☩コンゴ訪問3日目:「憎しみあいや腐敗に抵抗し、より良い未来を築くのは君たちだ」若者たちとの集会で(Crux)

(2023.2.2  Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 キンシャサ発=コンゴ訪問3日目の2日午前、教皇フランシスコは首都キンシャサの殉教者スタジアムで若者たち、カテキスタたち約6万5000人と集いを持たれ、「憎しみ合いや政治・社会の腐敗に抗し、共同体社会、祈り、奉仕に基礎を置くことで、より良い未来を築くのは、君たちです」と強調された。

 教皇はこの集いで、若者たちに自分の手を見るよう呼びかけ、「神は命という贈り物、社会の未来、この偉大な国の未来をあなたの手に委ねた」と語れられた。

 「自問してみてください、自分の手は何のためにあるのですか? 建てるためか、壊すためか、与えるためか、つかむためか、愛するためか、それとも憎むためか?」と問いかけられ、手を握り、こぶしにするのでなく、手を広げて他の人に差し出すように勧められた。

 そして、「今と異なる未来を夢見る若者たち。あなたがたの手から明日は生まれる。 あなたの手から、この世界に欠けている平和が、もたらされる可能性がある」と励まされた。

 コンゴは何十年にもわたる紛争で悪名が高く、何百万人もの死者と避難民を生んでいる。また、豊かな天然資源が生み出す富、中でもその産出国としてこの国を有名にしているダイヤモンドが国民の間に大きな格差をもたらしている。教皇は前日の1日、同国の東部地域の暴力的な紛争の犠牲者、彼らを支援するさまざまな慈善団体のメンバーと面会され、彼らの苦しみの経験を共有された。

 2日は、若者やカテキスタとの集いの後、バチカン大使館でサマ・ルコンデ首相と会談し、キンシャサのカテドラルで司祭、修道者などカトリック教会関係者と会合、夜には、バチカン大使館でイエズス会の会員たちと私的な集まりに出席される。

(続き=バチカン放送)

 若者らに自分たちの手を開いて見つめるよう促された教皇は、「神は、皆さんの手の中に命の賜物を、社会とこの偉大な国の未来を置かれました」と話された。

 「皆さんの手は、小さく、弱く、空っぽで、そのような大きな使命には向かないと思いますか?ここで気づいて欲しいことがあります。誰の手も、他の人の手とは同じではないということです。あなたの手が、他の誰とも同じではないこと、それはあなたが独自のかけがえのない豊かさを持っているということです」

 「この手で何ができるかを考えてみましょう。築くことですか。それとも壊すことですか。与えることですか、あるいは独占することでしょうか。手を握り締めると拳になります。また、手を開いて、神と人々のために奉仕することもできます。そこに本質的な選択があるのです」

 「今とは異なる未来を夢見る若者たち、あなたの手から明日が生まれ、あなたの手からこの国に欠けている平和が生まれるかもしれないのです」

 教皇はこのように語りかけた後、自らの手で未来を作り出すために何が具体的に必要かを若者たちに助言された。

 未来を作る要素を5本の指に、たとえた教皇は、その5つの要素「祈り」「共同体」「誠実さ」「赦し」「奉仕」の大切さについて、一つひとつ説明された。

 「祈り」(親指)は抽象的に見えるが、最も重要なものであり、常に新しい状況に心を開き、怖れを克服させ、自分たちが万能ではないことを思い出させる、と教皇は指摘。自分だけで何でもできると思う者は、根のない大木と同じで、立ち続けることができない。祈りと神の御言葉に根を張ることで、毎日深いところから成長し、実をつけ、汚れた空気をきれいなものにすることができる。祈りは木を成長させる「魂の水」である、と語った。

 「共同体」(人差し指)の大切さについて教皇は「自分のことだけを考える生き方は一見魅力的でも、それはエゴイズムに満ちた偽の天国に過ぎず、いつかは心に大きな空洞を作ってしまいます」と述べ、一人ひとりが教会や国、また他者にとって、不可欠で、責任ある存在であることを思い出させた。

 「誠実さ」(中指)はキリストを証しする者にとって本質的なものと述べた教皇は、誠実、正直であるとは、社会の腐敗の罠に陥らず、聖パウロが言うように、悪に負けず、善をもって悪に打ち勝つことであると話し、「腐敗に『ノー』と言おう」と若者たちに呼びかけた。

 「赦し」(薬指)は、他の要素(他の指)と比べて、最も上げることが難しいもの、と教皇は指摘。「しかし、弱さの中の力こそが、前進させる力となり、人を赦すことを助ける」、「赦すとは忘れることを意味せず、それが繰り返されないようにと諦めないことである」と説いた。教皇は、自分を傷つけた人のことを沈黙のうちに考えるようにと、若者たちを1分間の沈黙へと招き、「神の御前でのこの沈黙から、赦しは生まれる」と語った。

 「奉仕」(小指)は、「その小ささ、自ら小さくなるという態度ゆえに、神を惹きつけるもの」と教皇は述べ、「奉仕は世界を変える力」であると話された。教皇は、会場のカテキスタたちの日頃の奉仕に感謝を表すと共に、「奉仕する者は、自らを小さくする」と説かれた。

 教皇は、「決して、失望してはいけません。失望にとらわれた時は、福音書を手に取ってください。イエスが皆さんに力を与えるでしょう」と、コンゴ民主共和国の若者たちに大きな励ましを与えられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

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2023年2月2日