーヒウ、ハルキウ、スームィの実情に基づいて調査を実施。27 の市町村と地区を訪問し、191 人の被害者、目撃者から聞き取り調査を行った。

 国連総会に提出した報告書は、ロシア軍による攻撃を受けた人口密集地域で、爆発物が無差別に使用されたことが明確になった、とし、人口密度の高い地域内あるいはその近くからの攻撃により、一般市民や家屋、施設なども大きな被害を被ったことを実例で示している。そうした行為にとどまらず、これら4地域の調査に限っても、ロシア兵による住民の処刑、監禁、拷問、虐待、強姦を含む性的暴力が頻繁にされていた、と指摘。

 聞き取り調査に応じた被害者や犠牲者の家族たち、特に愛する人を失った家族は、こうした残虐行為に対して、「正義が行われ、説明責任が果たされることを強く望んでいる」と言明。「(ロシア軍による残虐行為に対する措置の)有効性を改善し、被害者と目撃者が危害を加えられないようにし、国際的な、そして国レベルの説明責任が果たされるよう取り組みを強化する」よう、国連に勧告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年10月19日