☩「私たちは、兄弟姉妹愛の証しを通してイエスを宣べ伝える」年間第14主日・正午の祈りで

(2022.7.3 Vatican News  Devin Watkins)

     教皇フランシスコは3日、年間第14主日の正午の祈りに先立つ説教で、この日のミサで読まれたルカ福音書の箇所(10章1‐12節、17-22節)をもとに、世界の信徒たちに、「互いに対する敬意と兄弟姉妹愛を通して、イエスを証しするように」と促された。

 このルカ福音書の箇所の冒頭で、イエスが神の王国を宣言するために、72人の弟子を「1人ずつ」ではなく「2人づつ」送り出されたことについて、教皇はまず、 常識的な考えれば、「2人づつ派遣するのは、利点よりも欠点の方が多いように思われるでしょう。 弟子を2人づつ組ませれば、足並みがそろわないか、歩みの速さもちがうかもしれません」とされたうえで、「だが、イエスはそのようには考えておられないのです」とし、理由を説明された。

*互に敬意を払い、キリストを宣言する

 教皇は、弟子たちがなすべきことは「人々がイエスを受け入れる環境を整えるために、村に行くこと」だが、 イエスは、彼らに”2人づつで行く”ことの理由を説明なさらず、「弟子たちがどうすべきかー言葉を語る以上に証しすること、をもっぱら語られます」とされ、「イエスは、弟子たちを働き手として位置づけられる。ですから、彼らは行動を通して福音宣教のために働く必要があり、彼らがイエスから与えられたその使命を果たすために最初にすべき行いは、二人ずつ出かけることなのです」と説かれた。

 そして、「弟子たちは,互いに説教を任せ合う”ただ乗り客”ではありません。福音を宣言することが、弟子たちの第一の使命ー共にいて、互いに敬意を払い、自分たちが他の人々よりも能力があることを証明しようとは望まず、唯一の”主”に一致して帰依すること、です」と語られた。

*最良の用意された計画

 たくさんの完璧な司牧の計画を作り、大勢の群衆を集めることは可能だが、「友愛への強い思いがなければ、イエスから委ねられた使命を進めることはできない」とされた教皇は、同僚と、あるアフリカの国に行った宣教師のことを思い起こされ、こう語られた。

 「現地に着いたその 宣教師は同僚と別れ、一連の建築事業全体を実施しました。だが、 しばらくして、彼は自分が”優れた起業家”になってしまった気づき、その事業を他の人に任せることに決めたところに、同僚と出くわし、イエスが弟子たちを二人一組で遣わされた理由を理解しました。福音宣教の使命は、”個人行動主義”、つまり『何かをすること』ではなく、『兄弟姉妹愛の証しすること』に基礎を置いています。たとえ共に行動することに伴う難しさがあってもです」。

*兄弟姉妹愛をもって、道を整える

 説教の最後に教皇は、「『自分は、どのようにイエスを宣べ伝えしたらいいか』について、熟考するように」と全ての信徒に促され、「私たちは、兄弟姉妹愛の精神と行動様式をもって、イエスを宣べ伝えますか、それとも、世俗的な仕方で、自己宣伝、対抗意識、効率重視でそうしますか?」 と問いかけられた。

 そして、すべてのキリストの弟子が「兄弟姉妹愛の証しをもって、主のために道を整える」のを、乙女マリアが助けてくださいますように、と祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年7月3日