☩教皇、バチカン・科学アカデミー会議で改めて「エコロジー的回心」を訴え

干ばつで水位が下がった米ユタ州のグレートソルト湖 2022年7月1日干ばつで水位が下がった米ユタ州のグレートソルト湖 2022年7月1日 

(2022.7.14 バチカン放送)

 教皇フランシスコは13日、教皇庁科学アカデミー主催の会議にメッセージをおくられた。

 会議は「気候変動ストレス下での人々と生態系の回復」をテーマとし、気候変動が与える影響を分析するとともに、人々と生態系の回復力の強化を目指す実践的な解決法について話し合った。

 メッセージで教皇は「気候変動は社会の一角の危機の枠を超え、今や工業や農業のシステムを変容させ、貧しい人たちをはじめ世界中の人々の生活を左右するほどの中心的問題となっています」と指摘。

 今日、取り組むべき二つの中心課題として、「二酸化炭素の排出を抑制し、気候変動リスクを減少させること」「起こりうる気候変動に対応できるよう、人々を助け、備えること」を示された。

 そして、聖書の教えに照らし、「私たちの共通の家である地球への配慮を考える時、それは単に功利に基づく取り組みではなく、神の子であるすべての人々に対する義務となっています」とされ、「私たち自身と、未来の世代のために、どのような世界を望むか、を一人ひとりが問わなくてはなりません」と強調。この問いへの答えを助けるものとして、環境回勅「ラウダート・シ」で説かれた、従来の発想法を改め、人々と生態系の回復力を高める「エコロジー的回心」を改めて示された。

 さらに、この「エコロジー的回心」に必要な精神的要素として、「神の愛あふれる寛大な創造に対する感謝」「私たちは相互に結びつきながら、一つの普遍的共同体のもとに一致しているという自覚」「環境問題に個別にではなく、共同体として、連帯のうちに立ち向かう」の3つのポイントを挙げられた。

 一方で、懸念すべき問題として、生物多様性の減少や、戦争がもたらす食料安全保障問題、環境汚染問題の増加などに言及。「この広く複雑な諸問題に善意の人々が共に取り組むことで、気候変動から人類家族と神の賜物である被造物を守り、正義と平和の善を強めることができるように」と会議参加者たちを激励された。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年7月15日