☩「聖霊は私たちを恐れから解放し、心の扉を開けてくれる」-聖霊降臨の主日の正午の祈りで

(2023.5.29 Vatican News  Linda Bordoni)

     28日の聖霊降臨の主日・正午の祈りの説教で、教皇フランシスコは、世界中の信徒たちに、「恐れを追い払い、神の愛の炎を復活させるように」と呼びかけられた。

  説教で教皇はまず、聖霊降臨を祝うこの日、「福音は私たちを、イエスが亡くなられた後、弟子たちが隠れていた家の二階に連れて行きます」とされ、過越の祭りの夜に、恐怖と苦痛のどん底にあった弟子たちに、復活されたイエスがどのようにして、ご自身を現されたかに、信徒たちの注意を向けられた。

 そして、「イエスは、彼らに息を吹きかけながら、『聖霊を受けなさい』と言われた… イエスは聖霊の賜物によって、弟子たちを恐怖から解放され、『外に出て福音の証人となり、宣べ伝える者になることができるように』と願われました」と説明。

 この日のミサで読まれたヨハネ福音書の箇所(20章19節)に触れて、「弟子たちは、ユダヤ人たちを『恐れて』、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていました。イエスの死にショックを受け、希望を失い、『自分の中に閉じこもって』いたのです」とされ、「私たちもどれくらいの頻度で、家に閉じこもるでしょうか?  困難な状況や個人的な問題、あるいは、苦しみ、周りから吸い込む悪のせいで、私たちは絶望に陥り、前に進む勇気を失うことがある… 私たちも、弟子たちと同じように、”悩みの迷宮”に、自分自身の中に閉じこもることがあります」と指摘された。

 そして、この「自分自身を閉じこめる」動作は、最も困難な状況の中で、「恐怖が優勢になることを許したときに起きます… 建物の中で警報が鳴った時のように、心の扉が閉まるのです」と語られ、「対処できないこと、一人で困難に直面しなければならないこと、失望すること、間違った決断を下すこと、への恐怖が、どれほど私たちの歩みを妨げ、麻痺させているでしょう…それが私たちを孤立させるのです」と注意された。

 続けて、「他人、外国人、自分と違う人、自分とは違う考え方をする人に対する恐怖を考えてみましょう。 そして、神に対する恐れさえも、あるかもしれません-『神は私を罰するだろう』『神は私に怒るだろう』… 私たちがこのような”間違った恐れ”を抱くと、心の扉、社会の扉、そして教会の扉さえも閉まってしまいます。『恐怖』のあるところに『閉鎖』が存在します。そのようにしてはなりません」と強く警告された。

 そのうえで教皇は「福音は復活された方による救いを、私たちに提示しています。それが聖霊です… 神は私たちを恐怖の牢獄から解放してくださいます」と勇気づけられ、「私たちが今日祝う聖霊降臨の主日がそのことを教えてくれます-聖霊を受けた時、弟子たちは(それまで閉じこもっていた)家の二階の部屋から出て、罪を赦し、良い便りを宣べ伝えるために世界に出かけて行った、と… 聖霊によって、恐怖は克服され、扉が開かれたのです」と強調。

 さらに、「私たちに神の近さを感じさせてくれるのは、聖霊です。神の愛は(私たちの心から)恐怖を追い払い、進むべき道を照らし、慰め、逆境の時に私たちを支えてくれます」と述べられた。

 最後に教皇は信徒たちに、「私たち、教会、そして全世界」のために、聖霊を呼び起こすよう求め、「新たな聖霊降臨が、私たちを襲う恐れを追い払い、神の愛の炎を復活させましょう」と呼び掛けて説教を締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年5月29日