(2023.2.5 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは、アフリカ2か国歴訪と南スーダン訪問の最終日となる5日午前、首都ジュバのジョン・ガラン霊廟の複合施設でミサを捧げられた。
ミサ中の説教で教皇は、この国のすべてのカトリック信者に対して「イエスは、私たち一人一人を個人的に知っておられ、愛しておられること」を強調され、イエスが弟子たちに言われたように「地の塩」と「世の光」となるよう、呼びかけられた。
そして、「イエスは、あなたがたの『苦悩』と『希望』、あなたがたの人生を特徴付ける『喜び』と『もがき苦しみ』、あなたがたを襲う『闇』、そして、夜の闇の中で歌う歌のように、あなたがたの天に上げる信仰を知っておられます。イエスはあなたがたを知っておられ、愛しておられます。 私たちのすべての十字架は復活に、すべての悲しみは希望に、すべての嘆きは踊りに変わるのです」と信者たちを励まされた。
(以下、バチカン放送)
教皇は、ミサのために遠くから何時間、あるいは何日もかけてやってきた参加者らの苦労をはじめ、人々が示す親愛、その信仰と忍耐、善への努力、神に労苦を捧げながら前に進んでいく勇気に深い感謝を表された。
「南スーダンには、スーダンの教会と結ばれた、勇気ある教会があります」と述べた教皇は、スーダン出身の聖ジュゼッピーナ・バキータに触れつつ、自分が受けた苦しみを、神の恵みのもとに、希望へと変容させた、この偉大な女性を思い起こされた。
そして、「彼女のために生まれ、彼女を贖ったその希望を、聖バキータは自分だけのものにしておくことはできませんでした。この希望は多くの人に、すべての人に届くべきものでした」(ベネディクト16世の回勅「希望による救い」)という前教皇の言葉を引用。「『希望』というこの言葉を、分かち合うべき賜物、実りをもたらす種として、皆さん一人ひとりに残したいと思います」と語られた。
また、聖バキータの生き方が示すように、「この地において、『希望』は特に女性を特徴づけているもの」と述べ、南スーダンのすべての女性たちに特別な祝福をおくられ、さらに「希望」に添えたいもう一つの言葉として、この数日間の訪問のテーマでもあった「平和」という言葉を掲げられた。
教皇は、イングランド国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教、スコットランド国教会の総会議長イアン・グリーンシェルズ牧師と一緒に行ったこの平和の巡礼を振り返りながら、「これからも私たちは、皆さんの和解と平和への歩みを見守り、出来る限りのことをしようと思います」と約束された。
「この和解と平和の歩みをもう一人の女性、平和の元后、聖母マリアに託したい」と述べた教皇は、南スーダンをはじめ、ウクライナのように戦争に苦しむ多くの国々の、また世界の平和を、聖母に委ねて祈られた。
最後に、「私たちは、それぞれの場所に帰っても、皆さんを忘れることはありません。皆さんは私たちの心の中に、世界のキリスト者の心の中にあります。希望を失ってはなりません。平和を築くチャンスを逃してはなりません。南スーダンに希望と平和が宿りますように」と祈られた。
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このミサで、同国における3日間の公式行事を終えられた教皇は、ジュバ国際空港に向かわれ、空港で、マヤルディ大統領との短い会談、送別式の後、特別機のタラップの近くまで大統領と言葉を交わしながら進まれ、搭乗前に大統領に祝福を与えられた。
特別機には、教皇と南スーダンへの「平和のエキュメニカル巡礼」を共にした、英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教と、スコットランド国教会の総会議長イアン・グリーンシェルズ牧師も同乗。イタリア時間同日夕にローマのフィウミチーノ国際空港に到着。ご自身の第40回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)、コンゴ民主共和国と南スーダンへのアフリカ2カ国訪問を終えられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)