☩「 主の差し迫った回心の呼びかけに進んで応えられますように」教皇、四旬節第三主日正午の祈り

Angelus in St. Peter's SquareAngelus in St. Peter’s Square  (Vatican Media)

(2022.3.20  Vatican News staff reporter )

 教皇フランシスコは20日、四旬節第三主日の正午の祈りの説教で、ロシアのウクライナ軍事侵攻で人々に多くの犠牲者が出続けている悲惨な状況を念頭に起きながら、「愛と友愛が支配するところでは悪は力を失う。罪から立ち返り、心を開いて福音の教えを進んで受け入れることで、主の回心への差し迫った呼びかけに応えるように」と信徒たちに訴えられた。

*災難は神の罰か、なぜ神が介入されないのか、という人々の問い

 教皇は説教で、この日のミサで読まれたルカ福音書の中で、イエスが、エルサレムでシロアムの塔が倒壊して18人が死の災難に遭ったことを語られていることに注目。

 そして、「(イエスの話を聴いていた)人々は、18人の死の責任は誰にあるのか、誰が罪を犯したのか、イエスに尋ねていたようです」とされたうえで、「同じ問いかけは、今も、悪いニュースを耳にするたびになされますーウクライナ戦争や新型コロナウイルスの大感染が起きたのは、神の罰なのか、なぜ主が介入されないのか、と」と信徒たちに注意を促された。

 

*神は人間の出来事に介入されない、解決策を示される

 教皇は、「悪が私たちに重くのしかかる時、注意する必要がある。なぜなら、私たちは状況をはっきり見ることができなくなり、起こっていることに対する安易な答えを求め、自分の過ちや不幸を神のせいにすることさえあるからです」と忠告され、「神がご自分の意志を通そうと人間の出来事に介入されることはありません。ただ、解決策を示されるのです。決して暴力は使われず、私たちと、私たちのために苦しまれます。自分に起きている悪いことを神のせいにするという、人々の考えに、イエスは強く異議を唱えられました」と説かれた。

 さらに、「イエスは、彼らが被った悲劇は、彼らが、他の人たちよりも罪深かったためではない、と言われました。『神は私たちを罪に応じてあしらうことがない』(詩編103章10節)ので、悪は決して神からもたらされることはありません。憐れみで私たちに対応されるのです」と語られた。

 

*「回心」が唯一の解決策

 教皇は、私たちの罪がどのように人と人の関係を壊し、暴力を選ぶことが、邪悪を解き放つのか、その原因を知ることができるように、イエスが私たちに、「自分自身の内面を見るように」と呼びかけられたことをた方法を思い起こされた。

 そして、重要なのは、イエスが「悔い改めない限り、あなたは皆同じように滅びる」(ルカ福音書13章5節)と言われたように、回心が唯一の解決策だ、ということであり、「イエスの回心への招きは、今の四旬節の時期に、私たち全員にとって特に緊急の呼びかけになっています。愛と友愛が支配するところでは、悪にはもはや力をもたないのです!」と強調された。

 

*神は私たちの回心を忍耐強く待ってくれる

 教皇は、「回心の招きを受け入れるのは容易なことですが、回心への道は容易ではありません。私たちはしばしば同じ過ちや罪を繰り返し、落胆して、回心をあきらめる可能性さえある」ことを認めつつ、「今日のルカ福音書の箇所で、イエスは、私たちに対する神の忍耐強さを、たとえ話を使って語っておられますー三年経っても実をつけないが、さらに待つことを許されるイチジクの木、切り倒されずに、実を結ぶ可能性が残されるーと。これが、私たちと共に働かれる主のなさり方。私たちに、時間を与え、私たちを優しく信頼する意欲を失われたり、疲れられたりすることはありません」と説かれ、さらに次のように信徒たちを励まされた。

 「兄弟姉妹の皆さん。神は私たちを信じてくださいます!私たちを信頼し、忍耐強く私たちに付き添ってくださいます。落胆されず、常に私たちに希望を植え付けてくださいます。神は父であり、父として世話してくださいます。最高の父親として、あなたが達成できない業績ではなく、これから成らすことのできる果実に目を向けておられます。あなたの欠点を追うことはなさらず、潜在力を引き出そうとなさいます。あなたの過去にこだわるのではなく、自信を持ってあなたの未来に賭けられます」

 そして最後に、私たちが希望と勇気を持ち続け、回心への新たな希望を燃やし続けられるように、聖母マリアの助けを祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年3月20日