☩「私たちの分裂を克服するため、日々、聖霊を呼び起こそう」教皇の聖霊降臨の主日ミサ説教

Solemnity of PentecostSolemnity of Pentecost

(2023.5.28 Vatican News  Thaddeus Jones)

 教皇フランシスコは28日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で行われた「聖霊降臨の主日」の荘厳ミサの説教で、「世界に調和を与え、時の流れを導き、地球の顔を新しくする聖霊」を日々呼び起こすように、と呼び掛けられた。

 説教で教皇は、「主の創造された世界、教会、そして私たちの心に、聖霊が働き、あらゆる領域に秩序と調和をもたらしています」とされ、「それこそが、聖霊の役割。聖霊は、創造の始めから常に、創造された現実を、無秩序から秩序へ、分散から凝集へ、混乱から調和へと、移行させています」と述べられた。

 だが、聖霊が、世界に調和をもたらすように、時の経過を導き、地球の表面を一新する働きをしているにもかかわらず、「『不和と分裂』に彩られた今日の世界は、切実に必要とされている『調和』に歯向かっているのです」と慨嘆された。

 そして、「 私たちは以前よりも『互いにつながっている』ように見えて、実際には『無関心によって感覚が麻痺するほど、互いに切り離されてしまっている」とされ、そうした状態の中で、「今日、私たちが目撃している多くの戦争や紛争が、いかに邪悪な行為を個人がなし得るか示しています。 分裂の心、分断者である悪魔によって煽られた敵対行為になっているのです」と指摘。

 このような「不和の悪」に対抗するために、主がどのようにして、私たちに聖霊を注がれ、真の平和に必要な調和を私たちに与えようとしてくださっているか、を語られ、「 聖霊は一致の霊として、平和と調和をもたらす存在です」と強調。「私たちの住むこの全世界に日々、聖霊を呼び起こしましょう!」と訴えられた。

 また教皇は、聖霊が、聖霊降臨の日からこれまで教会の中でずっと働いてきたことに注目され、聖霊がどのように各使徒の上に降り、一人一人に特別な恵みと独特のカリスマを与えたかを説明された。 そして、「異なる賜物が与えられたことで混乱が起きてしまわないか、と心配することがあるかも知れないが、そうはなりません。主が創造された世界と同じように、聖霊は、多様性から調和を生み出します… そして『調和』は、画一的で強制的な命令ではない。教会には秩序がありますが、多様性を持つ者で構成されているのです」と説かれた。

 さらに、聖霊が火の舌の形で使徒たちに降り、彼らが様々な言葉を語り、様々な言葉を聞いて理解できるようにした、と聖書に記されていることを挙げ、多くの言語、文化の違いを無くすのではなく、すべてを調和させる聖霊の働きに注目。

 「聖書が強調しているように、聖霊降臨の日、すべての人が聖霊に満たされ、神の愛を共有することから、教会の活動が始まった。 それが聖霊の、調和を生み出す業なのです。聖霊は、私たちに、主の他者への愛と与えられた賜物に対する驚きを経験するよう勧めています」とも語られた。

 現在、世界の教会で行われている”シノドスの道”の歩みを思い起こされ、この歩みは、「聖霊に従う旅、聖霊の息吹に素直に従う機会を提供する歩みでなければなりません。なぜなら、聖霊こそ、シノドスの核心であり、福音宣教の推進力であるからです」と述べられた。

 そして、「(聖霊が)なければ、教会は活気がなく、信仰は単なる教義、道徳は単なる義務、司牧活動は単なる労苦に過ぎない。信仰は命であり、主の愛が私たちに確信を与え、希望が生まれます。 聖霊を教会の中心に戻しましょう」と呼び掛けられ、”シノドスの道”の歩みは「神の民に、聖霊に満たされて共に旅をし、教会に調和を築き、新しくされる、またとない機会を提供します」と強調された。

 説教の最後に教皇は、聖霊が「神との親密さ」を生み出す際に、どのようにして「心の調和を取り戻してくれるのか」について説明された。

 教皇はまず、「主は聖霊に、私たちの罪を赦し、心を和解させ、悪によって傷つき、傷によって壊され、罪悪感によって迷わされ心に調和をもたらすようになさいました… 私たちが調和を望むなら、世俗的な代替物ではなく、聖霊を求めましょう。 日々、聖霊を呼び求めましょう。 聖霊に祈ることから一日を始めましょう。 聖霊に従順になりましょう!」とされ、次に、「私たち自身の人生を振り返り、聖霊の調和を受け入れているか、それとも自分自身の関心や考えに固執し、変えられることに抵抗しているかを問うこと」を勧められた。

 「私たちは、何かというとすぐに他人を批判し、自分自身の弱さを見逃していないでしょうか。他者との間で和解に努め、交わりを築こうとしているでしょうか」と問いかけられ、「 私たち自身の分裂を克服するために、聖霊を呼び起こしましょう」とされ、「聖霊、イエスと御父の霊、調和の無尽蔵の泉、私たちはあなたに世界を委ね、あなたに教会と私たちの心を捧げます」。

 そして次のように願われた。

 「来たり給え、創造主なる聖霊よ。人類の調和よ、地球の顔を新しくしてください。賜物の中の賜物、教会の調和よ、私たちをあなたの中で一つにしてください。 赦しと心の調和の聖霊よ、聖母マリアのとりなしによって、あなたにしかできない私たちを変えることをしてください」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2023年5月28日