(2021.7.25 Vatican News Christopher Wells)
カトリック教会第一回の「祖父母と高齢者のための祈願日」の25日、教皇フランシスコが、フィジケラ大司教に代行を求めた聖ペトロ大聖堂でのミサで、代読の形で説教をされ、「若者と年配者が暮らしを共有する中で力を合わせる重要性」を強調された。
その中で、教皇は、この日、年間第17主日のミサで読まれたヨハネ福音書の「パンと魚の奇跡」(6章1‐15節)の箇所を取り上げ、そこで描かれた「三つの瞬間」について考察された。
三つの瞬間とは、「イエスは、彼の下に集まった人々がお腹を空かしているのに気付かれた」「パンを分け与えられた」、そして、「残ったパン切れを集めるように弟子たちに命られた」だが、教皇は「この三つは、『気付く』『分かち合う』『保つ』という3つの短い動詞にまとめることができます」と語られた。
*イエスは、一人ひとりが求めているものに気付かれる
そして、まず「気付き」について、「『パンと魚の奇跡』の物語は、疲れた人間が感じる飢えに無関心であることも、忙しすぎて気付かないこともない、イエスの眼差しから始まります」とされ、その眼差しは、「私たち一人ひとりを気遣い、それぞれが求めているものに気付かれる」と教皇は語られ、「私たちの祖父母も同じように、私たちを見ています、彼らの愛は私たちの成長を助け、私たちは愛と気付きを分かち合うように求められています。 ですから、私たちは目を上げて彼らを見ましょう。イエスが私たちを見ておられるように」と説かれた。
*若者と年配者が人生を分かち合う契約
そして次の「瞬間」ー「分かち合う」について、「イエスは、少年が提供したわずかなパンと魚をもって、その場にいた全員の飢えを満たされました。この奇跡の核心に、私たちは『自分が持っているものを皆のために喜んで差し出した少年』の存在があることを知ります」と指摘。
「今日、若者と高齢者の間に新たな契約を結ぶことが求められています。私たちに必要なのは、人生の宝を共有し、共に夢を見、世代間の対立を克服し、共に未来を準備すること」とされ、「人生における分かち合い契約がなければ、私たちは飢えて死ぬ危険を冒すことになります」と語られた。
さらに、「私はこれまでしばしば、若者と年配者が力を合わせることについての預言者ヨエルの言葉を引用してきましたー『若者は未来の預言者として、自分たちの歴史を大切にする。年配者は、夢を追い続け、自分に固執せず、若者と自分の経験を分かち合う。若者と年配者は、伝統の宝、精神の新鮮さだ』と」。
*何一つ、捨てられてはならない
三つ目の「瞬間」ー「保つ」について、教皇は、奇跡の後に「パン切れを集めるように」とイエスが弟子たちにされた指示を改めて想起され、「これは、何一つ、切れ端でさえも、捨てられてはならない、特に、どのような人も見捨てられてはならない、という神のご意思を表しているのです」と説かれ、「私たちはこの『集めよ、注意深く保存し、守れ』という預言的な指示を、皆に、この世界に、聞き渡らせるようにする必要があります」と勧められた。
さらに、教皇は、祖父母が私たちの若い時に守ってくれたように、私たちも、彼らを守ることの重要性、を強調され、「おじいさん、おばあさんを守りましょう。彼らと契約を結びましょう。そうすれば、『若者も年配者も共に』、命と夢が失われることはないでしょう」と呼びかけられた。